沖縄・琉球
            
尊厳と自由

               

万国津梁の鐘」は1458年に尚泰久王が鋳造させ、首里城正殿に掲げていたという鐘で、以下の文句で始まる銘文が刻まれていました。

       琉球國者南海勝地而 鍾三韓之秀以大明為
     輔車以日域為脣歯在 此ニ中間湧出之蓬莱
     嶋也以舟楫為万國之 津梁異産至宝充満十
     方刹

     琉球国は南海の勝地にして
     三韓の秀を鍾め、大明を以て輔車となし
     日域を以て脣歯となす
     此の二者の中間に在りて湧出する所の蓬莱島なり
     舟楫を以て万国の津梁となし
     異産至宝は十方刹に充満せり
 

    
    勝つ方法はあきらめないこと

   単独インタビュー】民意に耳を傾けないのは誤り 
 スペイン・カタルーニャ州前首相プチデモン氏 沖縄の新基地建設に指摘

     1/6(月) 7:08配信     琉球新報

    スペイン北東部カタルーニャ自治州で2017年10月に独立の是非を問う住民投票を実施したことで、反乱容疑などに問われている
  カルラス・プチデモン前州首相(57)が4日までに、滞在先のベルギーで琉球新報の取材に応じた。プチデモン氏は米軍普天間飛行場
  の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、昨年2月の県民投票で示された反対の民意を日米両政府が無視していることに関
  して「民意に耳を傾けないことは誤りだ」と述べた。「住民投票の結果を尊重するのは民主主義のルールだ。無視をせず、政治的に対
  話することが政府の義務だ」などと語った。

    スペイン・カタルーニャ自治州とは? 住民投票経て独立宣言 政府は反乱罪で州閣僚ら訴追

   プチデモン氏への取材は研修でカタルーニャに滞在中の友知政樹沖縄国際大学教授の仲介で行った。プチデモン氏は沖縄に在日
  米軍専用施設の70%以上が集中していることを「知っている」と述べた。
   辺野古新基地建設を巡り政府と県の裁判闘争が続いていることと同様に、スペイン中央政府はプチデモン氏らカタルーニャ自治州
  の元閣僚らを訴追し、政治的課題を司法に持ち込んでいる。そのことを挙げて「スペイン政府に司法の独立性を確保するよう、国際
  社会から勧告が出ている。政治的利益と裁判所がいまだにリンクしているのは独裁政権期から続く負の遺産だ。民主主義の向上に
  歯止めをかけている」と述べた。
   政府によって自己決定権を侵害されている地方として沖縄やカナダのケベック州などを挙げ、「国家の抑圧を前に手を取り合い、自
  分たちの未来を自分たちで決めるために取り組まねばならない」と強調した。
   プチデモン氏は2016年に州首相に就任。17年10月1日の住民投票で独立賛成は90・18%(投票率43・03%)だった。スペイン中央政
  府は「投票は違憲」として、プチデモン氏ら当時の州閣僚らに反乱罪容疑で逮捕状を出した。元州閣僚らには19年10月、禁錮9~13年
  の実刑判決が出た。
  プチデモン氏は17年10月末からベルギーに避難、スペイン中央政府は欧州逮捕状を出している。一方でプチデモン氏は19年5月の欧
  州議会議員選に当選、スペイン政府は就任を認めなかったが、同12月19日にEU司法裁判所は当選の有効性を事実上認める判断を
  出した。
     (宮城隆尋)

 


 

「首絞まっちゃうよ」 警官、笑いながらロープで市民拘束 【動画】

      2016年9月29日 09:57  沖縄タイムス

   沖縄県東村高江周辺の米軍北部訓練場内ヘリパッド建設に抗議する市民らを警察機動隊員らがロープで縛り、拘束した。中には、
  笑いながら「首も絞まっちゃうよ」と対応した警察官もいたという。市民らは「こんなやり方は初めて。絶対許せない」と怒りに震えた。
   市民らによると、約20人が訓練場内で抗議行動。十数人がH地区わきの高さ10メートル以上ある急斜面の伐採地で座り込みなど
  していた際に縛られたという。
   女性は「首が絞められると訴えたのに、『声が出ているから大丈夫』と言われた。ひどい」と批判。拘束の際に左足首をねんざした50
  代男性は「救急車を呼んでと言っても対応しなかった」と憤る。引き上げる際に警察官が足を滑らせて、男性は切り株に腰を強打。「こ
  んな危険な場所でこんな乱暴なやり方があるか。警察は市民を守るのが仕事のはずだ」と強調した。
   ロープで縛る行為について28日夜まで沖縄県警本部にも報告はなく、一部の幹部からは「本当にそんなことしたのか?」と戸惑いの
  声も。日米地位協定で米軍に管理権があるにもかかわらず、県警が市民を事実上拘束する権限を行使できるかについて「微妙な部分
  がある」との指摘も上がった。
   ある県警幹部は、事実を確認していないとした上で「基地内は米軍の同意がなければ逮捕できない。ロープで巻き付けるのは事実上
  の逮捕行為と取られる可能性もある」と疑問を呈した。
   市民側の小口幸人弁護士は「ロープで縛ることは、身体の自由を拘束する危険な行為で、通常は逮捕・監禁罪に該当する。県警は
  『安全確保の措置』と言うが、こんな行為を直接許す法律はない。特別公務員職権乱用罪などに問われることもある」と県警の手法を
  厳しく指摘した。

  首相補佐官、米軍ヘリパッド建設で便宜打診か 
 「海外案件は何でも協力」内部メモを本紙が入手【メモ全文あり】

    和泉洋人首相補佐官が2016年9月、東村高江周辺の米軍ヘリパッド建設への助力を電源開発(Jパワー、本社・東京)に求め、見返
   りに「海外案件は何でも協力します」と持ち掛けたと記すJパワーの内部メモを本紙が入手した。政権中枢の高官が民間企業に便宜供
   与を打診し、行政をゆがめた恐れがある。和泉補佐官は本紙取材に応じなかった。(編集委員・阿部岳)

     Jパワーは沖縄を含む国内のほか、タイや米国でも発電事業を手掛ける。

    ヘリパッド建設現場に隣接する国頭村安波では「沖縄やんばる海水揚水発電所」を運営していた(16年7月に廃止)。この施設は当時、
   沖縄防衛局が設置したフェンスに囲まれており、抗議行動が及ばなかった。

    和泉補佐官は菅義偉官房長官の側近とされ、辺野古新基地建設など沖縄の重要案件を取り仕切る。高江ヘリパッド工事が抗議行動
   で難航していた16年9月14日午前、首相官邸にJパワーの北村雅良会長を呼んだ。

    本紙が入手した内部メモによると、和泉補佐官は「何とか年内、オバマ政権のうちにケリをつけたい」「しかし、反対派の活動もかなりの
   もの」と説明。発電所の建屋を、工事のために使わせるなどの助力を要請した。

    事前の事務方同士の調整でJパワー側に断られたとして、「本件は官邸で官房長官直結で私が仕切っており、一省庁の問題ではなく、
   国の問題」「国が米国との関係の中で急いでいる事業、と受け止めて、協力して欲しい」と迫った。

    Jパワーは沖縄で揚水発電所、石川石炭火力発電所を運営してきた。北村会長は基地建設への助力で「悪者にされるのはつらい」と
  地元の反発を懸念しつつ、「国の強い要請と受け止める」「私から社長に協力する方向で話す」と応じた。

  和泉補佐官は「ありがたい。海外案件は何でも協力しますから」と感謝を伝えた。

   本紙は補佐官室を通じて和泉補佐官に言動の事実確認を求めたが、「ヘリパッド建設事業は防衛局所管。同局にお問い合わせくださ
  い」と回答するのみだった。

   一方、Jパワーは「防衛局から依頼があり、検討した結果、設備の一部の使用を認めた」と説明。複数の関係者によると、敷地内に工事
  作業員や防衛局職員が仮眠、休憩するプレハブの建設を認め、建屋も使わせたとされる。

  「密室の貸し借りで企業統治や行政がゆがめられたのではないか」との質問には、Jパワーは「そのような事実は一切ありません」と答えた。

   和泉氏は東大工学部を卒業後、技官として1976年に建設省(現国土交通省)へ入り、住宅行政に長く関わった。第2次安倍内閣発足後
  の2013年1月、補佐官に任命された。

   加計学園の獣医学部新設計画を巡り、前川喜平元文部科学事務次官が和泉氏から「総理は自分の口からは言えないから」と手続きを
  促されたと証言したが、和泉氏は否定した。今月に入り、公費を使って厚労省女性幹部と「デート」したと週刊文春に報じられた。

   (メモ引用部は原文のまま)

   【メモ内容全文】

   ■和泉補佐官

  ・沖縄北部ヘリパッドの件でのお願い。

  ・本件は、何とか年内、オバマ政権のうちにケリをつけたい。

   米国政府は、日本政府は沖縄関連で何もしていないと見ている。

   本件は、日本政府も汗を流している証拠として、20年間、放置されていた件を動かした。

  ・しかし、反対派の活動もかなりのもので、あと3か月で完成させるには、JPから建屋、水、燃料タンク等の協力を得たい。

  ・先週、事務局間でお願いしたところ、地元に防衛省に協力していると認識されるのは避けたい、中立を守りたい、と断られたとのこと。

  ・本件は官邸で官房長官直結で私が仕切っており、一省庁の問題ではなく、国の問題。沖縄県も「歓迎」とは言わないが、水面下では
  本件はやってくれ、となっている。反対は活動家だけ。

  ・JPの懸念は理解するが、国が米国との関係の中で急いでいる事業、と受け止めて、協力して欲しい。中立とか言うのは勘弁して下さい。

  ・北村会長から下してもらい、事務局間で相談させて欲しい。

   ■北村会長

  ・JPはこの海水揚水も石川火力も長年、地元に溶け込もうと努力。

  本件で現地での対立が深まっていて、JPが協力をすると、地元紙的に、JPも悪者にされるのはつらいところ。

  ・しかし、国の強い要請と受け止めるし、工事の従事する地元の業者で、その作業環境という人道上の問題でもある。私から社長に
   協力する方向で話す。

  ■和泉補佐官

  ・ありがたい。下司審議官のラインで相談させる。海外案件は何でも協力しますから。

  ※官邸玄関で、会長が記者に囲まれ「大間ですか」「もんじゅですか」との質問あり。

  (注)「JP」はJ―POWERで、電源開発の愛称。「下司審議官」は和泉補佐官と同じ国土交通省出身で当時防衛省審議官だった下司
  (げし)弘之氏とみられる。


   「お前、左翼になったのか」「これが右翼ですよ」 
      愛国がゆえの沖縄通い 米軍の前に一人立つ

       9/11(水) 9:10配信    沖縄タイムス

    愛国を貫こうと思えば、沖縄から目をそらすことはできなかった。外国軍の基地をいつまで押し付けるのか。沖縄にとって
   差別的で、右翼にとっても屈辱的なはずの現実。そこに向き合おうとしない右翼団体を飛び出した。その後立ち上げた「花瑛
   (かえい)塾」の塾長を務める仲村之菊(みどり)さん(40)=東京都出身=は今、一人で米軍基地のゲート前に立つ。
   (編集委員・阿部岳)

    「こんにちは。皆さまに語り掛けたいことがございます」。2日、東村高江の北部訓練場メインゲート前。機動隊員に似た服装
   で拡声器を担いだ仲村さんは、穏やかに語り始めた。
   「街宣」ではなく「語り掛け」。ゲートを守る基地従業員に、「日米安保にいつまで振り回されないといけないのでしょうか。仕方な
   いと思いますか。勇気を振り絞って、一歩を踏み出してみませんか」と問う。
   18歳の時から20年近く過ごした大きな右翼団体では、日米安保や沖縄の現状に異議を唱えることは許されなかった。疑問が抑
   えきれず、沖縄に飛び込んだのは2016年6月。辺野古新基地建設の反対運動現場に行ったことを知った先輩にとがめられた。
   「お前、左翼になったのか」
   「これが右翼ですよ」
    仲村さんは「右翼の尊厳に懸けて沖縄の米軍基地を撤退させないといけない」と信じる。その年の11月、団体を抜けて花瑛塾
   の結成に加わった。
   「これで食べるつもりはない」と花瑛塾の収入はほぼゼロ。木工大工の稼ぎをつぎ込んで運営する。仲村さん自身は結成から3年
   足らずで270日ほど沖縄に通っている。
   今年8月21日の来県中に登壇したトークイベントでは、戦後の神道家が沖縄の島ぐるみ闘争や瀬長亀次郎に連帯を表明した史
   実を紹介した。意見を交わすうち、松本哲治浦添市長は「何が右翼か分からなくなってきた」と笑った。
   仲村さんは今回、東村に借りた畑で島ラッキョウの苗を植えた。世話を塾生の1人と地元の知人に任せ、本土で東村産島ラッキ
   ョウを売る計画。高江のヘリパッド建設の話も添えるつもりだ。
   ゲート前の語り掛けは、「私はウチナーンチュにはなれない。沖縄でできることはない。私は私の政府と闘っていく」と続いた。
   カタブイに見舞われつつ、最後まで話し終わると、帽子を取って丁寧に頭を下げた。

      【訂正】初出で「花暎塾」とあったのを、「花瑛塾」に訂正しました。(9月11日午前11時40分)

 


  沖縄女性の入れ墨「ハジチ」禁止令から今年で120年 
   法令で「憧れ」が「恥」に変わった歴史【WEB限定】

        8/26(月) 17:24配信    沖縄タイムス

    沖縄にはかつて、女性が手に入れ墨を彫る「ハジチ」の文化があった。1899年、日本政府が入れ墨を禁止したことで
   、ハジチは「憧れ」から「排除」の対象に変わった歴史がある。禁止されてから今年で120年。専門家は「ハジチを通して、
   歴史や差別の問題を知ってほしい」と話す。(デジタル部・與那覇里子)

      ハジチ禁止令は「文明開化」の一環

    ハジチは、琉球王国の時代から沖縄にあった。ハジチを入れることは、女性として当たり前で、厄払い、婚姻、内地に
   連れて行かれるのを防ぐなどの意味があった。結婚を前提として突いたハジチには、痛さを我慢するように、姑付き合
   いも辛抱できるようにとの意味も込められていた。

   ハジチを入れた女性たちの調査をしてきた都留文科大学山本芳美教授は「『あんなきれいな手でご飯をつくっていたら、
  さぞおいしかろう』と男性たちがハジチのある女性の手に憧れも持っていました。女性たちは誰が一番美しい仕上がりか勝
  負もしていました。女性たちもあこがれていたようです」。

   しかし、日本政府は1899年(明治32年)、入れ墨を禁止する「文身禁止令」を出した。山本教授によると、ちょんまげやお
  歯黒なども禁止された日本の「文明開化」政策の一環だったという。「明治政府は、入れ墨が欧米の人の目に触れることを
  気にして、庶民の行動を規制しようとしていたことが背景にあると思います」と指摘する。
      あこがれから排除の対象へ

   この禁止令を機に、ハジチはあこがれから排除の対象に変わる。山本教授によれば、違反者は罰せられ、学校でハジチを
  して登校すれば、教師にしかられ、塩酸で焼くようにしたこともあったという。ハジチを理由に離婚されるケースも出てきていた。
 
   「インタビューでも、『前はすごくきれいな風に見えたけど、今はものすごくきたないね』という言葉がありました。制度によって、
  価値観がガラリと変わってしまいました」

   ハジチはタブー視され、恥の文化になり、差別を受けることもあった。ハジチを入れた女性はカメラに収まる時、手を隠すため、
  正面から写ることを避けたという。

      世界から見たハジチの位置づけ

    山本教授は、海外のタトゥーの研究者たちが日本の入れ墨について話す時、アイヌの入れ墨と東京の彫り物の話に集中し
   ていることを危惧している。
   「アイヌや東京は、英語の論文で触れられていたりするんですが、沖縄は全くない。でも、ハジチほど、調査がされているもの
   もないんです。調査の蓄積や厚みが違う。1980年代、ハジチを入れたおばあさんたちが亡くなろうとしてしたころ、行政が細か
   く記録を残しているんです。1982年の報告書だけでも読谷村は772人も調査していて、ほかの教育委員会でも調査がされてい
   ます。世界最大級の規模だと考えられます」

    そんなハジチの歴史を見つめ直すため、山本教授は10月から沖縄で「沖縄のハジチ、台湾原住民族のタトゥー」と題した企
   画展を始める。なぜ、台湾かと言えば、台湾にも原住民族は入れ墨の文化がありながら、沖縄と同じように施術を禁止された
   歴史をたどったからだ。一方で、台湾ではさまざまな形でタトゥーが復活しつつある。

    「沖縄と台湾の歴史と今から、現代日本のあり方を考えたいと思っています」

       生々しさがないからこその企画展

    しかし、ハジチをしている女性がいなくなった今、なぜこのタイミングでの開催なのか。
   「ハジチをしている知り合いや生き証人がいないということは、歴史的な生々しさがない状態です。模様をロマンチックに思う
   かもしれない。差別の話も冷静に受け入れ、考えられるかもしれない。フラットな状況で、もう一度、沖縄のことを見つめ直し
   たいんです」

    企画展では、ハジチを身近に感じてもらえるように、レプリカも用意した。ハジチは、おばあさんの手の写真しかなく、若い
   女性の手に入っているイメージがつきにくい。また、黄色人種は、墨を差すと肌では青色になるので、色も青で着色した。
   「急ピッチで準備を進めているところです」


 

   「一部の犠牲 やむを得ぬ」 昭和天皇、
      米軍駐留巡り 1953年記録 
        沖縄を切り離す「天皇メッセージ」と通底

        8/21(水) 8:05配信     沖縄タイムス

     【東京】初代宮内庁長官を務めた故田島道治昭和天皇との詳細なやりとりを記録した資料「拝謁(はいえつ)記」の中で、
    1950年代に日本国内で基地反対闘争が激化しているさなか、昭和天皇が53年11月24日の拝謁で「一部の犠牲ハ已(や)む
    を得ぬ」との認識を示していたことが20日までに分かった。拝謁記の中で昭和天皇は国防は米軍に頼らざるを得ないとの考
    えを度々言及している。識者は「戦後にロシアの共産主義の脅威を恐れ、米国が琉球諸島を軍事占領することを求めた47年
    9月の『天皇メッセージ』を踏まえたもの」と指摘する。

     遺族から提供を受けたNHKが記録を公開した。53年11月24日の拝謁で「基地の問題でもそれぞれの立場上より論ずれば一
    應尤(いちおうもっとも)と思ふ理由もあらうが全体の為ニ之がいいと分れば一部の犠牲ハ已むを得ぬと考へる事、その代りハ
    一部の犠牲となる人ニハ全体から補償するといふ事ニしなければ国として存立して行く以上やりやうない話」と記されていた。

     また53年5月25日の拝謁では当時、石川県内灘などで米軍基地反対闘争が起きており、「小笠原でも奄美大島でも米国ハ
    返さうと思つても内灘でも浅間で貸さぬといはれれば返されず、米国の権力下ニおいてそこでやるといふ事になる。米国の力
    で国防をやる今日どこか必要なれば我慢して提供し小笠原等を米国が返すやうにせねばいかんと思ふのに困つた事だ」とした。

     53年6月1日の拝謁では「平和をいふなら一葦帯水(いちいたいすい)の千島や樺太から侵略の脅威となるものを先(ま)づ去
    つて貰ふ運動からして貰ひたい 現実を忘れた理想論ハ困る」と発言したとされる。

     沖国大名誉教授の石原昌家氏は「米軍への思いやり予算や辺野古の新基地建設を巡る政府の姿勢にもつながる」などと
    指摘した。

     昭和天皇の米軍基地反対闘争への発言

      全体の為ニ之がいいと分れば一部の犠牲ハ已(や)むを得ぬと考へる事、その代りハ一部の犠牲となる人ニハ全体から
     補償するといふ事ニしなければ国として存立して行く以上やりやうない話

       (1953年11月24日発言の抜粋)


   新たな「慰安婦像」沖縄で制作 
 80歳の彫刻家「戦争を生き残った者の務め」 
    表現の不自由展中止に危機感

       8/13(火) 14:10配信      沖縄タイムス

    愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で、元「従軍慰安婦」を象徴した「平和の少女像」などを
   展示した企画展「表現の不自由展・その後」が中止に追い込まれたことを受け、沖縄県在住の彫刻家、金城実さん(80)
   が自身初となる「慰安婦像」の制作に取り組んでいる。「意に沿わないものは排除するという、戦時下の芸術への弾圧
   を思い起こさせる。芸術家が屈してはいけない」。表現者の一人として、不当な「圧力」に抗議する。
   (中部報道部・大城志織)

    ■少女ではなく現在の姿に

    元「慰安婦」と直接の面識はないが、「平和の少女像」を制作した韓国の彫刻家夫妻と交流があり、慰安婦に関する
   シンポジウムに出席するなど知識を深めてきた。これまで「慰安婦」に関する作品づくりは「おこがましい」と感じていた
   ものの、展示会中止に危機感が募り、制作を決めた。

    8日からホルトノキを材料にチェーンソーやノミで削る作業を開始。「当時20歳前後だった少女たちが差別の歴史をず
   っと生き抜いてきた」との思いで、少女ではなく現在の90代前後の姿をイメージした。

   像は目は閉じ、口を開けて「私の春を返せ」と怒りと悲しみを叫ぶ様子を表現。10日時点でほぼ半分以上は出来上がっ
   たといい、服や座っている足などを今後仕上げる。完成後の行き先は未定だが「しかるべき所に落ち着いてほしい」と話す。

     ■戦争を生き残った者の務め

   沖縄戦時に朝鮮半島から強制動員され犠牲になった軍夫らを追悼する「恨之碑」(読谷村)や、チビチリガマの「世代を
  結ぶ平和像」(同村)などを制作してきた金城さん。慰霊塔や記念碑を造ることについて「時間とともに風化していく戦争を
  後世に伝えていくのは生き残ったものの務め」と力を込める。

  「平和の少女像」には「少女たちが人間の尊厳を傷つけられた歴史から目をそらさないという彫刻家の思いが込められて
  いる」と感じる。「戦争を二度と起こしてはならない。悲惨な記憶を呼び覚ます崇高な芸術としての価値を認めるべきだ」と
  訴える。

 


【全文】沖縄全戦没者追悼式・平和の詩「本当の幸せ」

平和の詩を朗読する山内玲奈さん=23日、糸満市摩文仁の平和祈念公園

「本当の幸せ」

       糸満市立兼城小学校6年 山内玲奈

      青くきれいな海
      この海は
      どんな景色を見たのだろうか
      爆弾が何発も打ち込まれ
      ほのおで包まれた町
      そんな沖縄を見たのではないだろうか

      緑あふれる大地
      この大地は
      どんな声を聞いたのだろうか
      けたたましい爆音
      泣き叫ぶ幼子
      兵士の声や銃声が入り乱れた戦場
      そんな沖縄を聞いたのだろうか

      青く澄みわたる空
      この空は
      どんなことを思ったのだろうか
      緑が消え町が消え希望の光を失った島
      体が震え心も震えた
      いくつもの尊い命が奪われたことを知り
      そんな沖縄に涙したのだろうか

      平成時代
      私はこの世に生まれた
      青くきれいな海
      緑あふれる大地
      青く澄みわたる空しか知らない私
      海や大地や空が七十四年前
      何を見て
      何を聞き
      何を思ったのか
      知らない世代が増えている
      体験したことはなくとも
      戦争の悲さんさを
      決して繰り返してはいけないことを
      伝え継いでいくことは
      今に生きる私たちの使命だ
      二度と悲しい涙を流さないために
      この島がこの国がこの世界が
      幸せであるように

      お金持ちになることや
      有名になることが
      幸せではない
      家族と友達と笑い合える毎日こそが
      本当の幸せだ
      未来に夢を持つことこそが
      最高の幸せだ

      「命どぅ宝」
      生きているから笑い合える
      生きているから未来がある

      令和時代
      明日への希望を願う新しい時代が始まった
      この幸せをいつまでも

 


  参列者「心に響かない」 沖縄全戦没者追悼式・首相あいさつ

   沖縄全戦没者追悼式で玉城デニー知事はウチナーグチや英語を交えてあいさつし、辺野古新基地建設反対や日米地位協定の改定
  を訴えた。玉城知事の一言一言に会場からは拍手が沸き起こった。一方、安倍晋三首相はあいさつで沖縄の基地負担軽減や経済振
  興を推進する考えを強調したが、辺野古新基地建設に触れることはなかった。参列者から「帰れ」「ゆくさー(うそつき)」との声も上がり、
  知事あいさつへの受け止めとは温度差が際立った。

   式典に参列した上間久男さん(68)=本部町=は首相に対して「見せかけじゃなく、県民に寄り添った気持ちを見せて政治の場で生か
  してほしい」と注文した。家族で参列した神谷真美さん(38)=豊見城市=は「県民投票の結果を無視する政府のやり方は、県民の意見
  を軽視している」と語り、首相のあいさつを冷ややかに受け止めた。沖縄大1年の粟国悠理さん(18)=浦添市=は首相のあいさつにつ
  いて「心に響かなかった。沖縄に来たこと自体が演出に感じる」と疑問を呈した。
   2015年から毎年式典を訪れ、取材しているジャーナリストの津田大介さん(45)は首相あいさつについて「対話を求める県民の気持ち
  を逆なでしているようなものだ。国が県民にしっかり向き合ってほしい」と語った。


 


  「今も続く植民地主義」 研究者、
     自己決定権回復訴え 琉球処分から140年

         3/27(水)  琉球新報

   1879年に琉球王国が滅亡してから、27日で140年。松田道之琉球処分官が、熊本鎮台兵(日本軍)や武装警官ら約600人を
  連れて首里城へ入り、琉球国王・尚泰に廃藩置県の通達を突き付けた。日本政府の武力を背景にした琉球併合(琉球処分)
  で首里城は明け渡され、沖縄県が設置された。沖縄の自己決定権や米軍基地問題について発信している人々は「辺野古新基
  地建設に通じる」「日本の植民地主義は140年前から続いている」などと訴えている。


   基地問題を独自の動画で全国に発信しているユーチューバーの多嘉山侑三さん(34)は「政府の都合で沖縄を利用し、人々を
  ないがしろにしている点で現在の辺野古新基地建設と通じている」と指摘する。

   国会で照屋寛徳衆院議員が併合以前の琉球の政治的地位を質問した際、政府が明確に答えられなかったことを挙げて「国際
  法の観点からも、おかしなやり方で併合した。新基地で政府が行政不服審査法を乱用したことと通じる」と指摘した。

   琉球民族独立総合研究学会の親川志奈子共同代表(38)は「政府は他の地域には決して沖縄と同じ態度は取らない。140年前
  から続く植民地主義だ」と指摘する。「人権問題として国際社会に訴えていくことが大事だ」と強調した。沖縄は1952年、サンフラン
  シスコ講和条約で日本から切り離された。「第2の琉球処分」とも言われる。

   瀬長亀次郎の資料を展示する「不屈館」の内村千尋館長(74)は米統治下、沖縄の人々が保革に分断されたことを挙げて「沖縄
  の人が争うことで(民衆の)力がそがれてしまう。亀次郎は皆をいかに団結させるかに常に心を砕いた」と語る。「今は米統治下より
  も物事が強行に進められている。当時の闘いを思い起こし、県民は団結すべきだ」と話した。
 (宮城隆尋)

 


 

  防衛相発言、沖縄人への死亡宣告と同じ 
             悪質な無意識的な暴力で差別 
     〈識者評論〉広島修道大・野村浩也教授

          3/8(金) 6:04配信   琉球新報

    「『シカト』といういじめ方が残酷なのは、そこにいる人間を存在しない人間のように扱うことで、『おまえはもう死んでいる』と
   無言のうちに告知しているからです。『殺してやる』というのなら、まだこっちは生きているわけですから、対処のしようもありま
   すけれど、『死んでいる』と言われてしまうと、もう手も足も出ません」(『先生はえらい』内田樹著、筑摩書房、2005年、115ページ)。


    岩屋毅防衛大臣のことだ。

   大臣の発言は、もはや、暴力だ。沖縄人が傷つくのも当然だ。傷つくのは、人間として極めて正常な反応だ。暴力に傷つかない
   人間はいないからだ。
   岩屋大臣は、県民投票の結果をあらかじめ無視すると決めていた。沖縄人の民主主義に対して、「おまえはもう死んでいる」とあ
   らかじめ死亡宣告していたのだ。
   沖縄人の民主主義の存在を全否定する今回の発言は、前回の「沖縄には沖縄の、国には国の民主主義がある」という発言と整
   合している。両者をまとめて翻訳すると、「国の民主主義は、沖縄の民主主義を含まない。なぜなら、存在しないからだ」と言ってい
   るのだ。
    沖縄人の民主主義を全否定できるのは、あらかじめ沖縄人の存在を否定しているからだ。ただし、岩屋防衛大臣は、安倍晋三
   総理大臣をはじめとする政府の「沖縄人は国民ではない」という非公式見解を代弁したにすぎない。あるいは、無意識的見解とい
   ってもよいだろう。
    その証拠は政府の行為にある。3度の知事選で辺野古埋め立てに反対しても、埋め立てを強行しているのがそれだ。国民として
   の存在を認めていれば、絶対にできない行為だ。実際、他の都道府県に対しては絶対にしない。
   なぜか。国民としての存在を認めているからだ。沖縄人をそもそも国民として認めていない以上、政府にとって、県民投票の結果を
   あらかじめ無視すると決めるのはあまりにも当然すぎることなのだ。
    あまりにも当然すぎるのは、無意識的に沖縄人の国民としての存在を認めていないからだ。あるいは、沖縄人を国民として認めな
   いことがあまりにも当然すぎて意識することもないといってもよいだろう。
   国民としての存在を認めないこと。これを差別という。ただし、それは無意識的である。差別のほとんどは無意識的になされる。そして、
   無意識だからこそ、より悪質で深刻なのだ。無意識的になされる以上、差別者は、自身の行為を差別とは意識しない。したがって、差
   別者が自ら差別をやめる可能性もないに等しい。だからこそ、他者が差別を指摘して意識させなければならないのである。
    差別を言葉で表現すること。これを差別発言という。岩屋大臣の発言は、典型的な差別発言である。ただし、無意識的に発言してい
   るので、ご本人は決して差別とは思っていない。
    差別発言が問題なのは、発言という行為自体が暴力へと転化することがあるからだ。差別発言は、行為遂行的に差別を正当化する。
   差別が正当化されると、差別の終わりがみえなくなる。だから、差別される側が傷つくのだ。このとき、差別発言はまぎれもない暴力とし
   て機能している。差別発言とは、それ自体が差別行為なのだ。
    差別行為は、差別発言に限らない。他に対してはやらないか、できないことを行うことも差別行為である。その典型が、米軍基地の押
   しつけであり、辺野古の埋め立てであり、県民投票結果の無視である。これらは、全て暴力である。
   より正確には、差別的暴力である。実際に沖縄人に多大な被害をもたらし、沖縄人の心を深く傷つけているからだ。ところが、このような
   行為は、他の都道府県に対しては絶対にやらないし、できない。無意識的に、国民としての存在を認めているからだ。
   このように、沖縄人の国民としての存在を認めない差別は、すでに、大きな暴力へと発展している。社会学的には、差別が制度化されて
   いるといっても過言ではない。多数者の少数者への差別の制度化。これを植民地主義という。
   そして、この植民地主義体制を無意識的に支えている張本人こそ、一人一人の日本人にほかならない。一人一人の日本人が、無意識的
   に、沖縄人を同じ国民として扱っていないからだ。一人一人の日本人が、無意識的に、沖縄人を差別しているからだ。
   70%もの在日米軍基地を押しつけている事実を意識せず、基地の引き取りすら主張しない日本人が圧倒的多数であることが何よりの証拠
   だ。この日本人の無意識を意識へと転換させるために、県民投票は実施されたのだといっても過言ではない。
   日本人よ、基地を引き取って植民地主義と訣別しよう! 内田樹さん、あなたもだ!


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   のむら・こうや 1964年沖縄生まれ。上智大大学院を経て2003年より現職。専門は社会学。著書に「無意識の植民地主義―日本人の米軍
  基地と沖縄人」(御茶の水書房、6月に松籟社より再刊予定)など。


 

    社説[県民投票の後で]「辺野古唯一」を見直せ

         2019年2月26日  沖縄タイムス
 

  名護市の辺野古新基地建設に「ノー」を明確に突き付けた県民投票から一夜明けた25日早朝。
 米軍キャンプ・シュワブゲート前では警察が新基地に反対する市民を排除する中、ダンプカーが次々とゲート内に入り、土砂の搬入
 を繰り返した。海上でも辺野古側の土砂投入と大浦湾側の護岸造成工事が続いた。
 沖縄の民意を無視し、力ずくで押しつぶそうという安倍政権の強行一辺倒の姿勢である。とうてい納得できない。
 民主国家であるならば民意が示された以上、ひとまず工事を中止すべきだ。
  玉城デニー知事は同日の県議会一般質問で安倍晋三首相に対し「埋め立てを認めない断固たる民意を受け止めてもらいたい。
 辺野古が唯一の方針を直ちに見直し、工事を中止してもらいたい」と求めた。県民投票の結果を踏まえた当然の要求である。
  玉城知事は今週にも予定している安倍首相との会談で、普天間飛行場の早期返還に向け対話に応じるよう強く求める考えだ。
 安倍首相は衆院予算委員会で「結果を真(しん)摯(し)に受け止め、基地負担の軽減に全力を尽くしていきたい」と答弁した。言葉と
 は裏腹に、辺野古の現場では強権を振るっており、県民を愚(ぐ)弄(ろう)するものだ。
 安倍首相は「もはや普天間返還の先送りは許されない」と、新基地建設を続行する考えも示した。
 辺野古にこだわり続けている結果、普天間の返還が遅れに遅れて先の見通しが立っていないのが現実ではないか。

    ■    ■

  信じられないのは沖縄基地負担軽減担当相を兼務する菅義偉官房長官である。
 「普天間飛行場の危険性除去、返還をどのようにするのか、知事から語られておらず、ぜひ考えを伺ってみたい」と述べた。
 そもそも普天間の危険性除去や返還で知事に代替案を出せというのがおかしい。政府の無為無策ぶりをさらけ出しているようなもの
 だ。政府は「辺野古が唯一」の一点張り。それを見直す気がないのに、県に代替案を迫るのは暴論であり、どう喝である。
  仲井真弘多元知事と約束した普天間の5年以内運用停止も米側と交渉の形跡がないまま期限を迎え、県に責任転嫁している。
 仲井真氏は一時期「辺野古に固執するのではなく、もっと早く現実的に移設できる県外の場所を探すべきだ」と言っていた。なぜ県外
 では駄目なのか。説明責任をまったく果たしていない。

    ■    ■

  普天間返還は当初、既存の米軍基地内にヘリポートを新設することが条件だった。紆余(うよ)曲折を経て似ても似つかぬ新基地に
 変貌した。負担軽減に逆行するのは明らかだ。
 返還合意当時の橋本龍太郎首相は地元の頭越しには進めないことを大原則にしていた。米軍基地は人権や自治権を大きく制約し住民
 にさまざまな負担を強いる。自治体や県の同意なしにはできない。
 新基地建設問題は県民投票によって新しいステージに入った。政府は「辺野古唯一」の見直しを表明した上で、県との対話に臨むべき
 である。


 

  <社説>県民投票で反対多数 埋め立て直ちに中止せよ

   名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票で、反対の民意が明確に示された。特定の基地建設を
  巡り、民主主義で定められた制度によって県民が自ら意思表示をしたのは初めてだ。2月24日は沖縄の歴史の中で特筆すべ
  き日になった。
   法的拘束力がないにもかかわらず、有権者の過半数が投票し、43万人を超える人々が新基地建設にノーを突き付けた。
  この事実を政府が無視することは断じて許されない。
  政府はこの結果を尊重し、新基地建設工事を直ちに中止すべきだ。市街地の真ん中にある米軍普天間飛行場は、県内移設
  を伴わない全面返還に方針を転換し、米側と交渉してもらいたい。まずは県民投票の結果をありのままに米国に伝え、理解を
  求めることだ。
   地元が反対する場所に基地を置くのは米国にとっても得策ではない。沖縄側の意向をくみ取る方が賢明だ。
  県民投票をせざるを得ないところまで沖縄を追い込んだのは、米国追従の姿勢を崩さず、知事選の結果さえ顧みない安倍政
  権だ。その背後には、沖縄に基地を置くのは当たり前だと思い込んでいたり、あるいは無関心であったりする、多くの国民の存
  在がある。
   県民投票を機に、基地問題を自分の事として考える人が全国で増えたのなら、投票の意義はさらに高まる。
  普天間飛行場の返還が具体化したのは1995年の少女乱暴事件がきっかけだ。米軍基地の整理縮小を求める世論の高まり
  を受け、5~7年で全面返還することを日米両政府が96年に合意した。
   当初示された条件は、普天間のヘリコプター部隊を、嘉手納飛行場など県内の既存の米軍基地内にヘリポートを建設し移転
  することだった。それが曲折を経て大規模な基地建設へと変容していった。
   23年前の県民投票で基地の整理縮小を求める強い意思が示された。だが今日、多くの県民の意向に反し、新たな米軍基地
  の建設が進められているのは由々しき事態だ。
  政府は辺野古移設が「唯一の解決策」と繰り返し述べているが、それは安倍政権にとっての解決策という意味しか持たない。
  新基地を建設したとしても普天間が返還される確証はない。「5年以内の運用停止」の約束をほごにしたように、さまざまな理由
  を付けて返還が先送りされる可能性が大きいからだ。
   さらに、建設工事の実現性も大きく揺らいでいる。予定地の軟弱地盤に対応し7万7千本のくいを打つ必要があるが、水深90
  メートルに達する大規模な地盤改良工事は世界的にも例がない。建設費は県が試算した2兆5500億円よりも、さらに膨らむ。
   沖縄の民意に反するばかりか、膨大な血税を浪費する荒唐無稽な工事と言わざるを得ない。玉城デニー知事は今回示された
  民意を足掛かりにして、断固たる決意で政府との交渉に臨んでほしい。

    


  辺野古埋め立て「反対」が7割超え 
 知事の得票上回る43万票 沖縄県民投票、投票率は52.48%

         2/25(月) 1:35配信     沖縄タイムス

   沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に必要な埋め立ての賛否を問う県民投票が24日、投開票された。3択のうち、埋め立てに
  「反対」は43万4273票に上り、投票総数の71・7%を占めた。県民投票条例で定める知事の結果尊重義務が生じる投票資格者総数の
  4分の1を超え、昨年9月の知事選で新基地建設反対を訴えて当選した玉城デニー知事が獲得した過去最多得票の39万6632票も上回
  った。「賛成」11万4933票で、反対が賛成の3・8倍に達した。「どちらでもない」は5万2682票。投票資格者総数は115万3591人で、投票総
  数は60万5385人。注目された投票率は52・48%だった。

   県民が新基地建設のみに絞って直接賛否を示す初の投票で、昨年の知事選などでも示された新基地建設反対の民意がより明確に示
  された。菅義偉官房長官は投票結果に関わらず工事を進める方針を示しており、政府の対応次第では県民の反発がさらに強まることは
  必至だ。

  県民投票に法的拘束力はないが、条例では3択の中で得票の多い方が4分の1に達したときは知事は結果を尊重し、首相や米大統領に
 通知すると定める。

  県民投票の条例制定を請求した「『辺野古』県民投票の会」の元山仁士郎代表は「沖縄の人の『うむい』(思い)を重く受け止めてほしい」と
 訴えた。

 県民投票を巡っては、5市長が一時不参加を表明したが、全県実施へ賛否の2択から新たに「どちらでもない」を加えることで県議会の全会派
 が合意し、知事提案で条例を改正。県議会の県政与党は労組や企業などで構成する「新基地建設反対県民投票連絡会」を立ち上げ、街頭な
 どで「反対の圧倒的民意を」と訴えた。一方、県政野党の自民や中立の公明、維新は自主投票として静観した。

 都道府県単位の住民投票は1996年9月に沖縄県が実施した、日米地位協定の見直しと米軍基地の整理縮小の賛否を問う県民投票以来、
 全国2例目。96年の投票率は59・53%だった。

 


    伊、法令で低空飛行規制

    沖縄県議会の独伊調査

     渡久地修 共産党県議団長総務企画委員長に聞く(上)

 
         2019・2・3   しんぶん・赤旗

    沖縄県議会の総務企画委員会は1月20~27日までドイツ、イタリアを視察しました。両国は日本と同じ米国の同盟国で、
   多くの基地を受け入れていながら、主権を強く主張し、米国とはより対等な関係を築いています。総務企画委員長の渡久地
   修県議(日本共産党県議団長)に成果や意義を聞きました。


    ゴンドラ事故受け

   イタリアでは、元NATO(北大西洋条約機構)第5戦術空軍司令官のレオナルド・トリカリコ氏、ランベルト・ディーニ元首相と
  意見交換しました。

   トリカリコ氏は、駐留米軍との関係について、「米国とイタリアは同盟関係にありましたが、それはお互い50%・50%の力関
  係で、ただ相手の言うことを100%うのみにせず、お互いに尊敬しながらやってきた」と強調しました。

   1998年に米海兵隊機が低空飛行でロープウエーのケーブルを切断し、ゴンドラに乗っていた20人が死亡した事件では、N
  ATO軍地位協定で「公務中」の事故について第1次裁判権は米側にあり、米国の軍法会議でパイロットらは無罪となりました。
  トリカリコ氏は「なぜ無罪になるのか」と強く抗議し、米国に「これはやりとりではなく強制だ」と迫って低空飛行のルールを変える
  法令をつくったことを紹介。「低空飛行がなくなり、市民はいま安心して生活しています」と話しました。

   また、NATOでは「駐留米軍が何をやるのかを100%把握して、許諾を出すのはその国の基地司令官であり、許諾がなけれ
  ば米軍は何もできない」と強調し、沖縄で米軍普天間基地(宜野湾市)所属の米軍ヘリが小学校に窓を落下させた事故について
  は、「あんなに密集しているところで訓練するのはまず無理だ。他の国ではあり得ない」と指摘しました。飛行訓練についても、夜
  間は「100%ない」と断言していました。「犯罪事件を日本の法律で裁けないことも完全に異常なことだ。いまの沖縄のあり方とい
  うのは、ありえないことだ」と強調していました。

   全国知事会が日米地位協定改定を政府に提言したことについて「少しずつ前に進んでいけば、絶対に不可能ではないと確信し
  ている」と話してくれました。

   沖縄は道理を貫け

  ディーニ氏は、NATOや世界各国の基地の在り方が、日本、特に沖縄には適用されず、沖縄は全部米国の支配下に置かれている
  と指摘し、「各国の法律を適用しなければならないという物事の道理を米国に分からせるべきだ。日本は米国に対し、言わなければ
  ならないものも言っていない。イタリアにも米軍基地がたくさんありますが、彼らに勝手なことはやらせない。イタリアのテリトリーでは
  イタリアが仕切るのです」と語りました。

  また、「人口は少数ですが、沖縄の県民が立ちあがって向かっていけば道理で勝利することができる」と語っていました。県民のたた
 かい、道理と正義が必ず勝利することを確信しました。

  


   ●レイバーネットに連載コラムを書いてきた松本昌次(まつもとまさつぐ)さんが、1月15日午前11時16分すぎ、入院先で91歳で
  亡くなりました。老衰でした。ご冥福をお祈りします。故人を偲ぶ文章が寄せられていますので、順次紹介します。なお連載コラム
  の一覧はこちらです。(レイバーネット編集部)

    松本昌次さんとの思い出

    木下昌明

*2013年春の講座で

   「松本さんが亡くなった」との電話が1月16日の朝にあった。その時は、そうか、もう年だからしかたないか、思って聞いていた。
  が、少しずつ時間がたつにつれて、じわりじわり胸にきた。しだいにやりきれない気分に襲われ、夜の街をよたよた歩いてみたりした。

   松本さんといえば、戦後の編集者として文学者のあいだではその名を知らない人はいないといっても過言ではない。わたしが若い頃
  読んだ『虚構のクレーン』の井上光晴をはじめ花田清輝、埴谷雄高、吉本隆明、長谷川四郎、広末保、等々。政治学では丸山真男、藤
  田省三など挙げていけばきりがない。わたしはそれらの人々の著書を読んで育った一人だった。

   のちにその奥書きに未来社の社名と松本さんの編集者名などをよんで、まるでお釈迦様の手のひらをあっち飛びこっち飛びしている
  孫悟空ではないか、と思い知らされた。

   わたしが松本さんと親しくさせていただくようになったのは、わたしが(いまはない)『新日本文学』の編集者時代、もうかれこれ50年にな
  ろうか。

   その頃、松本さんは未来社の編集長をされていて、わたしが花田清輝に原稿を依頼する電話をかけてもにべもなく断られるので、花田
  さんとよく会われていた松本さんに相談すると、即座に「電話ではダメです。家に押しかけることです」といわれた。さっそく電話せずに花田
  宅に押しかけると、奥から花田さんが出てきて、奥さんが紅茶を出して、いろいろ話すことができた。2度ともそれで成功した。

   また、松本さんは出版の仕事以外に演劇座という劇団を高山図南雄さんたちとつくり、花田さんの『泥棒論語』や広末さんの『四谷怪談』な
  どを大きな劇場でやられていた。なかでも俳優座での秋元松代の『常陸坊海尊』がすごかった。ラストで長ぐつをはいた農民の成り代わりの
  海尊像には感動した。そのとき母も連れていったが、母も同じように感動していたのに驚いた。

   それから松本さんとはいろいろあったが、わたしの本を影書房(松本さんが社長)から3冊出してくれた。編集中はなんだかんだと小さなケン
  カをしながらも出してくれたのがうれしかった。完成すると駒込駅そばの焼き肉屋でごちそうになった。--楽しかったなあ。-- いまは、ちあきな
  おみが歌った「紅い花」のような「騒いで飲んでいるうちに、こんなに早く時は過ぎるのか」の心境である。

   それから毎月、わたしが『月刊東京』で映画批評をかくようになって、そのつど松本さんに送って感想をきいた。松本さんは、誰よりも早く電話
  で批評してくれた。時々、批判したり、いやみをいったり、頭にきたこともあったが総じてありがたかった。よく議論をしたのは是枝裕和の家族映
  画をめぐっての評価で、よく意見が分かれた。

  わたしが『万引き家族』についてかいたときは、「有楽町でまだ上映している」と、足が不自由なのにわざわざみにいった。これにはあぜんとした。
  いつも「足が悪くて外には出ない」といばっていたのに。

  今度も『月刊東京』を送る矢先だった。残念である。松本さんの思い出をかけばきりがないが、ここでひとまずペンをおく。失ったものの大きさをい
  ま噛みしめている。松本さん、ありがとうございました。

 


   民主主義とは何かー 5日間、計105時間に及ぶ
 ハンガーストライキで元山仁士郎さんが訴えたかったこと

     1/21(月) 21:04配信    琉球新報

    米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の埋め立て賛否を問う県民投票を巡り、投票事務を拒否している5市長
   に参加を求めるため、「辺野古」県民投票の会代表の元山仁士郎さん(27)が実施したハンガーストライキは15~19日
   の5日間、計105時間に及んだ。

    その間、多くのメディアの取材を受けた元山さんは県民投票の全県実施以外にもさまざまな問いを県民や国民全体に投
   げ掛けた。民主主義とは何か、基地問題を巡る県民の分断をどう乗り越えるか、基地問題は日本全体の問題ではないの
   か―。

    元山さんの言葉から、5日間を振り返る。
   ■民主主義の根幹

    連日、繰り返し訴えたことは「民主主義とは何か」という問いだった。

   「2019年の民主主義国家と言われている日本、沖縄において、住民の口をふさぐという行為があり得ていいのか。投票権
  を奪うのは人権侵害だ」

   ハンストと並行して市役所前で集めた、5市長に投票事務の実施を求める請願書には辺野古移設に賛成の人も署名した。

   「『自分は埋め立てに賛成だけど、投票権を奪うのはおかしい』と言って署名する方もいた。県民投票に疑問を持ってる人も
  白票を投じたり、投票に行かないということもできる。そういう全部の声を投票で選ばれた市長が奪うことにものすごく違和感を
  感じる」

   終戦から23年が経過した米統治下の1968年、自治権獲得を求める長い住民運動の末、主席公選が実施された沖縄。
  元山さんは「沖縄は(主席公選の)投票権を50年前にようやく勝ち取った。それを今、沖縄の市長たちが取り上げるというのは
  すごく皮肉なことだと思う」と語り、繰り返し5市長に翻意を促した。

   ■民意の明確化

   そもそも、なぜ県民投票が必要と考えるのか。元山さんは琉球新報が昨年4月に実施したインタビューで「新基地反対の民意
  は既に選挙で示されていると主張されているが、15年に出された福岡高裁那覇支部の判決は辺野古新基地建設に対する民意
  は選挙からは明らかでないと指摘している」と説明した。

  その上で単一の争点で投票をすることで、辺野古埋め立ての賛否に対する民意を明確化する必要性を訴えている。

  またハンスト2日目の16日午前、元山さんにインタビューをするため、市役所を訪れたお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の
  村本大輔さんの質問に対し、こう答えた。

  「やっぱり沖縄のことは沖縄人たちで決めたい。みんなで決めたなら、賛成でも反対でも自分は納得できると思う」

  「県全体で一つの結論を出して、終止符を打つ。賛成なら移設の工事が進んでいく。一方で反対ならもう辺野古に基地は造らせ
  ない。日本全体で他の方法を考えるべきだ」

   ■分断を乗り越える

   米軍普天間飛行場に近い宜野湾市野嵩出身の元山さん。

  「小学校低学年までは飛行機に向かって『うるさい』と叫んでいたが、高学年になると見向きもしなくなり、感覚がまひしていった」と
  言う。

   しかし東京の大学に進学し、基地や騒音の無い場所に住んで初めて基地が集中する沖縄の異常さに気付いた。それを機に自
  ら沖縄の歴史や基地問題、民主主義の在り方を学んだ。選挙で示された民意に反して進む辺野古の移設工事、基地問題を巡り
  深まる県民同士の対立や分断。その分断を乗り越えようと、たどり着いた答えが県民投票だった。

   ハンスト中、元山さんには署名に来た人やツイッターへの書き込みで「非暴力の訴え、胸に刺さります」「応援してます。民主主義
  が守られますように」など激励する声が多く寄せられた一方で、ツイッターでは「ただの目立ちたがり屋」など批判的な意見も書き込
  まれた。

   市役所前には連日右翼団体が車両で乗り付け「市民の迷惑なんだよ」などと罵声を浴びせる場面も多かった。

  それでも元山さんは「多くの県民が話をして、調べて、考えて、納得のいく一票を入れてほしい。その過程をしっかり経れば、今の
  対立や分断は必ず乗り越えられる」と信じる。

  「辺野古の基地建設とか、普天間基地をどうするかとか、将来自分の子どもや孫から絶対聞かれると思う。その時、自分の言葉
  で何をしたか話したい。できることはしたい」と語った。

  ■沖縄とハンスト

   元山さんに「なぜハンストという手段を選んだのか」と問うと、こんな答えが返ってきた。

  「沖縄の歴史をひもとくと、県民は権利や土地、暮らしを守るためにハンガーストライキで権限を勝ち取ってきた」

  マハトマ・ガンジーの断食に由来する非暴力の抵抗であるハンスト。

  現代ではなかなか聞き慣れない言葉だが、米統治下の27年間を含む沖縄の戦後史とは、深い関わりがある。

  沖縄戦後初の大規模労働争議として知られる1952年の日本道路社ストライキでは、抗議の手段として既にハンストが用いられて
  いた。

  50年代以降、軍用地の長期使用のための地料一括払いなどを勧告した56年のプライス勧告に端を発した「島ぐるみ土地闘争」や
  教職員の政治行為を禁じた「教公二法阻止闘争」など、米統治下における自治権拡大を求める運動、そして祖国復帰運動と長い抵
  抗の歴史が続く。

  近年でも2013年に普天間飛行場へ垂直離着陸輸送機MV22オスプレイがに強行配備された際も市民がハンストに取り組んだ。

   ■日本の問題

   期間中、元山さんは基地問題について「日本の問題」との発信も続けていた。

  19日夕、記者団による最後の囲み取材で県外の地方紙記者から向けられた「本土の人たちに訴えたいことは」との問いに「沖縄の
  歴史を考えると日本の責任も大きく問いたい。

   本土からなされた海兵隊の移転とか、米軍基地を巡る沖縄の不条理な現状とか、そういうことが積もりに積もって沖縄が県民投票
  でどうにかまとまれないかと模索している。どこに向けてまとまるかというと、それは東京であり、日本だ。私がハンストをしている理由
  や沖縄の歴史をぜひ知っていただきたい」と訴えた。

   沖縄で生まれた27歳の若者が、戦後74年がたち、「平成」の時代が終わろうとする今、なぜ過酷なハンストをするに至ったのか。
  全国紙や県外の地方紙、全国ネットのテレビ局、ネットメディアなどでも報じられた元山さんの「言葉」。

   全国の人たちはどう受け取るのだろうか。

   【元山さんがハンガーストライキを行うまでの経緯】

   県民投票の会は昨年5月23日から7月23日の2ヶ月間をかけ、県内全市町村で県民投票の実施を求める署名活動を行った。

  有効署名数で9万2848筆(総署名数10万950筆)を得た。この数字は、条例の直接請求に必要な有権者の5分の1の約4倍に上る。

  同会はこの署名を根拠に県へ条例制定を請求し、県議会は昨年10月26日に条例を可決した。今年2月14日に告示、24日に投開票
  されることになった。 

   しかし宜野湾、沖縄、うるま、石垣、宮古の5市長が「賛成、反対の2択では民意が反映されない」「結果次第で普天間飛行場の固定化
  が懸念される」「5億5千万円の予算をかけるなら、他に使い道はある」などの理由を挙げ、県条例で市町村の実施が定められた投票事
  務を拒否した。

  現状では有権者の約3割が投票できない可能性が高い。

  その動きを受け、元山さんは5市長に県民投票への参加を求めるため、自身が住所を置く宜野湾市の役所前で15日午前8時からハン
  ガーストライキを開始した。

 


  元山さんに激励続々 県民投票参加訴えハンスト3日目 
     投票権剝奪、怒り拡大

 


  <社説>県民投票全県断念へ 権利侵害の議論が必要だ

    名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票を巡り、玉城デニー知事は、実施を拒んでいる市が不参加でも
   予定通り2月24日に実施すると表明した。賛否2択の選択肢を見直して不参加を決めた市に譲歩したり、県が市に代わって投票事務
   を実施したりするのは困難と言う。いずれの方法でも県民投票条例を改正する必要があるが、改正しない考えだ。
    これまで沖縄、うるま、宜野湾、宮古島、石垣の5市長が不参加の方向だ。県は地方自治法に基づき投票事務の実施を勧告し、是正
   の要求も行う予定だが、これらの市長が翻意する公算は極めて小さいとみられている。このため条例を改正しない決断は、全市町村で
   の投票実施を事実上、断念した形だ。
    知事がその結論を出したのは、県議会与党の意向を尊重したことが大きい。与党内は条例改正に否定的な意見が強い。選択肢を変
   えると、逆に賛否2択で実施を決めた市町村からの反発が予想される。
    県が市に代わって投票事務を行う場合は、参加を拒む市から事務に必要な選挙人名簿を提供してもらえるか不透明であることに加え、
   作業に膨大な時間を要する。このため投票日の延期を検討せざるを得ない。こうした混乱を回避する判断が働いた。
    参加を拒む市長は「チーム沖縄」のメンバーだ。翁長雄志前知事の誕生時から、辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」勢力に
   対抗してきた市長たちである。その観点から見ると、県民投票を政争の具にしている感もある。玉城県政の失点をつくり、足を引っ張る
   狙いが透けて見える。そうだとすれば、与党が譲歩しても、また他の理由で反対する可能性は否めない。
    実際、弁護士資格を持つ宮崎政久衆院議員(自民)が市町村議員に文書を配り、県民投票への反対を呼び掛けていたことが判明した。
   投票を実施させない、あの手この手を指南していた。全県実施を阻止することで県民投票の意義を損ねさせる政治的意図は明白だ。民
   主主義を否定する行為と言わざるを得ない。
    投票事務の予算を否決した市議会や市長の判断も問題だ。間接民主制を取る中で住民投票は、より成熟した民主主義に近づけるため
   に保障された権利である。市長らは市議会の意思を尊重したと言うが、有権者は市長や議員に行政運営や政策の判断は託しても、住民
   の権利を奪うことまでは委ねていない。住民による直接の意思表明の権利を奪うことは重大な権利侵害だ。
    玉城知事は知事選で「一人も取り残さない」と強調し、民主主義の理念を訴えてきた。5市で実施されない場合は任意の投票などが模索さ
   れているが、知事は有権者に対し説明を尽くすべきである。有権者は、新基地の是非だけではなく、住民の権利侵害についても議論を深め、
   意思を示す必要がある。

 


  木村草太氏が緊急寄稿 「県民投票不参加は憲法違反」

             2019年1月10日   沖縄タイムス
          木村 草太(きむら そうた)  憲法学者/首都大学東京教授  

    1980年横浜市生まれ。2003年東京大学法学部卒業し、同年から同大学法学政治学研究科助手。2006年首都大学東京
   准教授、16年から教授。法科大学院の講義をまとめた「憲法の急所」(羽鳥書店)は「東京大学生協で最も売れている本」「全法
   科大学院生必読書」と話題となった。主な著書に「憲法の創造力」(NHK出版新書)「テレビが伝えない憲法の話」(PHP新書)「未
   完の憲法」(奥平康弘氏と共著、潮出版社)など。
   ブログは「木村草太の力戦憲法」http://blog.goo.ne.jp/kimkimlr
   ツイッターは@SotaKimura

      9秒でまるわかり!

  • 住民投票条例は、市町村に投票事務の拒否権を与えるものではない
  • 居住市町村によって投票できず、憲法14条(法の下の平等)に反する
  • 投票へのアクセス否定は憲法21条(表現の自由)侵害と認定の恐れも

    沖縄県名護市辺野古の新基地建設是非を問う県民投票について、下地敏彦宮古島市長が不参加を改めて表明するなど、県が
   全41市町村の参加を呼び掛ける一方、実施する方針の市町村は現時点で35にとどまる。県民投票の事務処理拒否は、憲法上も
   問題があると指摘する木村草太首都大学東京教授が本紙に寄稿した。

      木村草太氏

   ◇    ◇

   沖縄県議会で昨年10月に成立した住民投票条例に基づき2月24日、辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票が実施されることにな
  った。地方自治法252条の17の2は、「都道府県知事の権限に属する事務の一部を、条例の定めるところにより、市町村が処理する
  こととすることができる」とする。今回の住民投票条例13条は、この規定を根拠に、投票に関する事務は「市町村が処理する」こととした。
   なぜそうしたのかと言えば、投票所の設置や投票人名簿の管理は、国や県よりも地元に密着した市町村が得意とする事務だからだ。
  つまり、今回の事務配分は、各市町村に投票実施の拒否権を与えるためではなく、あくまで県民投票を円滑に実施するためのものだ。
   しかし、宜野湾市や宮古島市で、県民投票の事務処理を拒否する動きが進んでいる。この動きには、地方自治法・県条例のみならず、
  憲法の観点からも問題がある。
  一番の問題は、憲法14条1項が定める「法の下の平等」に反することだ。一部の市町村で事務執行がなされないと、住んでいる場所に
  よって「投票できる県民」と「投票できない県民」の区別が生じる。「たまたま特定の市や町に住んでいた」という事実は、県条例で与えら
  れた意見表明の権利を否定するだけの「合理的な根拠」とは言えない。したがって、この区別は不合理な区別として、憲法14条1項違反だ。
   この点、投票事務が配分された以上、各市町村は、その区域に居住する県民に投票権を与えるかどうかの選択権(裁量)を持つはずだ
  との意見もある。しかし、「県条例が、そのような選択権を認めている」という解釈は、県民の平等権侵害であり、憲法14条1項に反する。
  合憲的に解釈するならば、「県条例は、そのような選択を認めていない」と解さざるを得ない。
   この点については、昭和33年(1958年)の最高裁判決が、「憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上、地域によって差別を
  生ずることは当然に予期されることであるから、かかる差別は憲法みずから容認するところ」との判断を示していることから、自治体間の差
  異は許されるのではないか、との疑問を持つ人もいるかもしれない。
   しかし、この判決は、各自治体の条例内容の差異に基づく区別についての判断だ。今回は、各市町村が自らの事務について独自の条例
  を定める場面ではなく、県条例で与えられた県民の権利を実現する責任を負う場面だ。最高裁判例の考え方からも、地域による差別は許容
  されない。
   さらに、平等権以外にも、問題となる権利がある。県民投票は、県民全てに開かれた意見表明の公的な場である。県民の投票へのアクセ
  スを否定することは、憲法21条1項で保障された「表現の自由」の侵害と認定される可能性もある。さらに、憲法92条の規定する住民自治の
  理念からすれば、「県政の決定に参加する権利」は、新しい権利として憲法13条によって保護されるという解釈も成り立ちうる。
   このように考えると、各市町村の長や議会には、県民の憲法上の権利を実現するために、「県民投票に関わる事務を遂行する義務」がある。
  議会が関連する予算案を否決したり、長が地方自治法177条の原案執行を拒否したりするのは、この義務に反する。訴訟を検討する住民も
  いると報道されているが、市町村が事務執行を拒否した場合、裁判所も厳しい判断をする可能性がある。
   もちろん、「県民投票反対の市民の声を代表しなくてはならない」との責任感を持つ市町村長や議員の方々がいるのは理解できる。しかし、
  宜野湾市や宮古島市にも、県民投票に参加したいと考える市民は多くいる。そうした市民の声にも耳を傾けるべきだろう。
   ちなみに、県条例は棄権の自由を認めているから、県民投票反対の県民は、市長や市議会議員に代表してもらわなくても、棄権という形で
  抗議の意思を表明できる。市民全員に棄権を強制することは不合理だ。
   前回の参議院議員選挙では、徳島県と合区選挙となった高知県で、大量に「合区反対」と書いた棄権票が投じられたことが話題となった。
  今回の県民投票でも、棄権票に「県民投票反対」と書いて、強い反対の意思を表示することもできる。宜野湾市で、千単位、万単位のそのよ
  うな棄権票が出れば、大きな話題となるはずだ。
   県民投票は、県民の重要な意見表明の機会だ。沖縄県内の市町村長・議会議員の方々には、ぜひ、県民の権利を実現する憲法上の義務
  のことも考えてほしい。(首都大学東京教授、憲法学者)

    きむら・そうた 1980年、横浜市生まれ。東京大学法学部卒業、同大助手を経て2006年から首都大学東京准教授、16年4月から教授。
   主な著書に「憲法の創造力」や共著「憲法の条件―戦後70年から考える」など多数。本紙に「憲法の新手」連載中。ブログは「木村草太の力
   戦憲法」。ツイッターは@SotaKimura。

 


 

    県民投票妨害へ資料

     沖縄 自民国会議員が配布

       不参加5市長の見解重なる

            2019・1・15   しんぶん・赤旗


   来月24日の沖縄県名護市辺野古米軍新基地建設の埋め立ての賛否を問う県民投票の各市町村実施を阻止するため、自民党
  国会議員が資料を作成し、市町村議員らを対象とした勉強会で配布していたことが14日までにわかりました。資料の内容は、県民
  投票不参加を表明する5人の市長の見解や、県民投票に反対する議員らのこれまでの論陣の大部分と重なります。


  本紙が入手した同資料は「県民投票条例への対応について」と題し、弁護士資格を持つ自民党の宮崎政久衆院議員の名前が記載さ
 れています。

  「投票結果を受けて(特に埋め立て反対が多数となった場合)、普天間飛行場の危険性除去をどのように進めるかが検討されていな
 い」「5億5千万円の税金を投入して、市町村の事務負担も発生させて実施する意味が、費用対効果の面からも存在しない」などと記述
 されています。

 資料の項目「2 市町村議会において問題提起を行うタイミング」の中で、「県民投票に反対する意見書の採択」「投票事務に必要な予算
 案を否決する」を挙げています。

  資料は、県民投票実施に関わる予算を議会が再議でも否決した場合、地方自治法に基づいて市町村長の予算の原案執行は「可能で
 ある」と解説。しかし、議会の否決に反して「市町村長が予算案を執行することは議会軽視であり、不適切である」と断言しています。

  宮崎氏は本紙の取材に対し、資料の作成・配布を認めました。同氏の説明によると、少なくとも宜野湾市で2回、うるま市で1回、昨年11、
 12月に勉強会を開きました。「県民投票の実施には反対。自分の考えを伝えたけれど強制するものでもないし、議員の皆さんが自由に判
 断するべきもの」と語りました。

 県民投票不参加を市長が表明している市は、石垣、宮古島、宜野湾、沖縄、うるまです。




  「辺野古移設中止を」 海外識者29人が声明

   米国やカナダ、オーストラリアほかヨーロッパの世界的に著名な有識者や文化人のグループが8日午前(米国時間7日)、「沖縄
  への新たな基地建設に反対し、平和と尊厳、人権、環境保護のために闘う県民を支持する」との声明を発表する。声明には名護
  市辺野古への普天間飛行場の移設中止と、同飛行場の即時返還の主張を明記する。

   呼び掛け人には言語学者のノーム・チョムスキー氏や、アカデミー賞受賞の映画監督オリバー・ストーン氏、北アイルランド紛争の
  解決に尽力したノーベル平和賞受賞のマイレッド・マグワイア氏ら29人が名を連ねた。普天間問題について、世界的な識者らが
  連名で声明を発表するのは異例だ。
   呼び掛け人はほかに終戦直後の日本の民主化に焦点を当てた「敗北を抱きしめて」でピュリツァー賞を受賞した歴史学者ジョン・
  ダワー氏、アカデミー賞受賞映画監督のマイケル・ムーア氏、国連のパレスチナ問題特別報告者でプリンストン大名誉教授のリチ
  ャード・フォーク氏、琉球新報社の池宮城秀意記念賞を受賞したガバン・マコーマック氏、ジャーナリストで「ショック・ドクトリン」著者
  のナオミ・クライン氏らが名を連ねる。
   声明文は、安倍晋三首相の求めに応じ、仲井真弘多知事が普天間飛行場の辺野古移設に向けた埋め立てを承認したことに対し
  「人間と環境を犠牲にして沖縄の軍事植民地状態を深化し拡大させるための取り決めに反対する」と表明する。
  辺野古移設について、近年の県民世論調査で7~9割が反対していることに触れ、県外移設を公約に掲げた知事が埋め立てを承
  認したことを「県民の民意を反映したものではない」と指摘、「県民に対する裏切り」と批判する。普天間飛行場について「終戦後返
  還されるべきだった」と述べ、普天間の返還について「条件がつくことは本来的に許されない」と主張する。
   米平和団体アメリカンフレンズ奉仕委員会のジョセフ・ガーソン氏は声明の目的について、「沖縄の約70年にもおよぶ軍事植民
  地化を終わらせ、自らの尊厳と人権を守り、平和と環境保護を確保するための非暴力運動への国際的支援を集める」と述べている。

 


   「国民、沖縄は入っている?」 
      岩屋防衛相発言 県内、憤る声相次ぐ

        2016・12・16   琉球新報

    岩屋毅防衛相が15日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設は「日米同盟のためでなく、日本国民のためだ」と発言したことに、
   新基地建設に反対する市民からは「日本国民の中に沖縄県民は入っているのか」「正当化するための口実だ」など、怒りの声が噴出した。
    この日、辺野古の海上でカヌーに乗り抗議した芥川賞作家の目取真俊さん(58)は「政府は沖縄にだけに負担を押し付けている。岩屋防
   衛相に『日本国民』の中に沖縄が入っているかどうか、聞いてみたい」と語気を強めた。県民の民意を無視して新基地建設を強行する国に
   「日本全体のために一つの地域を犠牲にするやり方は民主主義から反している。国は沖縄に長年にわたって基地を押し付けてきた。政府
   が沖縄のことを何も考えていないことがよく分かる」と批判した。
    県立宜野湾高校の英語教諭で宜野湾市在住の宮城千恵さん(60)は、自宅でも学校でも米軍機の爆音による不快感や、事件・事故への
   危機感を抱えながら生活していると訴える。宮城さんは「繰り返し示された沖縄の民意は伝わっているのか。一度、基地のある街に住んで
   から発言してほしい」と憤りをあらわにした。
    沖縄国際大学であった米軍基地に起因する環境汚染問題を考えるシンポジウムに参加した70代男性は「米軍基地の存在感を正当化す
   るための口実だ」と指摘し「本来、国防は国民を守るためのものだが、基地の過重な負担が続く沖縄にとっては危険を呼び込むのと同じ」と
   口調を強めた。

 

  辺野古土砂投入:デニー知事のコメント全文
       「地方自治を破壊する行為」

           2018年12月14日     沖縄タイムス

   本日、普天間飛行場代替施設建設事業に係る名護市辺野古の工事現場に職員を派遣したところ、土砂投入作業が行われた
  ことを確認しました。沖縄県が去る8月31日に行った埋立承認取消しに対して沖縄防衛局が、行政不服審査制度を悪用し、自ら
  を「固有の資格」ではなく私人と同様の立場であるとして、審査請求及び執行停止申立てを行ったことは違法であり、これを受け
  て国土交通大臣が行った執行停止決定もまた、違法で無効であります。
   県は、このような違法な執行停止決定の取消しを求めて去る11月29日に国地方係争処理委員会に審査を申し出ておりますが、
  同委員会での審査は済んでおらず、現時点において何ら、本件執行停止決定に係る法的な判断は示されておりません。
   また、県は、去る12月12日に、沖縄防衛局に対して行政指導文書を発出し、違法無効な本件執行停止決定を根拠として埋立工
  事を行うことは許されないこと等から、エ事を進めることは断固として容認できず、ましてや土砂を投入することは絶対に許されない
  として、直ちに工事を中止するよう強く求めたところであります。
   私は、昨日、菅官房長官及び岩屋防衛大臣と面談し、行政指導文書の内容を説明するとともに、違法な土砂投入を行うことは決
  して容認できないことを伝え、改めて土砂投入の中止を強く要求しました。それにもかかわらず、国が、このような県の要求を一顧だ
  にすることなく土砂投入を強行したことに対し、激しい憤りを禁じ得ません。
   国は、一刻も早く工事を進めて既成事実を積み重ね、県民をあきらめさせようと躍起になっていますが、このような行為は、逆に沖
  縄県民の強い反発を招き、工事を強行すればするほど県民の怒りはますます燃え上がるということを認識するべきであります。
   数々の違法な行為を行い、法をねじ曲げ、民意をないがしろにし、県の頭越しに工事を進めることは、法治国家そして国民に主権
  があるとする民主主義国家において決してあってはならないことであります。
   国が、地方の声を無視し、法をねじ曲げてでも国策を強行するやり方は、地方自治を破壊する行為であり、本県のみならず、他の
  国民にも降りかかってくるものと危惧しております。
   沖縄県民、そして全国民の皆様には,このような国の在り方をしっかりと目に焼き付け、心に留めていただき、法治国家そして民主
  主義国家としてあるまじき行為を繰り返す国に対し、共に声を上げ、共に行勤していただきたいと思います。現時点ではまだ埋立工
  事全体の一部がなされているにすぎず、また、工事の権限のない者によって違法に投入された土砂は、当然に原状回復されなけれ
  ばなりません。
   県としては、国地方係争処理委員会への審査申出など、執行停止の効力を止めることに全力をあげているところであり、今回土砂
  を投入したとしても、今後、軟弱地盤等への対応が必要であり、辺野古新基地の完成は見通せないものであります。
   普天間飛行場の5年以内運用停止を含む危険性の除去は喫緊の課題であり、県としては、今後13年以上にも及ぶ固定化は認めら
  れません。今後も引き続き、同飛行場の一日も早い閉鎖・返還・県外・国外移設及び運用停止を含む危険性の除去を政府に対し、強
  く求めてまいります。
   私は、多くの県民の負託を受けた知事として、ぶれることなく、辺野古新基地建設に反対するという民意に添い、その思いに応えたい
  と思いますので、県民·国民の皆様からも一層の御支援、御協力をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

     平成30年12月14日 沖縄県知事 玉城デニー

 


  ついに土砂投入 辺野古工事は“13年2.5兆円”でも終わらない

            

    安倍政権が14日午前、米軍・辺野古新基地の埋め立て工事用の土砂を投入した。沖縄県が示した総事業費10倍増の仰天試算
   を握り潰して、環境破壊を本格化だ。
   玉城知事は先月28日の安倍首相との会談で試算を伝えた。積算根拠は、現状の工事費が当初計画の約12倍に膨らんでいること。
   昨年度末までの契約分は約1426億円。総工費2405億円の約6割に達し、うち約920億円は支払い済み。
   「現状までは約78億円で済む計画でした。残りの工事費も少なくとも10倍になると見積もり、総額2.5兆円と試算しました」(沖縄県
   庁辺野古新基地建設問題対策課)
   工期も延びる。埋め立て海域160ヘクタールの約3分の1が、マヨネーズ並みの軟弱地盤である可能性が判明。県は埋め立て工期5
   年に、5年の地盤改良工事を追加し、費用は約500億円と見込むが、まだ増えかねない。 
    「海中作業を伴う地盤改良は実現が危ぶまれる難工事。地盤沈下の恐れがある関西国際空港の地盤改良も大変で、広さ528ヘク
   タールの2期工事は埋め立て費を含め、1兆円を超えた。辺野古の地盤改良に必要な土砂やコンクリートだけで1平方メートル当たり
   10万円では収まらない。最終的に数千億円単位のオーダーとなりかねません」(ある建築士)
    さらに県は滑走路などの施設整備などで3年を追加。工期は計13年かかるとみるが、米海兵隊の計画資料では、埋め立て後5年度
   分まで基地機能の着工時期を列挙し、新基地の核心となる軍港機能などは未記載のまま。いつ工事が終わるのかは、まったく不明だ。
   完了後も米国防総省による認証手続きに1~2年程度かかり、実際には2030年代半ばまでズレ込む可能性すらある。
   1996年12月、日米両政府が普天間基地の「5~7年以内の返還」で合意してから、もう22年。その上、15~20年も工事を続ける気
   なのか。


    「ヤマトに踏みにじられた記憶」のモニュメント 新基地

           12/15(土) 0:52配信     朝日デジタル

     ■「壊される海、民主主義崩壊と重なる」江上能義・琉球大名誉教授(政治学)

   沖縄は太平洋戦争で、本土決戦準備の時間稼ぎのために大きな犠牲を払い、戦後も70年以上、重い基地負担を背負わさ
  れてきた。「普天間飛行場を返してもらうために、なぜ新たな基地を差し出さなければならないのか」。沖縄側が発しているのは、
  極めて穏当な、当たり前の問いにすぎない。
   しかし安倍政権は、台風で壊れた港湾の代わりに民間の桟橋を使って土砂を搬出するなど強行策を次々と繰り出し、なりふり
  構わず土砂投入にこぎつけた。一地域の民意が丸ごと切り捨てられるというのは、民主主義国家として異常だ。こんな形で「新基
  地」を完成させたとしても、沖縄の人にとって「ヤマト(本土)にまた踏みにじられた記憶」を象徴するモニュメントになるだけだろう。
   日本の安全保障のために、米海兵隊の沖縄駐留が必要という意見は確かにある。辺野古への移設計画は国際的な約束であり、
  見直しは難しいのかもしれない。
   しかし、たとえそうだとしても、少数意見を尊重し、議論をあきらめずに解決策を探るのが本来の民主主義だ。辺野古の海が壊さ
  れていく光景は、この国の民主主義が崩壊していく姿とまさに重なって見える。


     ◇

  えがみ・たかよし 専門は比較政治学と開発行政学。77年から25年間、琉球大で教授などを務めた。
  03~17年は早大大学院教授。

 


 

 辺野古基地の建設強行も…“マヨネーズ並み”地盤で海に沈む

         :

    安倍政権が辺野古沿岸部への土砂投入を14日に始めることを正式表明した。沖縄防衛局は3日午前から搬出船への土砂の積
   み込み作業を開始。岩屋毅防衛相は「不退転の決意か」と記者団に問われ、「そうだ。沖縄の負担軽減や普天間返還のための唯一
   の方策が辺野古移設」と答えたが、ちゃんちゃらおかしい。

   第2次安倍政権の発足以降、歴代防衛相の平均在任期間は約1年2カ月。コロコロ代わる短命ポストの岩屋に「不退転」と言われて
   も重みはないが、実は現行計画での辺野古基地建設は不可能に近い。要因は「軟弱地盤」の存在だ。

    今年3月に公表された沖縄防衛局の地質調査報告書(16年3月作成)によると、予定地の護岸付近で水深30メートルの底に、深さ
   40メートルにわたって非常に緩い砂地や軟らかい粘土が見つかり、液状化や沈下の恐れがあるのだ。
    大規模建設の際、地盤の強度を示すN値は50程度必要とされるが、問題の地点のN値はゼロ。専門家が「マヨネーズ並みの軟らか
   さ」と指摘するという超が付く軟弱さ。調査報告書で沖縄防衛局も「当初想定されていない特徴的な地形、地質」「非常に緩い・軟らかい」
   と記し、驚きを隠せないほどである。

   「現行計画だと大規模な地盤改良が必至で、その場合、設計変更は不可避です。変更には沖縄県の玉城知事の承認が必要ですが、
  当然認めず、工事は頓挫する。行き詰まりを回避するため、安倍政権は地盤の追加調査を2年半も引き延ばし、軟弱地盤が含まれる
  地点の実施設計も県に提出しない。露骨な時間稼ぎで、設計変更のいらない地点の工事を進め、基地建設の既成事実を積み上げ、
  県民が諦めるのを待っているのでしょう」(辺野古移転問題を取材するジャーナリストの横田一氏)

   不退転の決意で建設を強行しても、完成した基地はいずれ海中にズブズブ沈み、トランプ米大統領に大目玉を食らうだけだ。これ以上、
  強引な既成事実の積み上げは壮大な血税のムダ。サッサと工事をやめるべきだ。


 <社説>安田純平さん解放 取材の意義を理解したい

20181027日    琉球新報

  内戦下のシリアで武装勢力に拘束されていたジャーナリストの安田純平さん(44)が2015年6月以来およそ
 3年4カ月ぶりに解放された。虐待や暴力を受け、地獄のような日々だったという。無事に帰国できたことを喜び
 たい。

  安田さんは内戦を取材するためトルコ南部からシリア北西部に入国した後、行方不明になった。これまでに、本人
 とみられる映像や画像が4回公開されている。動画サイトに投稿された今年7月の映像は「助けてください」と訴え
 る内容だった。
  独房に監禁されている間、足を伸ばして寝ることを禁じられる状態が8カ月も続いたという。行動を厳しく制限さ
 れた。よくも正常な精神状態を維持できたものだ。まずは休養に専念してほしい。
  安田さんは04年にもイラクの首都バグダッド郊外で取材中、武装集団に一時身柄を拘束されたことがある。
「現場に行き、事実を伝える」という信念から、その後もイラクなどで精力的に取材を続けた。
 自らイラクで料理人として働き「ルポ 戦場出稼ぎ労働者」(集英社新書)を上梓(じょうし)した。「『取材者』と
 してではなく、職場の同僚としてイラク人と接することで、これまでとは違った彼らの顔を見ることができた」「再び
 イラクへ行ってよかった」と記している。
  拘束されたのは身代金目的だったとみられているが、日本政府は支払いを否定した。
 菅義偉官房長官は「官邸を司令塔とする『国際テロ情報収集ユニット』を中心にトルコやカタールなど関係国に働き掛
 けた結果だ」と説明している。政府が安田さんの解放にどう関わったかは明らかにしていない。
 ネット上では「危険な紛争現場に行って迷惑を掛けている」などとして「自己責任」を問う書き込みも見られる。
 現場の状況を直接確認し、何が起きているのか正しく伝えることは報道に携わる者の基本だ。戦地であっても例外では
 ない。
  世界中のジャーナリストが生命の危険を冒してまで紛争地に赴くのはそれだけの価値があるからだ。現地での取材は必
 要であり、意義は大きい。人道に反する残虐行為が行われていても、ジャーナリストがそこにいなければ、世界に真実が
 伝わっていかない。
  国家の言うがままに取材を自粛したり抑制したりすることが当たり前になれば、体制側にとって都合の悪い事柄は表に
 出なくなる。事実上の情報統制にもなりかねない。
 「自己責任」という批判は一面的であり、ジャーナリズムを尊重する視点が抜け落ちている。
 15年1月には安田さんとも交流のあったフリージャーナリストの後藤健二さんが「イスラム国」(IS)とみられる過激
 派組織に殺害された。
 今回、安田さんの身には何が起きたのか。経緯と原因を分析し、今後に生かすことも大切だ。

 

 


   「市民の幸せ 一番に」 再選した城間さん誓い新た 
       故翁長さんの思いかみしめ

   良し、良し、良しっと何度も拳を握りしめた。午後8時、テレビが「当選確実」を伝えると、再選を決めた城間幹子さん(67)はガッツ
  ポーズを見せ、那覇市松山の選挙事務所は歓声と指笛、拍手が湧き起こった。笑顔とカチャーシーに包まれた城間さんは「那覇市の
  “お母さん”として、市民の幸せのために懸命に働く」と力強く誓った。

   4年前、那覇市初の女性市長として当選した。翁長雄志前知事の後を継ぎ、協働のまちづくりを発展させてきた。一方で翁長市政継
  続の色が強く、「城間カラーは何か」と問われることも多かった。

  「得意分野は教員経験を生かした教育・子育て。苦手な部分は職員や市民と補完し合う」。自身のリーダー像をつくりあげていった。

  「頑張りなさい」。2期目の出馬を表明した7月24日、翁長さんからそう声を掛けられた。約2週間後、中学高校の同級生でもある翁長
  さんが急逝。まぶたが腫れるほど泣きはらした。告示日、翁長さんの後援会から「翁長カラー」である緑のリボンを託された。「お守り」に
  と、選挙戦ではいつもたすきに着け、選挙戦を戦った。

   公務の合間を縫って遊説やあいさつ回りをこなし、多い日は1日に20カ所以上で演説。「実績がない」との批判には「市民は分かってく
  れているはずだ」と市民を信頼した。終盤は夕食が口に入らないほど疲れがたまっていたが、市民からの「頑張って」「応援してるよ」の声
  を受け、小柄な体で市内を駆け回った。

   当選の報を聞いた時、白いハンカチを握りしめ、静かに開いた。緑のリボンがのぞいた。支持者と抱き合った城間さんは「平和でなけれ
  ば市民の幸せは実現できない。温かで優しい市政運営をしていく」と柔らかな笑顔を見せた。


 


      那覇市長選 城間氏再選へ奮闘

      沖縄創価学会壮年部員 宮城一展さん

      デニー県政と連携 平和願う


             2018・10・20  しんぶん・赤旗

    「沖縄創価学会は、沖縄戦の悲惨な体験から平和を求めて誕生したはず。戦争のための米軍新基地建設を容認した自民党前県議を
   推薦することは筋が通らない」。那覇市長選(21日投票)で、翁長雄志前県知事の遺志を受け継ぐデニー新知事を支え、辺野古新基地
   ノーをかかげる「オール沖縄」の城間みきこ市長候補の再選へ奮闘する沖縄創価学会壮年部員、宮城一展(みやぎかずのぶ)さん(60)
   のゆるがない思いです。(山本眞直)
    那覇市長選で公明党県本部、沖縄創価学会は、辺野古新基地建設を容認する候補(自民党前県議)を推薦し、総力を挙げています。
   宮城さんは、ホテル勤務の合間をぬって城間市長の再選へ法定ビラの配布、友人知人への支持よびかけの日々です。
    悔しい記憶があります。今年2月の名護市長選での稲嶺進市長(当時)の落選です。翁長前知事と「辺野古には新基地はつくらせない」
   と毅然(きぜん)と日米両政府とたたかう同市長を初当選から応援してきたからです。
   「それだけに落胆は大きかったが、県知事選でのデニー新知事の圧勝はうれしかった」
    宮城さんは那覇市長選でも、「辺野古新基地推進の候補をなぜ推薦するのか」と、沖縄創価学会の人材育成と平和会館の運営・警備を
   担当する壮年部員のグループ「王城会」などで発言しています。
   沖縄創価学会トップの総県長は「題目が足りない」(信仰心が足りない)と「指導」、座談会や各種会議では自民前県議の集票活動(F取り)
   が指示されているといいます。
   宮城さんはそれを拒否、城間候補への支持拡大でこう訴えています。「翁長知事の遺志を継ぐデニー県政と県都の連携なしに強固な平和
   の橋は築けない」

 


 

  社説[辺野古 国が対抗措置]県民にも「尊厳」がある

          2018年10月18日      沖縄タイムス
 

   玉城デニー知事が安倍晋三首相に会い「話し合いの場を設けてほしい」と要望してからわずか5日だ。対話による解決すら拒否する政府
  に嫌悪感を禁じ得ない。
  沖縄防衛局は、県が辺野古沿岸部の埋め立て承認を撤回したことへの対抗措置として、行政不服審査法に基づいて国土交通相に審査を
  請求、あわせて撤回の効力停止を申し立てた。
  玉城氏が「知事選で示された民意を踏みにじるもので、到底認められない」と反発するのは当然である。県民の声など一切聞く必要がないと
  いう態度であり、過去のどの政権もとったことのない強権的な姿勢だ。
   防衛省の申し立てを、同じ政府の機関である国交省が審査するというのだから、結論は見えている。
  政府は県が埋め立て承認を取り消した際も同様の対抗措置で取り消しの効力を停止したが、そもそも行政不服審査法は、強大な公権力か
  ら「国民の権利救済」を目的とした法律である。制度の乱用だと識者から批判があったことを忘れたわけではあるまい。
   安倍氏は玉城氏との会談で「県民の気持ちに寄り添いながら」と基地負担軽減を約束した。今月9日の翁長雄志前知事の県民葬で菅義偉
  官房長官は沖縄の基地負担の現状は「到底是認できない」と弔辞を読み上げた。
  その舌の根も乾かぬうちに、法の趣旨を歪(ゆが)め、対話の呼び掛けを無視し、対抗措置に踏み切るというのは、県民の尊厳を踏みにじる
  ものだ。

     ■    ■

   普天間返還合意に尽力した当時の橋本龍太郎首相は「地元の頭越しには進めない」と、大田昌秀知事とひざ詰めで17回も会談した。
  小渕恵三首相は沖縄サミットの誘致に力を尽くし、県民の本土政府に対する不信感を和らげようと努力した。
  やり方は稚拙で実現に至らなかったが、鳩山由紀夫首相は歴代政権で初めて「最低でも県外」と声を上げ、県民の気持ちを代弁した。
  安倍氏には歴史に根差した沖縄県民の苦悩に丁寧に向き合うという姿勢がまったく感じられない。菅氏もそうだ。
   今年の慰霊の日の追悼式や県民葬といった厳粛な場で、安倍氏や菅氏に怒声が飛んだことの意味をもっと真剣に考えてほしい。見たくない
  現実も直視することが対話の前提である。合意形成の努力を怠るのは政治の堕落というしかない。

     ■    ■

  共同通信社が知事選後に実施した全国電話世論調査で、政府の辺野古移設方針を「支持しない」と答えた人が54・9%に上り、「支持する」
  の34・8%を大きく上回った。
   玉城知事誕生を受け、米紙ニューヨーク・タイムズは日米両政府に辺野古移設の見直しを求める社説を掲載した。
  知事選後の全国紙や地方紙の社説も対話による解決を求める声が多かった。
  戦後、これだけ基地を押し付けておきながら、なぜこれから先も沖縄だけに負担を強いるのか。今こそ本土側も県の提起を受け止め、議論を
  喚起してほしい。


      「オール沖縄」再び激戦制す

      豊見城市長に山川氏

 
                2018・10・16  しんぶん・赤旗

   14日投開票だった沖縄県豊見城(とみぐすく)市長選は、同県名護市辺野古新基地建設反対を貫いた翁長雄志前知事の遺志を継ぐ
  玉城デニー新県政を支え、同様に遺志をしっかりと引き継ぐと訴えた「オール沖縄」で新人の山川仁(ひとし)・前豊見城市議が勝利し、
  次点の候補に3629票の大差をつける1万1274票を獲得する結果となりました。

   市長選から一夜明けた15日朝、山川氏は建設中の市役所の新庁舎前の交差点に立ち、「公正・公平な市民本位の市になるように、
  また、保守も革新も無党派の多くの市民も手を取り合って住んで良かったと思えるまちづくりをしていきたい」と決意を表明しました。

  「6万人の市民のために頑張れ!」とエールを送る市民などがみられました。

   同市長選はデニー新知事誕生の9月30日の知事選に続く首長選挙。自民、維新、希望が推薦した次点の宜保安孝・前市議、現職だ
  った宜保晴毅氏という自民党型政治継続の立場の2氏との大激戦でした。あらためて辺野古新基地ノー、デニー県政が目指す翁長前知
  事の遺志である「平和で誇りある豊かな沖縄」への信託が示された大勝利です。

   デニー県政を支える市長は那覇、南城、そして豊見城が3人目となります。「沖縄タイムス」15日付は、豊見城市長選の勝利が「船出した
  ばかりの玉城県政に追い風となる。21日の那覇市長選にも大きな弾みをつけた」と報じました。

   山川氏は14日の当選確実の情報が流れた後、記者団に「デニー知事を支えながら翁長前知事を誇りとして、沖縄県の自立的発展のた
  め、知恵と勇気と行動で、みんなで一緒に新しい豊見城市をつくる」と強調しました。

   開票結果

    当山川  仁44無新 11,274

    宜保 安孝41無新 7,645

    宜保 晴毅50無現 6,459

    (投票率53.28%)

 


    <社説>首相が民意を拒絶 強権国家と変わらない

    玉城デニー知事が就任後初めて安倍晋三首相と会談した。知事は、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への
   新基地建設に反対を表明し、話し合いの場を設定するよう求めた。これに対し首相は「政府の立場は変わらない」と述べ、沖
   縄側の要求をはねつけた。失望を禁じ得ない。
    過去最多得票で当選した玉城知事の後ろに控えているのは沖縄の圧倒的な民意だ。これほど強い反対の意志が示された
   にもかかわらず、なおも新基地建設を強行するなら、強権国家と変わらない。
   この間、沖縄が問い掛けてきたのは、日本の民主主義が本物かどうかという1点に尽きる。「県外移設」の公約を覆した元知事
   の埋め立て承認を盾に、ごり押しすることが民主国家としてふさわしい振る舞いなのか。良心に照らしてよく考えてほしい。
    安倍首相は、米軍基地の多くが沖縄に集中する現状について「到底、是認できるものではない」と述べた上で「県民の気持ち
   に寄り添いながら、基地負担軽減に向け一つ一つ着実に結果を出していく」と強調した。
   過重な基地負担を「是認できない」と受け止め、「県民の気持ちに寄り添う」と言いながら、沖縄だけに基地を押し付ける。言って
   いることとやっていることが180度違っている。
   おためごかしの言辞を弄(ろう)する首相の態度は一方の手で握手しながら、もう一方の手で殴打するようなものだ。
    菅義偉官房長官からは脅しとも取れるような発言があった。普天間飛行場の辺野古移設が遅れれば、海兵隊員9千人のグア
   ムなどへの移転にも影響が生じるとの認識を示したのである。
   グアム移転については、民主党政権だった2012年に日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、普天間飛行場移設の進展から
   切り離すことが合意された。
    移設の進み具合にかかわらず、海兵隊の移転を実行することは国家間の約束だ。安倍政権下の13年、岸田文雄外相、小野寺
   五典防衛相が米国の国務、国防両長官とともにグアム移転協定を改正する議定書に署名している。
   官房長官の発言は、日米合意が金科玉条ではないと宣言したに等しい。普天間飛行場の辺野古移設についても、その気になれ
   ば軌道修正できるわけだ。
    沖縄は普天間飛行場の4倍以上の面積を持つ極東最大の米空軍基地・嘉手納基地をはじめ多くの基地を抱えている。あたかも
   普天間飛行場が撤去されれば沖縄から米軍基地がなくなるかのような、誤った言説を弄する人がいる。
   沖縄から見れば、普天間の返還は、ごくささやかな要求にすぎない。
   沖縄も日本の一県である以上は、民意が尊重されてしかるべきだ。問答無用の対立からは、不信と憎悪しか生まれない。

 


    社説[知事・首相初会談]対話解決しか道はない

             2018年10月13日     沖縄タイムス

  玉城デニー知事がきのう安倍晋三首相と初めて会談した。4カ月余りも対話を拒まれた翁長雄志前知事の時とは違って、
 就任から9日目の会談である。
 冒頭、玉城氏は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設について「選挙で新基地建設は認められないという民意が改めて
 示された」と述べ、新基地に反対する意思を伝えた。
 これに対し安倍氏は移設を進める「政府の立場は変わらない」と語り、対話は平行線に終わった。
  今回、政府が早期会談に応じたのは、翁長氏を無視し続けたことに対する県民の批判の根強さや、14日の豊見城市長選、
 21日の那覇市長選への影響を考慮し低姿勢をアピールする必要があったからだ。
  安倍氏は「戦後70年たってなお、米軍基地の多くが沖縄に集中し大きな負担を担ってもらっている」とした上で、「この現状
 は到底是認できるものではない」と語った。「県民の気持ちに寄り添いながら負担軽減に向け一つ一つ着実に結果を出してい
 きたい」とも強調した。
  翁長氏の県民葬で菅義偉官房長官が代読した首相の追悼の辞と同じ表現を使って説明したのである。菅氏の追悼の辞に対
 し、会場のあちこちから「うそつけ」などと激しい怒声が飛んだ、その事実を安倍氏は知った上で使ったのだろうか。 
 言葉だけの丁寧な対応はいらない。県民の沖縄戦体験や米軍統治下の体験に安倍氏自身が向き合い、知事選で示された民
 意に謙虚であることが出発点であり、それなくして対話は成立しない。
    ■    ■
  玉城氏は安倍政権が支援する候補に8万票を超える大差で勝利した。
  しかし政府は知事選で連続して示された新基地建設反対の民意には背を向け、「辺野古が唯一」という主張を何の説明もな
  く繰り返すだけである。
  工事を強行し既成事実を積み上げれば、「あきらめ感」が広がると考えているかもしれないが、今度の知事選が突き付けたの
  は安倍政権の基地政策に対する明確なノーの意思だ。
  豊見城と那覇市長選終了後、法的対抗措置に踏み切り、工事を強行しようと考えているのなら、法律を盾にした民主主義の破
  壊と言わざるを得ない。
  むしろ辺野古に固執することが、今後の日米安保体制に禍根を残すことになるだろう。
    ■    ■
   日米安保のための基地なのに、なぜ沖縄だけが負担を背負わなければならないのか。
  会談で玉城氏は「安保の負担は全国で担うべきであり、早急に話し合いの場を設けてほしい」と要請した。
  今回の会談が単なる政治的演出でないというのなら、安倍氏が言う「到底是認できない」現状を変えるための実質的対話を進め
  るべきだ。普天間の危険性除去が大切というのなら、安倍氏が仲井真弘多元知事と約束した5年以内閉鎖を優先すべきだ。
  新しい対話環境をつくりだすのは政府の義務であり、対話による解決しか道はない。


  玉城デニー・沖縄県知事、基地問題について
 「日米両政府との対話」を求める。
 「対話をしないのは安倍政権にもマイナス」

        2018・10・4    HARBOR BUSINESS

   ◆就任会見で「普天間飛行場の返還」「辺野古新基地建設の阻止」を強調した玉城新知事

   辺野古新基地が最大の争点の「沖縄県知事選」(9月30日投開票)で、8万票差をつけて圧勝した玉城デニー知事が10月4日、台風25号
  接近による暴風が吹き荒れ始める中で沖縄県庁に初登庁した。

   午前10時すぎに県庁前に到着し、入口で花束を受け取った玉城知事は、職員や支援者の拍手で出迎えられた。その後、県選管からの
  当選証書授与、副知事からの事務引継ぎ、台風襲来で設置された災害対策本部の会議出席と、矢継ぎ早に公務をこなした。

  そして14時前からは初の就任会見に臨み、「翁長雄志前知事の遺志を引継いで、辺野古新基地建設阻止を貫く」ことを強調したのだ。

   「政府は今もなお『普天間(飛行場存続)か辺野古(新基地建設)か』と県民同士に負担をつけ替えて、新たな犠牲を押しつけようとしてい
  ます。心ない分断を乗り越えるために、翁長前知事の遺志を引継ぎ、今こそ県民が心を一つにして、誇りのある豊かな沖縄を実現していく
  必要があります。

   私は政府に対し、対話によって解決策を導く民主主義の姿勢を求め、普天間飛行場の一日も早い閉鎖と返還、そして辺野古新基地建設
  の阻止に向けて、全身全霊で取り組んでまいりたいと考えております」(玉城知事)

   ◆「県の辺野古埋立承認撤回」の適法性を政府に訴えていく

   この決意表明を受けた後の質疑応答では、辺野古関連の質問が相次いだ。

   ――辺野古移設反対の民意がこの選挙で示されたと思いますか。

   玉城知事:私は衆議院議員を務めていた時から辺野古新基地建設には反対という立場を明確にしており、4年前の翁長知事の選挙の際
  にも訴え、(2014年)12月の私の選挙の時にも「私も翁長知事もともにぶれない」と掲げて選挙を戦いました。

   ですから今回の争点も、まさに翁長知事が県民との公約を、命を削ってまで果そうとした辺野古新基地建設反対について、多くの県民の方
   が高く評価していただいた結果が、今回の勝因にもつながったというふうに思っております。

   ――玉城知事は選挙戦で「辺野古埋立承認の撤回を、全面的に支持する」と訴えていました。今後、国が執行停止などの対抗措置を取って
   くる場合にどう対応するのか、具体的に辺野古新基地をどのように止めていくのでしょうか。

   玉城知事:「県は公有水面埋立法の主旨にそって、適法に承認取り消しを行った」と私は考えております。国からどのような対抗措置がなされ
  ても、承認取り消しの理由や政府の当時の強行姿勢や、環境保全への配慮のなさ、辺野古新基地建設は基地負担軽減にはならないこと(を訴
  えたい)。

   そして、沖縄に200年耐用年数のある基地を作ることから考えても、将来の過重な基地負担を押しつける、いわゆる無責任さについては重い問
  題であることを訴え、県の主張が認められるように全力を尽くしてまいりたいと考えております。

  (具体的手段については)県民が選挙で明確に示した辺野古新基地反対の民意を政府に訴えることはもちろん、県が法律にそって判断した「公
  有水面埋立承認撤回」に対しても当然、県の判断に従うことを求めてまいります。

   この沖縄県の民意を国際社会にも、あらゆるツールを通じてしっかりと訴えていって、共有できる価値観を広げていきたいとも思っています。

   ◆翁長前知事と同じ「いばらの道を行く」覚悟

   ――翁長前知事は当選証書を受け取った場で、辺野古移設阻止の厳しさを認識して「いばらの道を歩む」という言葉で覚悟を示されました。
   辺野古問題に関して、今の就任を受けて覚悟のようなものをどのように表現されるのでしょうか。

   玉城氏:私は当然、この今までの経緯の状況から見て「辺野古新基地建設を断固阻止する」という翁長知事の姿勢を高く評価しております。
   私もぶれずに「辺野古新基地反対である」という考えで、有権者との皆様との公約を守るために取り組んできたものであります。

   ですから当然、これから辺野古新基地建設を断念するためのさまざまな取り組みを私も取っていく考えであります。そういう意味からすると、
   当然「いばらの道を行く」という翁長前知事の思いと私の思いが重なるところがあると思います。

    しかし私は、この辺野古新基地建設と普天間の移設については、対話の窓口をアメリカと日本政府に求めていくということも、新たに始めて
   いく必要があるのではないかと思います。

   ですから、いばらの道ですが、そこにいばらがあれば、踏みしめて行く、乗り越えて行くという覚悟が必要ですし、そのいばらをかき分けて行って、
   その先に本当に安心安全な県民の求めている未来が必ず見えてくるということを信じて、私は突き進んで行きたいと思っています。

   ◆「対話の必要性」を日本政府にもアメリカにも求めていく

   ――第4次安倍改造内閣は、官房長官も防衛大臣も沖縄担当大臣も「従来の方針に変わりはない」と言っています。翁長さんが4か月も官房長
   官に会えなかった4年前の経験を踏まえて、いつ頃どういう形で政権中枢に会いたいと考えているのでしょうか。それから「対話の窓口を求めて
   アメリカとの交渉を進めていく」というと、例えば駐日アメリカ大使とか、そういう方と積極的に会う考えはあるのでしょうか。

   玉城知事:前の翁長知事が数か月間、総理をはじめ官邸の高官と会えなかったことは、政府の取るべき姿勢ではなかった。このことに皆様から
   批判が上がっていたことはご承知のことと思います。

    私は速やかに面会を申し入れて、そこはまずは挨拶から申し上げさせていただき、そこから辺野古・普天間の問題を沖縄だけの問題にしないた
   めに、日米安全保障の根本的な問題について、そこから意見交換を始めてもいいのではないかと(考えています)。

    今回の民意が示された私の選挙結果、さらには条例制定6か月以内に施行される県民投票も踏まえて、「できれば、これ以上沖縄に基地は作ら
   ない」「普天間は1日も早い返還が道理である」というこの沖縄県民の思いを、片方の当事者であるアメリカに対しても、あらゆるチャンネルを通じて
   訴えていきたいと思います。

    そのためには当然、アメリカにも足を運びます。政府当局、議会、あるいは民主主義を共有する立場で行動するアメリカの住民や市民団体、平和
   を希求する退役軍人の皆様などなど、この私たちの行動に賛同してくれる方々と、この基地問題を通じて、私たちが訴えている民主主義の本質を含
   めた「対話の必要性」を(日本)政府にもアメリカにも求めて行きたいと考えています。

    ◆「対話をしないのは、安倍政権にもマイナス」

   初登庁日の会見は、災害対策本部の会議への出席によって当初の予定より大幅に短くなり、30分足らずで打ち切られた。しかし筆者は、当選翌日
   の10月1日、選挙事務所で玉城知事の話を聞くことができた。その内容も紹介したい。

    ――県知事選で辺野古新基地反対の民意が示されたことを受けて、安倍総理に訴えたいこと、伝えたいことは何ですか。

   玉城知事:「ぜひ玉城デニー沖縄県政と協議、話し合いをする姿勢を持ってください」ということです。どういったことを話すのかについては個別具体
   的な話がありますが、基本的には「沖縄県と政府が話し合う場を作る」ということを示してくださいということです。

   (国と沖縄県の法廷闘争について)いじめられている側が「いじめられた」と言っているのに、「それがいじめであるのかないのかは、訴えた方が証明
   すべき」というのは理不尽な話です。我々は事実を述べているのに放置されている。ということは、結果的に差別されているのではないか。

   ――辺野古新基地建設が土砂投入直前になっている状況に、どう抵抗していくのでしょうか。

   玉城知事:これは個別具体的な戦術なので私が明らかにするわけにはいきませんが、あらゆる手段を講じて辺野古新基地を作らせないということで
   す。理不尽なことに対しては、「それはおかしい」と思う人たちのうねりになっていく。

    日本政府、安倍政権はそういううねりをわざと起こさせたいのでしょうか。「そういうことが起きるのを予期して、(わざと)対話せずに法廷闘争に出る
   のか」という疑問の目が、世界から向けられると思います。それは安倍政権に対して非常に大きなマイナスで、窮地に追い込まれてしまうことになると
   思います。

   「日本国民の要求に対して一顧だにしない」「仮想敵国を煽って、必要以上に防衛装備に予算をかけようとする」という安倍政権への批判がもっと強く
   なっていくでしょう。辺野古の件も法廷闘争だけの話にならないよう、我々もあらゆる手段を講じて抵抗していきます。その時に私が持っているアメリカ
   人と日本人のハーフというアイデンティティが多分、どこかで役に立つことが出てくるかも知れません。

    ◆翁長前知事も当選後、新基地建設よりも「対話」の重要性を説いていた

    安倍政権が、翁長県政時代と同じような「対話なき法廷闘争」を続けた場合には、「アメリカを含む国際社会に、沖縄の民意を伝えて徹底抗戦をす
    る」と玉城知事は予告したといえる。ちなみに筆者は4年前、翁長前知事が当選した翌日にも同じ質問をしていた。

    ――安倍総理は県知事選の結果のいかんにかかわらず、新基地建設を強行しようとしています。安倍総理におっしゃりたいことはありますか。

    翁長知事(当時):その時(基地建設を強行した時)には、安倍総理の「日本を取り戻す」というのがいかにゴマカシであるのか、ということがよく分か
   ってくると思います。そして民主主義国家・自由主義国家として、アジアの同じ価値観を持った国同士で「手を結びましょうよ」という中で沖縄の基地問
   題を解決しなければ、日本を民主主義国家として誇ることはできない。だから日本が今一度原点に帰って“誇れる”ようにするには、沖縄の基地問題
   を解決しなければならない。そうしないと、日本という国は世界から変な目で見られるのではないかと思います。

     *****

  安倍政権の強硬姿勢を世界中に訴えて国際的包囲網を作ろうとしている点でも、玉城知事は翁長前知事の遺志をしっかりと引継いでいるといえるのだ。

 <取材・文・撮影/横田一>

   ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。
   その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

 

  沖縄が押し付けられてきた「『戦後の国体』が抱える矛盾」とは?
   <白井聡氏>

    今週末に迫った沖縄県知事選。オール沖縄側候補の玉城デニー氏と与党側の佐喜真淳氏の事実上の一騎打ちとなっているが、その結果
   は今後の沖縄だけでなく国政にも影響を与えるものとして注目されている。

   そんな中、翁長雄志県知事はどのような意志を持って沖縄県政に挑んでいたのか。沖縄が押し付けられていた「戦後の国体の矛盾」とは何な
   のか?

  『月刊日本10月号』に掲載された『国体論 菊と星条旗』(集英社新書)の著者であり気鋭の政治学者である白井聡・京都精華大学人文学部専任
  講師の論考をお送りしたい。

      翁長雄志知事の生き様

   ―― 沖縄県の翁長雄志知事が亡くなりました。4年に及ぶ翁長県政をどのように評価していますか。
   白井聡氏(以下、白井):翁長氏は沖縄県知事に就任して以来、強固な意思を持って辺野古新基地建設を食い止めようとしてきました。その激
   務とストレスが命を縮めることにつながったのだと思います。その意味で、翁長氏の死はまさに壮絶な死と呼ぶべきであり、その生き様、死に様に
   は人の胸を打つものがあります。   
    この間、翁長氏は私たちが耳を傾けるべき発言を多く行ってきました。たとえば、2015年に菅官房長官と会談した際には、「安倍総理が『日本を
   取り戻す』というふうに、2期目の安倍政権からおっしゃっていましたけど、私からすると、日本を取り戻す日本の中に、沖縄は入っているん
   だろうかなというのが、率直な疑問です
」、「『戦後レジームからの脱却』ということもよくおっしゃいますけど、沖縄では戦後レジームの死守
   をしているような感じがする
」と述べています。

    これは私が「戦後の国体」と呼ぶものに対する根源的な異議申し立てです。『国体論 菊と星条旗』(集英社新書)で論じたように、戦前の日本は
   「天皇陛下がその赤子たる臣民を愛してくれている」という命題に支えられ、その愛に応えることが臣民の義務であり名誉であり幸福であるとされま
   した。ここでは天皇に支配されているという事実が否認されています。これが「戦前の国体」です。
    戦前の国体は敗戦を機に再編成され、かつて天皇が占めていた位置をアメリカが占めるようになります。その結果、戦後の日本では「アメリカが
   日本を愛してくれている」という命題が支配的になり、日本がアメリカに従属している事実が否認されることになりました。この特殊な対米従属レジ
   ーム
こそ「戦後の国体」です。
    この戦後の国体は天皇制の存続平和憲法沖縄の犠牲化の三位一体によって成り立っています。
   マッカーサーは日本の占領を円滑に進めるために天皇制を存続させようとしましたが、そのためには徹底的な非軍事化を打ち出さなければなりませ
   んでした。というのも、世界中で多くの人たちが「ヒトラー、ムッソリーニに比すべきヒロヒト」と考えていたからです。
    その一方で、アメリカは共産主義の脅威に対抗するため、日本を軍事要塞化する必要がありました。これが「戦後の国体」が抱え込んだ大いなる
   矛盾です。そこで、その解決策として、日本から沖縄を切り離し、米軍が完全に自由に使用できる「基地の島」と化すことにしたのです。
    ここには昭和天皇がアメリカに沖縄占領の継続を求めた「沖縄メッセージ」も関係しています。沖縄メッセージが実際にどれほど影響力があったのか
   十分には明らかになっていませんが、昭和天皇の考えは当時の日本の統治エリートたちの一般的な意思と合致しました。
   その結果、沖縄は日本国憲法もアメリカ憲法も通用しない、いわば無法地帯となりました。もちろん民主主義は存在せず、経済的繁栄からも取り残さ
   れました。
   このように、沖縄は「戦後の国体」の矛盾が凝縮された場所です。翁長知事にはそのことがよく見えていたからこそ、「戦後の国体」を正面から批判
  し続けたのだと思います。

      沖縄を差別しているという自覚がない人たち

   ―― 翁長氏は沖縄の置かれた状況を打開するため、保守と革新が協力する「オール沖縄」を追求していました。これはこれまで誰もなしえなかった
   画期的な試みです。なぜ翁長氏にはこのような取り組みができたのでしょうか。

     『戦う民意』

  白井:それは難しい問題ですが、翁長氏の著書『戦う民意』(KADOKAWA)には大変印象的な場面が描かれています。

   翁長氏は政治家一家に育ちますが、子供のころから隣近所や親戚が米軍基地をめぐり、「基地なしで生活ができるのか」(保守派)、「カネで魂を売る
  のか」(革新派)とののしり合い、憎しみ合う姿を見てきたといいます。

   この対立は非常にお互いを傷つけるものだったと思います。お互いの言い分にはそれぞれ一理あるからです。戦後の沖縄には基地経済に頼って生活
  を送らざるをえなかった時期がありましたし、同時にその基地が沖縄の人々を危険にさらしてきたわけです。

   翁長氏は早くからこうした対立に違和感を持っていたのだと思います。そして、いわゆる本土が、沖縄人同士がいがみ合う様を高みの見物で笑って
  いる
ことに気づいたわけです。だから、この構造を壊さなければならないという決意で、オール沖縄を結成したのだと思います。

   ―― 翁長氏は『戦う民意』の中で、2013年に銀座でオスプレイ撤回のデモを行ったとき、ネット右翼からヘイトスピーチを浴びせられた経験について記し
  ています。翁長氏はヘイトを受けたことに加え、道行く人たちがヘイトに何の関心も示さなかったことがショックだったと書いています。日本の中には間違い
  なく沖縄差別が存在します。

  白井:在日コリアンに対する差別は広く知られているのに対して、沖縄に対する差別は無意識化されていると言えると思います。しかし、戦後の国体の矛
  盾を全て沖縄に押しつけておきながら平気でいられるのは、間違いなく沖縄差別があるからです。

  ―― 沖縄差別はネット右翼だけでなく、日本全体の問題です。かつて朝日新聞が那覇市長時代の翁長氏に「県議時代には辺野古移設推進の旗を振っ
  ていましたよね」と質問したところ、翁長氏が「苦渋の選択というのがあんた方にはわからないんだよ」と応じるということがありました。この朝日の記者の中
  にも沖縄差別が見え隠れします。

  白井:まさにその通りだと思います。辺野古移設を拒むという決断も、受け入れるという決断も、どちらも不安と苦悩に満ちたものにほかならないわけです。
  そのことを理解していないから、立場の変更を変節だなどと言ってしまう。そもそも沖縄に苦渋の決断を強いてきたのは誰かということです。本土の人間は
  意識していようがいまいが、沖縄を抑圧する構造、すなわち「戦後の国体」の護持に加担しています。その自覚がないから、そのような質問をしてしまうので
  しょう。本土の人々に翁長氏を変節だと批判する資格はありません。
 

   同じことは、これから行なわれる県知事選挙の結果についても言えることです。仮に、翁長県政を否定する選挙結果が出たときに、本土でオール沖縄に
  期待していた人々が何を思い、何を言うかが問題です。東京の政府は、一括交付金の削減など兵糧攻めまでやっているのであり、そしてその政府の政策を
  事実上支持しているのは、本土の人間なのだということを、一瞬たりとも忘れてはならないと思います。

   オール沖縄の再活性化を期待

   ―― 翁長氏は亡くなる直前、今後の沖縄を担う政治家として自由党選出の国会議員である玉城デニー氏に期待していました。玉城氏についてはどのよう
  な評価をしていますか。

  白井:私は玉城氏と面識がないので詳しいことはわかりませんが、玉城氏と長年付き合いのある元沖縄タイムス記者の渡辺豪氏が書いた記事によると、玉
  城氏は大変苦労された方だといいます。

  玉城氏のお父さんは沖縄駐留の米軍人でした。しかし、顔を見たことがないそうです。玉城さんは母子家庭で育ちますが、お母さんが住み込みで働いていたの
  で、近所の知人のもとに預けられます。そのため、玉城さんは自分には実の母と育ての母、二人の母親がいると言っています。初めて実の母と一緒に暮らすよ
  うになったのは小学生に入ってからで、コザ市の長屋のようなところで生活していたそうです。

   玉城氏の生い立ちは戦後沖縄の一面を非常に雄弁に物語るものです。政治家一家に生まれ育った翁長氏の生い立ちも戦後沖縄を象徴するものでしたが、
  玉城氏はそれとはまた別の側面を象徴していると言えます。

  ―― 玉城氏は今後どのような取り組みを進めていくべきだと思いますか。

   白井:玉城氏には翁長氏が作り、残したオール沖縄の枠組みを再活性化してもらいたいと思っています。正直なところ、翁長県政末期にはオール沖縄につい
   て悲観的な話ばかり聞こえてきました。

   もともとオール沖縄は「イデオロギーよりもアイデンティティ」という観点から、保守と革新が腹8分、腹6分をもって団結するという枠組みでした。しかし、裁判闘
  争では政府が勝利し、名護市長選で敗北するという具合に、状況はますます厳しくなりました。そうなれば士気も下がり、腹6分でまとまっていたものもまとまりにくく
  なります。それでもオール沖縄が瓦解しなかったのは、翁長氏という余人をもって代えがたいキャラクターがいたからでしょう。

   翁長氏が亡くなったいま、オール沖縄とは何なのか、保革をどうやってまとめるかということが改めて問われています。玉城氏には革新系と保守系の長所を伸ばし、
  短所を補い合うことで、強固な体制を作り上げてもらいたいと思います。
(8月27日インタビュー、聞き手・構成 中村友哉)

  白井聡●京都精華大学人文学部専任講師、政治学者。1977年、東京都生まれ。おもな著作に『永続敗戦論―戦後日本の核心』(太田出版・石橋湛山賞、角川財
 団学芸賞受賞)など

  <文/月刊日本編集部>
   げっかんにっぽん●「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンス
  で知られる。


 


  玉城デニー氏の勝利 海外メディアが絶賛「多様性への扉」

         

    玉城デニー前衆院議員の大勝となった沖縄県知事選。その余波が世界中に広がっている。
   玉城氏の父親が米海兵隊員だったということもあり、米国ではCNNやABCなど主要メディアで玉城氏の勝利が報じられた。
   特に米紙NYタイムズ(電子版)は9月30日、「アメリカ海兵隊の息子が基地に反対して沖縄知事選に勝利」と題して、日本で初めてハーフ
   の県知事が誕生したと紹介。全米オープンテニスの女子シングルスで優勝した大坂なおみを引き合いに出しながら、「玉城氏の勝利は、日
   本で人種の多様性への扉が開かれつつあることを示唆している」とした。
    さらに同紙は、オピニオン面でも沖縄の米軍基地問題を取り上げ、「日本で最も貧しい市民に、不公平で不必要で危険な負担を押し付け
   ることはできない。安倍首相と米軍の司令官は公平な解決策を見いだすべきだ」と締めくくった。
    米紙ワシントン・ポスト(電子版)も1日、AP通信の記事を掲載し、選挙での勝利を祝い踊る玉城氏の写真を紹介しながら「均一的で従順
   な国として知られる日本に、玉城氏は寛容性と多様性を持ち合わせた新しいリーダーとして現れた」と玉城氏の人間性を高く評価している。
    “政権VS沖縄”という構図で報じたのは、仏紙ル・モンド(電子版)で1日、タイトルを「日本の沖縄で新知事誕生により安倍晋三が挫折」と
   して、玉城氏の勝利が総裁3選したばかりの安倍首相の敗北を意味していると強調。「小さなアリはゾウの足を動かすこともできる」という玉
   城氏の言葉を紹介しながら、勝利を称えた。
   日本政府が逃げ腰でも、世界は玉城勝利の意味をしっかり理解しているということだ。
 


 

  「父は米兵」 沖縄県知事選・
    玉城デニー氏の当選に米主要紙が注目

        10/3(水) 8:15配信   沖縄タイムス

   【平安名純代・米国特約記者】米主要紙のニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストは1日の紙面で、沖縄県知事選で玉城デニー
  が当選したことについて、大きく紙面を割いて報じた。米主要メディアは、玉城氏が米海兵隊員を父に持つ沖縄では初めての県知事で
  あることや、沖縄の過重な基地負担に反発していることに着目し、「新たな時代の始まり」と報じるなど、注目の高さを示している。

   ニューヨーク・タイムズは、4ページ目の国際面の上半分に写真を2枚載せ、「小さなアリでも象の足を動かすことができる」との玉城氏
  の言葉を紹介。同氏の勝利は、「日本政府が支援した佐喜真淳氏の当選を予測していた多くの専門家を驚かせた」と報じた。

   ワシントン・ポストは、10ページ目の上半分にカラー写真とともに報道。辺野古新基地建設計画を巡る訴訟で日本政府が翁長雄志
  知事に勝利したことに触れた上で、「玉城の勝利は、新たな手ごわい交渉と法廷闘争の始まりを意味している」と報じた。

   CNNは、玉城氏の大差での勝利に「新時代が始まった」とし、ウォール・ストリート・ジャーナルは「新たな長期的な法廷闘争につながる
  可能性がある」との分析を記した。

    「日米両政府は妥協案探せ」NYタイムスが社説

   【平安名純代・米国特約記者】米紙ニューヨーク・タイムズは1日、県知事選での玉城デニー氏の勝利を受け、「沖縄の米軍駐留縮小に
  向けて
」と題した社説を掲載した。「新知事は米軍が去ることを望んでいる。ワシントンと東京(日米両政府)は妥協案を見つける時だ」と、
  米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の見直しを主張している。

   社説は、国民の多くが日米同盟を支持しているにもかかわらず、沖縄に基地負担が集中する現状を指摘。日本政府が支援した候補者を
  玉城氏が破ったことについて「新基地は不要との沖縄の民意であり、新たな時代の幕開けだ」と強調した。

   さらに、「日本と地域の安全保障のために、日本で最も所得の低い沖縄に、不公平で不必要で危険を伴う負担を背負わせてはならない。
  安倍首相
と米軍司令官は、県民と共に意欲的に公平な解決策を見いだすべきだ」と訴え、日米両政府に計画の見直しを促している。


 

      玉城氏勝利に三つの意義

      沖縄県知事選 小池書記局長が会見

            2018・10・2   しんぶん・赤旗

    日本共産党の小池晃書記局長は1日、国会内で記者会見し、沖縄県知事選で、名護市辺野古への米軍新基地建設反対を掲げた
   玉城デニー候補が大勝したことについて「新基地建設を推進する安倍官邸丸抱えの候補に8万票余の大差をつけ、県知事選史上最
   高の得票で揺るがぬ民意が示された。安倍政権は民意を重く受け止め、新基地建設を直ちに中止し、デニー知事とともに普天間基地
   の閉鎖・撤去を求める対米交渉に直ちにとりかかるべきだ」と述べました。

    小池氏は、「オール沖縄」勝利の意義を3点にわたって語りました。

   第一に「沖縄の基地をめぐるたたかいに大きな展望を開いた。安倍政権が結果を無視して新基地建設を進めることが難しい状況に追
  い込んだ」と指摘。安倍政権が県による埋め立て承認撤回に対抗し、法的な措置をとって工事を再開したとしても、「大浦湾の超軟弱地盤
  の問題や活断層の問題など、県知事の承認なしには越えられない、さまざまな壁がある。それでもやるとなれば、異常な強行手段を取らざ
  るをえなくなる」と警告しました。

   第二に、「安倍政権に対する強烈な痛打になった」と強調。「人も金も大量につぎこみ、公明党・創価学会も総動員して徹底した組織戦を
  展開し、最大争点の辺野古新基地建設の是非は隠すという官邸・与党側の“勝利の方程式”をやればやるほど県民の心が離れ、怒りが起
  こる結果になった」と述べました。

   さらに、「沖縄の問題は、安倍政権の強権的な手法が集中的に表れている分野であり、憲法、消費税、原発などでも、その手法が通用しな
  くなっていることを示している」と指摘し、「安倍政権の国民的な基盤は弱い。県知事選を、安倍政権を終わりにするたたかいの始まりにしたい」
  と決意表明しました。

   第三に、「国政の5野党1会派で『辺野古新基地建設反対』という共通の旗が立った。今後の野党共闘にとっても大きな意義がある」と指摘。
  「旗印を明確にし、『本気の共闘』をすれば自民党を追い詰めることができることが示された」と力を込めました。


 

   初当選の玉城デニー氏「辺野古隠しに県民憤り」 
      当選一夜、本紙編集局長がインタビュー

                    2018年10月1日    沖縄タイムス

    30日投開票の沖縄県知事選で、過去最多となる39万6632票を獲得し、初当選を果たした玉城デニー氏(58)は1日午前、沖縄タイムス
   社で、与那嶺一枝編集局長のインタビューに応じ、抱負などを語った。玉城氏が名護市辺野古の新基地建設に反対する中、政府、自民党な
   どの推した佐喜真淳氏が是非を明らかにしなかったことに「(県民が)われわれを見くびっているのではないかという形の憤りが表れたのでは
   ないか」と選挙結果につながったとの考えを示した。
   佐喜真氏が政府と協調した経済振興を訴えながら、政府の進める辺野古問題に触れなかったことで、逆に「辺野古が争点化された」と語った。
   辺野古の埋め立て承認撤回で政府が法的措置を講じる可能性には「県は公有水面埋立法に基づき、その趣旨に合わない、沖縄防衛局が違
   反行為を続けている、指導しても応じないことから明確な行政判断を下した」と正当性を主張した。
    一方、「協議もせず、(政府が)司法の場に持ち込むことが、いわゆる対立や分断につながるのではないかと懸念している。なぜ県が辺野古
   移設に賛成できないのか丁寧に説明したい」とも述べ、国と地方が対等関係であることから、司法ではなく、協議での解決を求めた。
   政府と県、宜野湾市が普天間飛行場負担軽減推進会議で確認している来年2月を期限とする「普天間の5年以内の運用停止」について、「普
   天間を使わないことが運用停止の状態だ」と強調。「小学校の上空を米軍ヘリが飛び交い、子どもたちが避難する状況は法治国家と思えない」
   と指摘し、海兵隊が県外や国外で訓練するローテーションの期間を長くするなど、運用停止の方法を米側と日本政府が議論する必要がある
   力を込めた。
    知事選での勝因については、「想像していた以上の支援をいただいた。翁長雄志前知事が県民と約束したことを命を削ってまでまっとうしたい
   という思いが、県民に届いた。その上で、自立と共生とダイバーシティー(多様性)を基本とした私の政策との相乗的効果が出たとしたらうれしい
   結果」と喜んだ。
    宮古島市や石垣市などへの陸上自衛隊配備では、憲法の範囲内の自衛隊を認める見解を示した上で、「例えば、他府県で自衛隊を強行配
   備することがあり得るか。地元住民の理解、合意形成が大前提で、強行配備には反対」と説明した。
    幹部人事では、富川盛武、謝花喜一郎の両副知事に続投を求める考えを示し、「いろいろ精査するが、基本的には翁長知事の方向性を継承
   する観点から頑張りたい」と述べた。
    北部基幹病院の設立に向けた地元自治体の財政負担では「予算をどう振り分けるかは政策的な考えが網羅される。精査すれば、いろいろな
   考え見つかるだろう」と地元負担なしでの実現を目指す方針を明かした。


  沖縄知事に玉城氏初当選 政権支援の佐喜真氏を破る

        9/30(日) 19:10配信    朝日デジタル

    翁長(おなが)雄志(たけし)知事の急逝に伴う沖縄県知事選が30日投開票され、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市
   辺野古への移設に反対する前自由党衆院議員の玉城(たまき)デニー氏(58)が、前宜野湾市長の佐喜真(さきま)淳(あつし)
   氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=ら3氏を破り、初当選した。過去最多得票の大勝で、県民は翁長氏が当選した前回
   知事選に続き、「辺野古移設」に明確なノーを突きつけた形となった。

    移設計画が浮上してから6回目の知事選。8月に急逝した翁長氏は「辺野古移設阻止」を掲げ、安倍政権と対立し続けてきた。
   玉城氏は当選を決めた30日夜、「辺野古に新基地を造らせないとの誓いを、ぶれずに全うしたい」と、翁長路線を引き継ぐ考え
   を示した。

    玉城氏は、翁長氏を支えた共産、社民両党や、労組、一部の企業人らによる「オール沖縄」勢力が後継として擁立した。翁長氏
   の家族も集会でマイクを握るなどして、辺野古阻止の遺志を継ぐことを訴え、沖縄に基地が集中し続ける現状の理不尽さを強調した。

    玉城氏を支援する立憲民主党の枝野幸男代表や自由党の小沢一郎代表ら野党幹部も応援に訪れた。だが、玉城氏と街頭でほ
   とんど並ばず、党派色を抑えて無党派層も取り込んだ。

    一方、佐喜真氏は安倍政権の全面支援を受け、「対立から対話へ」をスローガンに政権との関係改善を主張。県民に根強い「辺
   野古反対」を意識して、移設の賛否には一切言及せず、生活支援や経済振興を前面に押し出した。菅義偉官房長官ら政府・与党
   幹部も続々と沖縄に入って応援。だが、辺野古移設を強引に推し進めてきた安倍政権への反発をかわせなかった。

    辺野古では埋め立て予定区域の一部を護岸で囲み終え、政府は8月にも土砂投入を始める予定だった。しかし県は8月末に埋め
   立て承認を撤回し、工事は中断している。政府は今後、法的な対抗措置を執り、裁判所に認められれば埋め立てを始める構えだ。

   県選管によると、当日有権者数は114万6815人。投票率は63・24%(前回64・13%)だった。

 


 社説[沖縄県知事選 語らぬ辺野古]有権者に丁寧に説明を

           2018年9月26日   沖縄タイムス

   安倍政権が文字通り総力を挙げて支援する佐喜真淳氏(54)と、「オール沖縄」勢力が推す手作り感漂う玉城デニー氏(58)の
  戦いは、「象とアリの戦い」を思わせるものがある。
  政権によるテコ入れは、その規模と徹底性において、過去のどの知事選をも上回る。
  沖縄基地負担軽減担当を兼ねる菅義偉官房長官は、今月に入ってすでに3度も来県し、石垣市や宮古島市にも足を延ばした。
  告示前の総決起大会には自民党の二階俊博幹事長、公明党の山口那津男代表、日本維新の会の馬場伸幸幹事長がそろい踏
  みした。小泉進次郎衆院議員もすでに2回、沖縄入りしている。
   安倍政権が死に物狂いの選挙戦を展開しているのはなぜか。その理由はただ一つ。辺野古移設などの基地問題を抱えてい
  からだ。なのに、候補者の佐喜真氏も、基地負担軽減を担当している菅氏も、辺野古移設をまともに取り上げない。
   知事選は、両陣営が辺野古移設について正面から論じ、主張の違いを分かりやすく提示し、有権者の判断を仰ぐ機会である。
  そうあるべきだ。 翁長雄志前知事が命を削って辺野古問題に取り組んできたことを思えば、知事選で翁長県政への評価と辺野古
  の是非を語らないのは、あまりにも不自然であり、有権者に不誠実である。
  語るべきことを語らない選挙は有権者に目隠しをして投票させるようなものだ。

      ■    ■

   名護市長選で、政権が推す渡具知武豊氏が当選したとき、菅氏は「選挙は結果がすべて」だと言ってのけた。
  安倍晋三首相は、市長就任6日目に渡具知氏に会い、激励した。
  名護市長選、知事選、衆院選、参院選で辺野古反対派が相次いで勝利したときはどうだったか。
  安倍政権は選挙結果を完全に無視し、翁長氏の当選後、およそ4か月も面談を拒み続けた。
  敵・味方の論理に基づく敵視政策は、安保政策をゆがめ、地方自治をいびつにする。
   沖縄タイムス、朝日新聞社、琉球朝日放送が22、23の両日実施した情勢・世論調査によると、基地問題に対する安倍政権の姿勢
  について、63%が「評価しない」と答え、「評価する」は14%にとどまった。
  基地負担軽減担当の菅官房長官は、この現実に向き合い、選挙戦を通して丁寧に県民に説明する責任を負っている。

     ■    ■

   「普天間の危険性除去」「一日も早い閉鎖」という主張は両候補とも一致している。県議会は全会一致で「海兵隊の国外・県外移転」を
  決議した。公明党と渡具知氏も名護市長選で政策協定を結び、「海兵隊の県外・国外移転」を確認した。
  こうした積み重ねを踏まえて、さらに議論を深めるまたとない機会が知事選だ。
  もっとも大切な「説明責任」と「情報開示」が不十分なまま、事あるごとに「辺野古が唯一」だと主張するのは印象操作というほかない。

 


     「無知を恥じている」 
   樹木希林さんが生前、沖縄について語ったこと

   15日に死去した俳優の樹木希林さん(享年75歳)は2015年7月、ドキュメンタリー番組の撮影で名護市辺野古の
  米軍キャンプ・シュワブのゲート前を訪れ、新基地建設に反対する市民らと交流した。
   辺野古在住の島袋文子さんの隣に座り、新基地建設をめぐる沖縄の現状について聞いた樹木さん。「俳優仲間に
  辺野古のことを伝える」と話したという。
   16年3月には普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設をテーマにした映画「人魚に会える日。」(仲村
  颯悟監督)の東京公開に合わせたイベントで仲村監督と対談した
  「大変な思いをしている沖縄を自分が語れるか…。内地だと皮膚感覚で問題を感じられない。無知を恥じているんです
  よ。中に入ってみると、相当な苦しみがあるんですよね」と率直な気持ちを吐露していた。

 


 

    「記録と記憶」の歌姫 特別評論「安室奈美恵さん引退」
       仲井間 郁江(琉球新報社経営戦略局)

                   2018・9・16   琉球新報

    安室奈美恵さん、おかえりなさい。ちょうど1年前、宜野湾市での25周年のライブで、あなたは「また遊びにきてね」と言い残して
   舞台を去った。そして1年後、あの時の言葉通り、また沖縄に戻ってきた。引退という決断には寂しさが募る。しかし同時に、最後
   のステージの場として故郷・沖縄を選んでくれたことをうれしく思う。
    安室奈美恵は「記録」と「記憶」の歌姫だ。女性ソロ歌手として史上最年少での紅白歌合戦出場やレコード大賞を受賞した。国内
   史上初となる10代、20代、30代、40代の4年代全てでミリオンセラーを樹立するなど、数々の記録を打ち立てた。

    「記憶」ではファッションをまねする「アムラー」現象を生み出し、人気絶頂の20歳で結婚し、出産、休業など、それまでの「常識」に
   とらわれない新たな価値観を示し、人々の記憶に残った。2000年の九州・沖縄サミットで歌う姿も記憶に残る。そして何よりも、沖
   縄の多くの若者にとっては「劣等感」を取り払ってくれた存在だ。

    沖縄という小さな島から大きな夢を抱き飛び立った10代の少女が、大都会・東京でヒット曲を連発し、スターの階段を上りつめた。
   その姿に多くの県民はときめき、自信をもらった。安室奈美恵という存在をきっかけに「私、沖縄出身です」と堂々と言えるようにな
   った沖縄の若者は少なくない。私もそのひとりだ。

    健康的な小麦色の肌を輝かせて踊る彼女の姿に「じーぐるー(地黒・元々日焼けしたように肌の色が濃い)」も悪くないとコンプレッ
   クスを自信に変えた女性も多いはずだ。

   「安室奈美恵」以前と以後で、間違いなく沖縄人(ウチナーンチュ)の自意識は大きく変化した。それまで不利だと思ってきたことが
  「独自性」や「可能性」へと捉え直されていった。

   ただ「沖縄出身」であることが彼女を成功に導いたわけではない。そのことを多くの県民は知っている。安室奈美恵は自身が沖縄出
  身であることを過度に強調することはなかった。歌とダンスによるごまかしのないステージ、たゆまぬ努力を重ね続けた。本質で勝負し、
  結果を出し続ける「プロフェッショナル」としての責任を果たしたことが彼女の最大の魅力だ。だからこそ誇らしく思えるのだ。

   8月中旬から琉球新報社では安室さんの足跡を紹介する展示会を開催している。来場者の中には、つえを突き、ゆっくりとした足取り
  で一点一点をじっと見つめる高齢者も少なくない。そのまなざしは、まるで孫を見つめるような温かみを帯びている。

  「ちゅらかーぎー(美人)だねー」と小さくつぶやく声を何度も耳にした。多くの県民にとって、安室さんはテレビの中のスターであると同時
  に、家族のような存在だったのかもしれない。

  1年前のあの日、台風の余波が残る宜野湾市のライブ会場で開演直前、一瞬だけ虹が見えた。ステージで潮風に髪をなびかせながら
  気持ちよさそうに歌う安室さんの姿を見て、沖縄の空と海が本当に似合う人だと思った。

  安室さんは「平成の歌姫」と呼ばれる。そして平成の終わりと時を同じくして舞台を降りる。しかし彼女の残した歌は時代を超え、多くの
 人々に力を与え続けるだろう。沖縄の海と空、そして風の中で、あなたの歌声はこれからも響き続けていく。


        沖縄県知事選

    玉城デニー氏の政策発表 要旨

    「誇りある豊かな沖縄。新時代沖縄」

 
                               2018・9.11   しんぶん・赤旗

   沖縄県知事選の玉城デニー予定候補が10日に発表した政策(「誇りある豊かな沖縄。新時代沖縄」)の要旨は次の通りです。


   (主要政策)

   ○「万国津梁(しんりょう)会議」(仮称)を設置
     世界各国との経済・文化交流などを促進し、世界に開かれた国際都市として沖縄の発信力を高める。
   ○「国際災害救援センター」(仮称)を設置
     国際機関と連携する人道支援活動の拠点を整備し、水道技術や医療の提供など、国内外に貢献する沖縄をめざす。
   ○「観光・環境協力税」(仮称)を導入
     観光客の増加が見込まれる中、派生する環境問題等への対応に資する財源として活用する。
   ○「琉球歴史文化の日」を制定
     沖縄の先人たちの歩んだ歴史や知恵を知り、故郷への誇りや愛着を感じられる取り組みを進める。
   ○日米地位協定の抜本改定、主権の行使を求める
    「日米地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律」を廃止し、米軍にも日本の国内法を順守させるよう強く求める。県の
    他国地位協定調査で明らかとなったドイツの交渉事例などを生かし、領土・領空・領海に対する主権行使を求める。
   ○「やんばるの森・いのちの水基金」(仮称)を創設
    いのちの水、やんばるの森と海を守り、未来につなぐため、自然保護の啓蒙(けいもう)などを通じ創設に取り組む。
   ○中学生・高校生のバス通学無料化をすすめる
    家庭の経済環境にかかわらず、子どもたちが安心して学業に励むための支援が早急に必要なことから無料化に取り組む。
   ○公的施設への「放課後児童クラブ」設置を推進
    子どもたちが健やかな環境で安心して放課後を過ごせるよう、市町村や学校と連携し設置をすすめる。
   ○子育て世代包括支援センターを全市町村に設置
     母子手帳の交付から、妊娠、出産、就学前の子育てを切れ目なく支援する。

     (県民の覚悟とともに貫く三つのNO)

    1、辺野古新基地建設・オスプレイ配備 NO
    2、不当な格差 NO
    3、原発建設 NO

       (県民の誇りとともに歩む新時代沖縄の理念)

   ▼アジアのダイナミズムを取り入れ、市場が認める沖縄の高い発展可能性を顕在化させ、誇りある豊かさを実現する理念の下、
    日本経済をけん引する新たな振興計画を策定する。

   ▼沖縄21世紀ビジョンの平和で自然豊かな美(ちゅ)ら島などの真の理念を実行する。

   ▼建白書で大同団結し、普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念、オスプレイ配備撤回を強く求める。そして、あらゆる手法を駆使
    して、辺野古に新基地はつくらせない。



 


  県の承認撤回を「支持」 海外識者133人が声明 
     ノーム・チョムスキー氏、オリバー・ストーン氏ら

                  2018・9・8   琉球新報

    米国やカナダ、オーストラリアなどの世界的に著名な文化人や識者ら133人が7日、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古
   への新基地建設を巡り、仲井真弘多前知事の埋め立て承認を県が撤回したことを支持する共同声明を発表した。
   新基地建設が「国民主権、自治権といった憲法の原則に反して行われている」と指摘し、トランプ米大統領と安倍晋三首相に対し、新
   基地建設を即時に中止するよう求めている。新基地建設を巡る海外識者による声明は今回で4回目。
    声明は、言語学者のノーム・チョムスキー氏、アカデミー賞受賞の映画監督オリバー・ストーン氏をはじめ、ピュリツァー賞受賞者の
   ジョン・ダワー
氏、ノーベル平和賞受賞のマイレード・マグワイア氏ら海外の識者や文化人が名を連ねた。チョムスキー氏らは、2014
   年1月にも普天間の辺野古移設に反対し、即時無条件返還を求める声明を発表した。
    声明では、2014年の声明発表以降も、日米両政府が県民の民意を無視し、土砂投入を予定するなど新基地建設を強硬に進めて
   いる現状に「状況は良くなるどころか、悪化しているので、今再び私たちは声を上げる」と表明。辺野古への新基地建設に加え、宮古島
   や石垣島、奄美大島など南西諸島への自衛隊基地配備を挙げ、「沖縄の『要塞(ようさい)』的役割を考え直し、離島を含めて東シナ海
   周辺につくるべき非武装共同体での中心的な役割を語り始めるべきだ」と指摘し、非軍事化を訴えた。
    さらに「新基地建設に対する沖縄県民の反対は一貫しており、その民意は選挙でも繰り返し示されている」とし、9月30日に投開票が
   行われる県知事選の候補者に対し「沖縄の人々が表明した普天間飛行場閉鎖と、辺野古基地建設中止という民意を実行に移す意思
   を明確にすることを促したい」と強調した。【琉球新報電子版】

 



  
  安室奈美恵 
      
  • 8月9日、前日の8月8日に逝去した翁長雄志沖縄県知事の訃報を受け、哀悼の意を表すると共に
  • 「沖縄の事を考え、沖縄の為に尽くしてこられた翁長知事のご遺志がこの先も受け継がれ、これか
  • らも多くの人に愛される沖縄であることを願っております」とのコメントを公式サイトで発表した
 

   「笑顔、元気与えたなら頑張ってきて良かった」 
          安室奈美恵さん受賞後会見の一問一答

     表彰式後の、安室奈美恵さんへの代表質問のやりとりは次の通り。

   -本日はおめでとうございます。沖縄の人たちは安室さんの活躍を長い間、大きな誇りとあこがれを抱きながら見てきた。沖縄の
   県民にメッセージを。

   「今回本当に名誉ある賞をいただいて、とっても本当に本当に光栄に思っています。とてもびっくりしているし、デビューして25年の
   間に私がしている活動の中で、1人でも多くの方が笑顔になったりとか元気になってくださっているとするならば、25年間一生懸命
   頑張ってきてよかったと思います」

  -生まれ育った沖縄に対してどのような思いをもっているか。

  「沖縄に対しては、すごく優しい場所でもあるし、ただただこう、自分に厳しい場所でもあるなあと。いつも帰ってくるたびに初心に戻し
  てくれる場所ではあるので、すごく自分にとっては落ち着 ける場所だなと思っています。そういう場所を1人でも多くの方たちに興味
  を持ってもらったりとか、好きになってもらえればいいなと思います」

  -9月16日に引退することを表明されているが、今後の活動については。

 「今後は、そうですね、引退までの間の時間に関しては一生懸命、9月16日まで活動はしていけたらしていこうと思っています」

 


 

    翁長氏の志継ぎ 新基地造らせない

    沖縄県民大会 7万人

            2018・8・12 しんぶん・赤旗


(写真)手をつないでがんばろうをする県民大会の参加者=11日、那覇市

    沖縄県名護市辺野古に新基地を造らせないと、病床で亡くなるまでたたかい続けてきた故・翁長雄志知事の志を受け継ぎ、
   新基地建設断念の声を上げ続けようと、「土砂投入を許さない!ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地建設断念を求める8・
   11県民大会」が11日、那覇市の奥武山(おうのやま)公園陸上競技場で開かれました。この日、沖縄に連帯して北海道から
   鹿児島まで全国で、集会や宣伝、スタンディングなどの行動が取り組まれました。

   台風14号が接近し、ときおり強い雨が降りしきる中、県内外から7万人(主催者発表)が参加。「新基地NO」「県民はあきらめ
  ない」と書いたメッセージボードをいっせいに掲げ、安倍政権が17日にも強行を狙っている辺野古への土砂投入に反対する強い
  意志を示しました。

   知事職務代理の謝花喜一郎副知事は、4日に翁長氏と面談した際、「私が『一日一日、公務をこなし、県民の負託に応えたい』と
  言ったのは『撤回』のことだ」と話していたと紹介。「この知事の思いを深く受け止め、私たちも辺野古に新基地を造らせないという
  公約の実現に向けてとりくみたい」と述べ、埋め立て承認撤回に前向きな姿勢を示しました。

   翁長氏と高校の同級生だったという城間みきこ那覇市長は「彼はウチナーンチュの心に寄り添ったウチナーンチュの心を体現、
  表現する行動をしてきた。承認撤回に向けて、手の届きそうなところまであったと思う。本当に無念だったと思う。その遺志を私た
  ち一人ひとりが引き継いでいきたい」と訴えました。

   大会では決議が採択され、新基地建設の断念を求めました。

 日本共産党から小池晃書記局長、赤嶺政賢・田村貴昭両衆院議員、真島省三前衆院議員、仁比聡平参院議員、県議団が参加しました。

 土砂投入を許さない!ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地建設断念を求める8・11県民大会決議(全文)

   国は、8月17日からの辺野古地先への埋め立て土砂投入を沖縄県へ通知した。現在行われている環境アセスを無視した数々の違法
  工事は、仲井真前知事が退任の4日前に承認した追加申請によるものである。沖縄県は、沖縄防衛局に対し、再三にわたり工事実施前
  の事前協議を行うことを求めてきたが、沖縄防衛局はこれを無視し十分な説明を行うことなく、沖縄県民の民意を踏みにじり、環境破壊に
  つながる違法工事を強行し続けている。

   7月27日、翁長沖縄県知事は「埋め立て承認撤回」を表明し、8月9日に聴聞を開始した。ただちに国は埋め立て工事を中止し、新基
  地建設計画を断念すべきである。

   私たちは安倍政権と沖縄防衛局に対し強い怒りを持って抗議する。私たちは豊かな生物多様性を誇る辺野古・大浦湾の美ら海に新た
  な基地を造らせない。沖縄県民の命とくらし、沖縄の地方自治と日本の民主主義と平和を守るためこの不条理に対し全力で抗い続ける。

  今県民大会において、以下、決議し、日米両政府に対し、強く抗議し要求する。


  1、ジュゴンやウミガメなどの生きていくための豊かな海草藻場や希少なサンゴ類の生息環境を破壊する土砂投入計画を直ちに撤回す
    ること。

  2、大浦湾側には活断層の疑いがあり、その付近の海底には、超軟弱地盤が存在する。辺野古新基地の立地条件は成り立っていない。
    建設計画を直ちに白紙撤回すること。

  3、沖縄高専、久辺小・中学校、集落は、米国の安全基準である高さ制限に抵触している。児童生徒と住民の生命と財産を脅かす新基地
    建設を直ちに断念すること。

  4、欠陥機オスプレイ配備を撤回し、米軍普天間基地を即時閉鎖・撤去すること。

 5、欠陥機オスプレイの国内における飛行を直ちに全面禁止すること。

   宛先 内閣総理大臣

       外務大臣

       防衛大臣

      沖縄及び北方対策担当大臣

      米国大統領

      駐日米国大使

             2018年8月11日

    辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議


  県民が心を一つにすれば はるかに大きな力になる

    翁長知事の「遺言」 次男・雄治氏が代弁

 
                           2018・8・12    しんぶん・赤旗

    「沖縄は試練の連続だった。しかし、一度もウチナーンチュ(沖縄県民)の誇りを捨てることなくたたかってきた。ウチナーンチュ
   が心を一つにしてたたかうときには、おまえが想像するより、はるかに大きな力になる」

    父・翁長雄志氏から何度も聞かされてきた言葉です。次男・雄治(たけはる)氏は11日の県民大会に登壇し、「遺言」を代弁しま
   した。

   「最後の最後まで、どうやったら辺野古新基地を止められるのか。病室のベッドの上でも資料を読みあさり、がんばっていた」という
  翁長氏。雄治氏は、常日ごろ、父が周囲に訴えていた言葉を紹介します。

   「沖縄に、辺野古に新基地をつくる。どれほど大義名分があるのか。全国に置いておけないから沖縄に置けばいい。今、われわれ
  が納得できないものを将来の子どもたちに、残してしまうのか」

   雄治氏は、決意と覚悟を表明しました。「『国の専権事項』だからといって、いま責任を持っているわれわれが何もせずに指をくわえ
  てみているわけにはいかない。『オール沖縄』は、ウチナーンチュの強い決意であり、覚悟です。その民意に、われわれ政治家が突き
  動かされている。父に、辺野古新基地が止められたと報告できるように、頑張りましょう!」

 雄治氏は、翁長氏が大会で着用するはずだったエメラルドグリーンの帽子を、舞台に用意されていた椅子の上に置きました。

 

    翁長知事の「撤回」支持

     環境監視等委員会元副委員長 東清二氏がメッセージ


                             2018・8・12  しんぶん・赤旗

       沖縄防衛局の“新基地ありき”を告発

   「翁長知事の埋め立て承認『撤回』を支持します」―。沖縄県那覇市で11日に開かれた辺野古への土砂投入に反対し、新基地
  建設断念を求める県民大会で、沖縄防衛局が工事による環境への影響などを「監視検討」するとして設置している環境監視等委
  員会副委員長を辞職した東清二琉球大学名誉教授のメッセージが読み上げられました。

   東氏は同委員会の「基地建設ありき」の運営に耐えられず辞職。これをめぐって同局からうけた「口封じ」の生々しい体験を告発
  しました。「口封じ」は「しんぶん赤旗」(6月4日付)がスクープ報道したもの。

   東氏はメッセージで「環境監視等委員会でちゃんと監視できると期待したが、ウミガメの産卵場所やジュゴンの食草などの分布、
  密度、ジュゴンが何頭いるのかの調査を依頼したが全然返事がない。発言しても議事録に載らない」と指摘。「環境監視と言いな
  がら工事を進めること以外には耳を貸さない。何のための委員会か、と2015年3月に辞めると伝えた。沖縄防衛局から『この件で
  取材があれば事務局に聞いてくれと答えなさい』と言われた」と改めて告発しました。

  環境監視等委員会は、仲井真弘多知事(当時)が沖縄防衛局の公有水面埋め立て申請を「承認」の条件として設置されたものです。

  東氏は、国内外で著名な昆虫の専門家。メッセージをこう結んでいます。

 「辺野古、大浦湾の埋め立てはやめさせることだ。中止すべき。沖縄にこれ以上の軍用基地はいらない」

 (山本眞直)

 



       翁長知事語録

     あの美しい大浦湾に新基地を造らせない

 
                2018・8・10   しんぶん・赤旗

   「あの美しい大浦湾を埋め立てる新辺野古基地は造らせない」「(新基地反対の)民意をしっかりと日本政府に伝えたい」
  (2014年12月10日、初登庁のあいさつで)

   「政治に保革を乗り越える包容力があるかどうかです。その包容力がなければ沖縄の政治も日本の政治も変わりません。
  こうした言葉を大切にしながら一生懸命頑張りたい(同25日、日本共産党本部訪問時のあいさつで)

   「辺野古の新基地は絶対に建設できない」「上から目線で『粛々』という言葉を使えば使うほど、県民の心が離れて怒りは
  増幅していく」(15年4月5日、菅義偉官房長官との初会談で)

   「私は魂の飢餓感といっているが、心に空白ができている沖縄と、日本の安全保障を『合理的・理性的』に話すのは難しい」
  (同8月18日、政府との集中協議で)

   「日本には、本当に地方自治や民主主義は存在するのでしょうか。沖縄県にのみ負担を強いる今の日米安保体制は正常と
  いえるのでしょうか」(同12月2日、辺野古代執行訴訟の第1回口頭弁論の意見陳述で)

   「政府は県民の怒りが限界に達しつつあること、これ以上の基地負担に県民の犠牲は許されないことを理解すべきです」「知事
  として県民の先頭に立って、海兵隊の撤退・削減を含む基地の整理・縮小に取り組んでいく」(16年6月19日、元米兵の女性暴
  行事件に抗議する県民大会で)

  「怒りを禁じ得ず、強い憤りを感じる。県民に十分な理解がない形で、安易に米軍側の発表を追認している。県民不在の中、米軍
 が発表する形で物事が進められており大変残念だ。日米地位協定の下では法治国家とはいえない」(17年1月5日、MV22オスプ
 レイの空中給油訓練再開を受け)

  「米軍が運用上必要と言えば(日本政府は)すぐに引き下がる。これでは日本の独立は神話だと言わざるをえない」(同8月12日、
 県民大会でのあいさつ)

   「本土の政治家の無理解は背筋が凍るような思いだ」(「それで何人死んだ」と暴言ヤジを飛ばした松本文明前内閣府副大臣に対
  して18年1月29日、県庁で記者団に)

   「(辺野古新基地建設は)沖縄の基地負担軽減に逆行しているばかりでなく、アジアの緊張緩和の流れにも逆行している」(同6月
  23日、沖縄戦から73年の「慰霊の日」で)

  「朝鮮半島の非核化と緊張緩和への努力が続けられている。(日本政府は)平和を求める大きな流れから取り残されているのでは
 ないか」(同7月27日、辺野古沖埋め立

 


 

    きょうの潮流

 
              2018・8・10  しんぶん・赤旗

   かつてアジアの国々との交流を通じて、この島は平和な共存共栄の道を歩んだ。いまの沖縄も、その万国津梁(しんりょう)の
  精神で再び日本とアジアをつなぐことができる。だから基地はいらない―▼4年前の県知事選。オール沖縄を背にした翁長雄志
  さんは、島の明るい将来を一人ひとりに熱く誠実に語っていました。米軍基地は経済発展の最大の阻害要因。沖縄の自然や文
  化を生かした観光産業を振興させ、子や孫が穏やかに暮らせるようにと▼長く自民党に属した保守政治家による共闘の訴えは
 、これまで保革で対立してきた人びとの心をつかみました。虐げられてきた沖縄のために手を結ぶ姿は基地が集中する現状を憂え、
  未来を真剣に模索する県民の共感をひろげました▼知事になってからの4年間は安倍政権との激しい苦闘が続きました。沖縄の
  意志が何度も示されながら、辺野古の新基地建設に突き進む政府。首長の話をまともに聞こうともしない態度にも膝を折らず、粘
  り強く公約にとりくんできました▼基地あるがゆえにくり返される痛ましい事故。そのたびに命を削りながら抗議の声をあげ続け、あ
  らゆる手段を駆使して基地はつくらせない不退転の決意で反対運動を勇気づけました▼亡くなる直前まで生まれ育った地へのあふ
  れる思いを口にしていた翁長さん。日本に希望をともしたオール沖縄のたたかいと、めざした平和で誇りある豊かな沖縄の実現。
  志半ばで倒れた無念さを胸に刻んで、託された信念と遺志をしっかりと受け継ぎたい。


  「沖縄の人をなめてはいけない」 
 翁長知事が問い続けた不条理 語録で振り返る

                      2018・8・9      沖縄タイムス

   「ハイサイ、グスーヨー」。しまくとぅばを使い沖縄県民に呼び掛けた翁長雄志知事。基地負担に悩む県民に優しく
  語り掛ける一方、相次ぐ米軍関係の事件事故や基地問題の根本的な解決に後ろ向きな政府の姿勢には容赦なく
  怒りをぶつけた。自身の政治指針を示す「イデオロギーよりアイデンティティー」の言葉は、保守政治家であり、同時
  に県民代表であろうとする翁長知事の姿勢を表現している。

        イデオロギーよりアイデンティティー

   「私は保守の人間だが、沖縄に在日米軍専用施設面積の74%が集中するのは大変理不尽で、許されるものではな
  いと考える。基地問題を解決しなければ21世紀に羽ばたくことはできない」(2014年12月10日、就任直後のあいさつで)

   「辺野古の新基地は絶対に建設できない。移設を粛々と進めるという発言は問答無用という姿勢が感じられ、上から
  目線の言葉を使えば使うほど県民の心は離れ、怒りは増幅する。官房長官の言葉は、キャラウェー高等弁務官の姿を
  思い出させる」(15年4月5日、菅義偉官房長官との初会談で)

   「今本土で飛んでいるオスプレイは一定程度が過ぎたら、みんな沖縄に戻ってくるんです。これを日本の政治の堕落と
  いうことを申し上げているんです。どうか日本の国が独立は神話だと言われないように、安倍首相、頑張ってください。
  ウチナーンチュ、ウシェーティナイビランドー(沖縄の人をなめてはいけない)」(同5月17日、辺野古新基地建設に反対す
  る県民大会で)

       安保体制は正常か

   「政府は民意にかかわらず、強行している。米施政権下と何ら変わりない。日本に地方自治や民主主義はあるのか。
  沖縄にのみ負担を強いる安保体制は正常か。国民に問いたい」(同12月2日、代執行訴訟第1回口頭弁論の意見陳述で)

   「グスーヨー、負ケテーナイビランドー。ワッターウチナーンチュヌ、クワンウマガ、マムティイチャビラ、チバラナヤーサイ
  (皆さん負けてはいけません。私たち沖縄人の子や孫を守るため頑張りましょう)」(16年6月19日、元米兵の女性暴行事件
  に抗議する県民大会で)


       法治国家とはいえない

   「怒りを禁じ得ず、強い憤りを感じる。県民に十分な理解がない形で、安易に米軍側の発表を追認している。県民不在の
  中、米軍が発表する形で物事が進められており大変残念だ。日米地位協定の下では法治国家とはいえない」(17年1月5日、
  MV22オスプレイの空中給油訓練再開を受け)

   「一番守ってあげなければならないのは子どもたちだ。運動場のど真ん中に落ちたのは許されない」(同12月13日、米軍
  CH53大型輸送ヘリの窓落下で現場を視察)

  「(米軍機の相次ぐ不時着に)まさしく、米軍全体がクレージーだ」(18年1月24日、首相官邸で記者団に)

      背筋が凍る思いだ

   「(米軍機不時着を巡る不適切発言で辞任した松本文明内閣府副大臣に対して)本土の政治家の無理解は背筋が凍るよ
  うな思いだ」(同29日、県庁で記者団に)

  「公務をしっかりこなす中で、私への負託に応えていきたい」(同5月15日、膵(すい)臓がんの公表会見で)

  「朝鮮半島の非核化と緊張緩和への努力が続けられている。(日本政府は)平和を求める大きな流れから取り残されているの
 ではないか」(同7月27日、辺野古沖埋め立て承認撤回方針の表明会見で)

 


 

  社説[翁長雄志知事急逝]命を削り公約守り抜く

                   2018年8月9日   沖縄タイムス

   翁長雄志知事が8日夕、膵臓(すいぞう)がんのため、入院中の浦添市内の病院で急逝した。67歳だった。
  そのわずか1時間半ほど前、謝花喜一郎副知事が県庁で記者会見し、知事の職務代理を置くことを発表したばかりだった。
   あまりにも突然の訃報というしかない。
  翁長知事は4月に膵臓の腫瘍の摘出手術を受け、ステージ2の膵臓がんだったことを公表していた。5月に退院した後は、抗
  がん剤治療を受けながら県議会や慰霊の日の式典など公務をこなしてきた。
  しかし新基地建設を巡り埋め立て承認撤回を表明した7月27日の会見以降、公の場には姿を見せていなかった。がんは肝臓
  にも転移し、7月30日に再入院していたという。
   糸満市摩文仁で開かれた慰霊の日の沖縄全戦没者追悼式で、知事は直前までかぶっていた帽子を脱ぎ、安倍晋三首相を前
  にして、声を振り絞って平和宣言を読み上げた。
  「新基地を造らせないという私の決意は県民とともにあり、これからもみじんも揺らぐことはありません」
   翁長知事は在任中の4年間、安倍政権にいじめ抜かれたが、この姿勢が揺らぐことはなかった。安易な妥協を拒否し、理不尽
  な基地政策にあらがい続ける姿勢は、国際的にも大きな反響をよんだ。
  知事は文字通り命を削るように、辺野古反対を貫き、沖縄の自治と民主主義を守るために政府と対峙(たいじ)し続けたのである。
  その功績は末永く後世まで語り継がれるに違いない。心から哀悼の意を表したい。

■    ■

   翁長知事は政治家一家で育った。
  旧真和志村長だった父助静さんは、軍用地の一括払いなどを巡る「島ぐるみ闘争」の超党派代表団に選ばれ、沖縄の声を全国に伝
  えた。
  元副知事の兄助裕さんは、1994年の知事選に立候補し「保革を超え、県民の心を一つにした県政を」と訴えた。
  翁長知事は父親や兄から保守中道の姿勢を受け継ぎ、県民が心を一つにして基地問題に取り組むことが必要だと説き続けた。
  仲井真弘多前知事が2010年11月、再選を期して立候補した時、辺野古反対を公約に掲げるよう仲井真氏に直談判したのは翁長
  知事である。
  4年前の知事選では翁長氏が仲井真氏に10万票近い大差をつけて当選、保革を超えた新しい政治潮流の台頭に全国から多くの期待
  が寄せられた。

■    ■

   公選法により後継を選ぶ知事選は、県選挙管理委員会に死亡を通知後、50日以内に実施される。9月中となる見込みだ。
  県政奪還を狙う自民党県連などでつくる候補者選考委員会は既に宜野湾市の佐喜真淳市長の擁立を決めている。
  県政与党や知事を支える県選出国会議員、オール沖縄の代表は、一日も早く今後の対応を協議し、志半ばに倒れた翁長知事の遺志
  を受け継ぐ後継候補を決めなければならない。
  県内政治の流動化が一気に加速しそうだ。


  <社説>翁長知事が死去 命懸けで職務を全うした

  膵臓(すいぞう)がんの治療を続けていた翁長雄志知事が8日、死去した。67歳だった。4月に手術を受けたが、がん細胞が肝臓
 に転移していたという。心から冥福をお祈りしたい。

  翁長氏は、名護市辺野古沿岸の新基地建設阻止を公約に掲げ、2014年の知事選で36万票余りを獲得し初当選した。復帰後7
 代目の知事だ。
  就任直後から基地建設を強行する政府と全面的に対立してきた。さまざまな心労、疲労が積み重なったのだろう。
 前知事による辺野古埋め立て承認の撤回を、7月27日に表明したばかりだった。がんの苦痛を押して記者会見に臨んだと思われる。
 文字通り、命懸けで政治家の職務を全うした。
  もとより、沖縄県の知事は他県とは比較にならないほど厳しい重圧にさらされる。国土の0・6%にすぎない県土に全国の米軍専用
 施設面積の70%が集中し、凶悪事件や米軍機の墜落といった重大事故が繰り返されてきたからだ。
 歴代の沖縄県知事はことごとく、過重な基地負担という深刻な課題に向き合い、苦悩してきた。その重みは健康をむしばむほど過酷だ。
 屋良朝苗氏から革新県政を引き継いだ第2代知事の平良幸市氏は山積する政治課題の処理に追われる中、1978年7月、東京に公
 務出張中、脳血栓で倒れた。入院を経て同年10月に辞任している。
  第3代の西銘順治氏も84年に都内の病院で胃がんの手術を受けた。当時は胃潰瘍と胆のう炎と発表され、本人にもがんであることは
 知らされていなかったという。
 第4代の大田昌秀氏は92年の2月定例県議会開会中に風邪やめまいの症状が出るなど体調を崩して入院した。51日後に公務復帰して
 いる。
 第5代の稲嶺恵一氏は入院こそしなかったが、基地問題のことが常に頭を離れず、日々大きな精神的重圧にさらされていたと語っている。
 第6代の仲井真弘多氏も、07年6月23日の沖縄全戦没者追悼式に出席した直後に、軽い脳梗塞のため緊急入院している。
 翁長氏は機会あるごとに「辺野古に新基地は造らせない」と言い続けた。志半ばで病に倒れ、さぞかし無念だったことだろう。
 知事職務代理者は、謝花喜一郎副知事に続いて、富川盛武副知事が務める。9日には辺野古沿岸部の埋め立て承認の撤回に関し、沖
 縄防衛局側の言い分を聞く「聴聞」が控えている。まずは、基地問題への対応を含め、県政運営に混乱を来さないよう万全の態勢を取って
 ほしい。
 現職知事の死去に伴う知事選挙は50日以内に行われる。既に自民党など野党が推す宜野湾市長・佐喜真淳氏らが出馬を表明している。
 今後、与党側の後継候補人選が本格化する。どのような対決構図になるにせよ、基地問題に真正面から向き合い選挙戦を展開してもらい
 たい。


 


    翁長知事が死去 生前に語っていた沖縄への想い

         「ピエロになって」でも、伝えようとしたこととは、何なのか。

    時事通信
   翁長知事は、2014年の知事選で「普天間基地の県内移設」に反対を訴え、対抗馬に10万票以上の差をつけて圧勝。
  就任以来4年ちかく、政府との話し合いや国を相手取った裁判など、あらゆる手段で県内移設をやめるよう働きかけてきた。
  7月27日には、仲井眞弘多・前知事による名護市・辺野古沖の埋め立て承認を撤回すると表明したばかりだった。

    2017年6月23日、本島南部の「平和祈念公園」で開かれた沖縄戦没者追悼式。
   献花に向かう安倍晋三首相と、その様子を見つめる翁長雄志知事をうつした写真が話題を呼んだ。その時、翁長知事は何
   を考えていたのか。
   「じっと安倍さんのことを見ながら、沖縄戦で亡くなった人たちのこと、将来の沖縄の子や孫のことを考えていたんですよ。
   このままではいかんな、と。私からすると、安倍さんを見る目は厳しいものにならざるを得ないのです」
   「政府と話し合いを続けても、どうにも相容れない。沖縄の現状に同情の言葉もなく、ただただ基地問題について『粛々と解決
   していく』と言うばかり。その人が、平和祈念公園にきて、また同じようなことを言っていたのですから。厳しい目で見ざるを得
   なかった」

   翁長知事は、こうも指摘していた。
  「安倍政権は『戦後レジームからの脱却』『日本を取り戻す』というが、現実的にはアメリカの傘の中で生きていく道を選んでいる。
  むしろ『戦後レジームの完成』を目指しているのではないでしょうか」

    「抗議しても何も変わらない」

   沖縄には、いまでも全国にある米軍基地のうち、70.6%(面積比)が集中している。県内人口の9割が集まる本島は、約15%が米
  軍基地で占められているほどだ。
  基地の返還は少しずつ進んでいる。しかし、米軍をめぐる事件事故は相次いでいるままだ。翁長知事はこうも憤っていた。
  「何百回も抗議している。繰り返しても、世の中が何も変わっていない。もう米軍を良き隣人とは呼べない。いまの状況は知事として、
  受け入れられるものではありません」
  トラブルのたび、翁長知事は東京へ行き、日本政府や米国大使館に抗議してきた。そのあとには、政府側から必ずのように次の3点
  が伝えられたという。

   ・基地負担の軽減
   ・県民に誠心誠意に寄り添う
   ・米軍に原因究明と再発防止を訴える

   そしてまた、事故が起こる。「負担軽減」「誠心誠意」「再発防止」。儀礼的な虚しい言葉が繰り返される。翁長知事は、嘆息交じりにこ
  うつぶやいた。
  「ただただ、虚しさを覚えている。この本土と沖縄の溝はいつまで深く、広いまま縮まらないのか、ということを考えているんです」

    「沖縄だけ我慢してくれ」ではなく

   「米軍に関する事件事故が相次いでいても、日本政府も米軍も無関心なままでいる。日本政府はアメリカに必要以上に寄り添う中で、
  ひとつひとつの事柄に異を唱えるということができていない」
   なぜ、溝は深く広いままなのか。事件や事故は繰り返され続けているのか。
  翁長知事は、日本側に逮捕権や捜査権がないといった「日米地位協定」など、米軍が優位に立つ現状に日本政府が反論できていない
  と指摘。「日本政府には(問題を解決する)当事者能力がない」と言い切った。
  そして、その現状を変えようとする姿勢も見えない、とも。
  「そういった状況下で、沖縄は日本の安全保障において大きな役割を果たしている。私は日米安保体制を認める立場にいるが、『沖縄だ
  け我慢してくれ』ではなく、日本全体でこの負担について考えてもらいたい」
   翁長知事は、こうも言った。沖縄は「いじめ」を受けていると。
  「沖縄は日本政府と米軍という2つの大きな権力に挟まれ、歴史的にも自己決定権や平等権がない立場にある。7割の米軍基地について
  も、本土で引き受けることも、日本全体でその問題を考えることもない。繰り返される問題に対して文句を言っても、『基地で食べているか
  ら置いておけばいい』『我慢して』と言われてしまう」
  「沖縄は日本国の一員として、アジアと日本の架け橋になろうと、将来の可能性を信じて動いている。それなのに、政府は力で押し付けて
  くる。今のようないじめ方をするこの国の未来は、ないのではないかと思ってしまうんですよ」

      「沖縄への理解は深まっていなか」

   翁長知事は、ため息をついた。
  「沖縄がいかに大変な状況に置かれているのか、昔より理解が深まったかと思っていましたが、決してそんなことは
  ありませんでした」

   「昔」とは、沖縄への差別がはっきりと社会に広がっていた時代のことだ。戦後、沖縄がまだアメリカの統治下だった
  1950年生まれの翁長知事は当時の差別をはっきりと覚えていた。

  「日本に行くにはパスポートが必要で、ある意味で日本人ではないような扱いを受けていたのです。僕は法政大学に
  通っていたのですが、東京でのアパート探しで『琉球人お断り』という差別を経験しています」

   日本への復帰から45年を経て「差別はもうなくなった」と思っていた。しかし、ネット上に溢れる言葉や東京MXTVが
  放映した「ニュース女子」をめぐる問題などに、当時と同じ、沖縄への差別意識が背景にある、と感じたという。

  「ニュース女子」で放送されていた誤った情報や根拠のない情報の多くは、ネットで広がっていた内容そのものだった。
  ネットで広がった「デマ」が地上波で「事実」として伝えられた。

  「いまの日本の安全保障では、多くの米軍基地を担っている沖縄が大きな役割を果たしていると言えます。しかし、僕ら
  がそれについて文句を言うと、『お前ら中国のスパイか』などの言葉を投げられる。バッシングや、冷たい言葉も」

      沖縄への「いじめ」が続く危うさ

   相次いで起きた米軍ヘリをめぐるトラブルについても、ネット上で「自作自演」などという声があがった。翁長知事は言った。
  「目の前に落ちたものを『自作自演』というなんて、今までにはない社会現象でしょう。これだけのバッシングを受けたことは、ありませんでした。
  沖縄の人たちが、心の底に持っている思いを言えないような状況になってしまった」
  「バッシングを受けたりするのが嫌だから、基地に関して、心の声を出せないのです。特に経済界などは常に緊張感に溢れています。私ですら、
  言いたいことが言えないこともある」
  翁長知事は「これはいじめ」と表現した。被害の当事者なのに、さらにその傷口に塩を塗られる構図だ。
  「こうした一方的な『いじめ』は、たとえば福島の原発事故でも、宮崎の鳥インフルエンザなどでも起きている。沖縄でも起きる背景には、歴史的な
  意味合いと基地問題があることが大きい」と知事は言う。
  「沖縄は137年前の琉球処分で日本になったばかりです。併合され、地上戦で焼け野原にされ、さらに米軍基地を押し付けられた」
   本土とは異なる沖縄の歴史。「琉球人はお断り」という差別意識を生んだこの歴史が今に至るいじめの背景の一つではないか、との指摘だった。
  「それでも、『沖縄ヘイト』と言われるここまでのバッシングは、これまでになかった。こうした状況が続くことに恐ろしさ、危なさを感じます」

     「沖縄デマ」をなくすために

   翁長知事がなかでも「根深い」と感じていた「デマ」は、「沖縄経済が基地に依存している」という言説だった。
  「『沖縄は基地で食べているんでしょう、だから置いておけば良い」という上から目線の物言いをどう払拭するかは課題でした」
  基地が返還された方が経済的にもプラスだという結論から、翁長知事が使い始めたのが「米軍基地は経済発展の最大の阻害要因」というフレー
  ズだ。
  「『基地で食べている』ということに反論するために使ったのがこの言葉です。数年を経て、ようやく一般の人たちにも広がってきたと感じています」
  「こういう言葉を聞いた人が、経済的依存について、『どっちが嘘なの?』と考えてもらうことにこそ、意味がある。たった1行の言葉だけで、沖縄が変
  わっていくことになる。だから、どんどんと使っているのです」
  人権問題としてだけではなく、経済的な側面からも基地問題を訴えれば、若い世代にも意識が浸透するのではないか、という狙いもあった。
  「沖縄の現状を理解する方々も出てきている。ただ、そうでもない人たちの無関心や上から目線はいまだに多くある。それを払拭しないといけない」
  「どのようにさらなる理解を得ていくのか。沖縄が自らが、頑張って発信していくしかない。理想論かもしれませんが、5年、10年経てば、この状況は落
  ち着くのではないかと考えているんです」

     翁長知事が目指していたもの

   一方、沖縄に生まれ育った若い人の間で、基地問題への意識が低下していることに対しては、「ある意味で、良いことだとも言えますよね」とも語っ
  ていた。
   なぜか。これは、上の世代が抱えていた「基地問題」や「沖縄差別」に対するコンプレックスを、若者が抱えなくなったことの裏返しだと見ていたからだ。
  「若い人たちは、圧政的だった米軍統治下も知らない。また、経済的にもある程度生きていけるという状況に生まれている。『なぜ基地があるのか』と考
  える機会も、だんだんと薄れているのでしょう」
   背景には、安室奈美恵さんなどの沖縄出身の若い世代の活躍や、観光産業を中心にした経済の伸びがある、と指摘していた。
  「負の遺産を背負わないで、沖縄がこれから発展をしていく、世代交代の時なのかもしれません。だからこそ、基地問題は僕らが解決しないといけない」
  「沖縄は日本国民の一員であるだけではなく、台湾はお隣で、中国とは600年の付き合いがある。みんなと仲良くしていかないといけない。だからこそ、架
  け橋になることもできる」
  「そうして、アジアの様々な国の人が行き来をできるような沖縄になれば良い。どこかの国が戦争をしようとしても、自国民がいるから戦争できない、という
  ような。平和の緩衝地帯、そんな場所にできたら良いと考えているのです」

     「ピエロになってでもやってい」

   翁長知事が指摘してきたような、基地問題に対する「本土の無関心」や、経済的に基地に依存しているといった誤解など「溝の広がり」は深刻だ。
  理想を追い求めるなかで、米軍基地の負担に加え、浴びせられる心無いデマやバッシングは絶えることはなかった。
  だからこそ。翁長知事はひたすらに想いを訴えていくと、語っていた。
   沖縄が基地に苦しめられている現状を伝え、一人でも多くの人たちが安全保障の問題を自分ごととして考えてくれるように。そうして沖縄の負担を
  少しでも減らし、さらなる発展と「アジアの架け橋」を目指すために、だ。
 「どうやって沖縄の現状を、若い世代を含む日本国民全体に理解してもらえるのか、考えています。沖縄だけで発信しても、限界はあるかもしれない。
 それでも、僕らの世代がいなくなったら、こういうことをできる人たちはいなくなる」
  「これからも困難は多いが、ピエロになってでも、やっていくしかありません。問題意識を持って、『誇りある豊かさを』と訴えていく。こうした“心”は、今
 の若い人たちにも、残せるのではないかと思っているんです」

 


   「海外識者103人声明」に 
    琉球新報池宮城秀意賞 新基地反対、世界へ訴え

                    2018・7・23  琉球新報

   琉球新報社は22日までに、2018年「琉球新報池宮城秀意記念賞」の受賞者に、米軍普天間飛行場の辺野古移設反対
  を訴え、世界的な識者らが発表した「海外識者103人声明」を選定した。9月15日に授賞式と記念シンポジウムを行う。


   声明は2014年1月、言語学者ノーム・チョムスキー氏、アカデミー賞受賞映画監督のオリバー・ストーン氏、歴史学者のジョ
  ン・ダワー氏らが呼び掛け人となり発表し、政治学者のヨハン・ガルトゥング氏らが加わり、賛同者は103人に上った。声明は
  安倍政権による新基地建設強行と仲井真弘多前知事による埋め立て承認を批判し、「沖縄の新基地建設に反対し、平和と尊
  厳、人権と環境保護のために闘う沖縄の人々を支持する」としている。声明への賛同者を募る国際署名活動では、1万5千人
  の署名が集まった。

   選考委員は比嘉幹郎氏(元琉球大学教授、元副知事)、勝方=稲福恵子氏(早稲田大学名誉教授)、我部政明氏(琉球大学
  教授)。選考会では「『沖縄問題を広く世界に知らせるとともに、その打開に貢献している』などの賞の目的や趣旨に合致してい
  る」「辺野古移設反対の民意を、ジョン・ダワー氏ら世界的識者が発信した意義は大きい」などの評価があった。

   同賞は戦後の米軍統治時代から本土復帰後にかけ、琉球新報で世論に訴え続けた池宮城秀意元会長の精神を受け継ぎ、
  「沖縄問題」を世界に発信することを目的に2008年に創設した。

 


 

  「明治150年」祝賀を批判 
    自己決定権シンポ 識者「琉球併合は国際法違反」

               2018・7・23    琉球新報

   「命どぅ宝!琉球の自己決定権の会」の公開シンポジウム「琉球・沖縄にとって明治維新150年とは何か」が22日、浦添市社会福祉
  センターで開かれた。松島泰勝龍谷大教授、詩人の高良勉氏が登壇した。登壇者は1879年の琉球併合(「琉球処分」)について「国
  際法に違反している」と指摘し、全国的に明治150年が祝われていることを批判した。日本政府による沖縄への同化政策や在沖米軍
  基地問題などを挙げ、日本の植民地主義が明治期から現在まで続いていることを指摘した。
   高良氏は「財政破綻状態にあった薩摩藩が倒幕の主力にまでなった背景には、奄美・沖縄からの収奪と琉球国を利用した中国との
  密貿易がある」と述べた。
   その上で「明治維新は内戦の中で成就したテロリズム、暴力革命だ。『処分』された琉球の立場からも、国際的に暴力革命が否定さ
  れている状況からも、明治150年を祝福することはできない」と語った。
   松島教授は、鹿児島県の資料館などで展示されている明治150年に関する資料や説明に関し、「琉球国の独立性を否定する文言が
  あり、支配を正当化している。琉球への侵略と搾取に対する謝罪もないまま、帝国主義を再評価する祭りが公的機関で行われているの
  は問題だ」と批判した。
   昭和初期に旧帝国大学の人類学者が沖縄から遺骨を持ち去った問題については「国内法にも国際法にも違反している。琉球の脱植
  民地化運動の一環として、裁判を通して遺骨を返還させたい」と語った。

  「沖縄を共同体拠点に」 ガルトゥング氏 平和シンポで提言

   【東京】青山学院大学国際研究センターは25日、「東アジアの平和をどう作るか?」と題したシンポジウムを都内の青山学院で
  開いた。平和学の権威のヨハン・ガルトゥング氏と鳩山由紀夫元首相らが登壇した。ガルトゥング氏は、150年前に体制を変革さ
  せた明治維新の精神にならい、今こそ「日本維新」が必要だと提起した。

   ガルトゥング氏は尖閣諸島の領有権問題で、日中共同管理による摩擦回避を改めて提案し「積極的平和の実践の場にできるの
  ではないか」と述べた。戦争回避の具体策として東アジア共同体の構築の必要性を訴え「沖縄を共同体の拠点機能として提案して
  いき、特別県との視点もある」と持論を展開した。

   さらに日本政府による琉球併合(琉球処分)など沖縄への傷の和解は考えられるべきだと指摘した。戦争回避を巡っては「戦争を
  解決の方策に使う国家はなくなっている。安倍政権に時代遅れのやり方だと言ってあげたらいい」と述べた。その上で今、世界で
  米国の影響力が低下していると指摘。日本はそれに追随すべきではないと警鐘を鳴らした。

  鳩山元首相は「北朝鮮の脅威もかなり誇張された形で言われてきた。今必要なのは対話を通じて平和を作っていこうという方向だ」
 と強調した。


         沖縄全戦没者追悼式

            

   翁長雄志知事の「平和宣言」 


 沖縄全戦没者追悼式での翁長雄志知事の「平和宣言」は次の通りです。
 
        2018・6・24   しんぶん・赤旗

   20数万人余の尊い命を奪い去った地上戦が繰り広げられてから、73年目となる6月23日を迎えました。

  私たちは、この悲惨な体験から戦争の愚かさ、命の尊さという教訓を学び、平和を希求する「沖縄のこころ」を大事に今日に生きています。

  戦後焼け野が原となった沖縄で、私たちはこの「沖縄のこころ」をよりどころとして、復興と発展の道を力強く歩んできました。

   しかしながら、戦後実に73年を経た現在においても、日本の国土面積の約0・6%にすぎないこの沖縄に、米軍専用施設面積の約70・3
  %が存在し続けており、県民は、広大な米軍基地から派生する事件・事故、騒音をはじめとする環境問題等に苦しみ、悩まされ続けています。

   昨今、東アジアをめぐる安全保障環境は、大きく変化しており、先日の、米朝首脳会談においても、朝鮮半島の非核化への取り組みや平
  和体制の構築について共同声明が発表されるなど緊張緩和に向けた動きがはじまっています。

   平和を求める大きな流れの中にあっても、20年以上も前に合意した辺野古への移設が普天間飛行場問題の唯一の解決策と言えるのでし
  ょうか。日米両政府は現行計画を見直すべきではないでしょうか。民意を顧みず工事が進められている辺野古新基地建設については、沖縄の
  基地負担軽減に逆行しているばかりではなく、アジアの緊張緩和の流れにも逆行していると言わざるを得ず、全く容認できるものではありませ
  ん。「辺野古に新基地を造らせない」という私の決意は県民とともにあり、これからもみじんも揺らぐことはありません。

   これまで、歴代の沖縄県知事が何度も訴えてきたとおり、沖縄の米軍基地問題は、日本全体の安全保障の問題であり、国民全体で負担す
  べきものであります。国民の皆様には、沖縄の基地の現状や日米安全保障体制の在り方について、真摯(しんし)に考えていただきたいと願っ
  ています。

   東アジアでの対話の進展の一方で、依然として世界では、地域紛争やテロなどにより、人権侵害、難民、飢餓、貧困などの多くの問題が山積
  しています。

   世界中の人々が、民族や宗教、そして価値観の違いを乗り越えて、強い意志で平和を求め協力して取り組んでいかなければなりません。

   かつて沖縄は「万国津梁(しんりょう)」の精神の下、アジアの国々との交易や交流を通し、平和的共存共栄の時代を歩んできた歴史があります。

   そして、現在の沖縄は、アジアのダイナミズムを取り込むことによって、再び、アジアの国々を絆(つな)ぐことができる素地ができてきており、
  日本とアジアの架橋としての役割を担うことが期待されています。

   その期待に応えられるよう、私たち沖縄県民は、アジア地域の発展と平和の実現に向け、沖縄が誇るソフトパワーなどの強みを発揮していくとと
  もに、沖縄戦の悲惨な実相や教訓を正しく次世代に伝えていくことで、一層、国際社会に貢献する役割を果たしていかなければなりません。

   本日、慰霊の日に当たり、犠牲になられた全ての御霊(みたま)に心から哀悼の誠を捧げるとともに、恒久平和を希求する「沖縄のこころ」を世界
  に伝え、未来を担う子や孫が心穏やかに笑顔で暮らせる「平和で誇りある豊かな沖縄」を築くため、全力で取り組んでいく決意をここに宣言します。

            平成30年6月23日

        沖縄県知事 翁長雄志

 


  平和な世祈る夏 慰霊の日、沖縄戦の犠牲者悼む

   戦後73年の「慰霊の日」を迎えた23日、県内各地で20万人を超える沖縄戦の犠牲者を追悼する催しが営まれ、不戦
  と恒久平和を誓う祈りに包まれた。
   沖縄戦最後の激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念公園内にある「平和の礎」や、同市米須の「魂魄(こんぱく)の塔」
  には、朝早くから多くの戦争体験者や遺族、関係者らが訪れた。亡き家族や友人の思い出、凄惨な戦場の記憶を呼び覚ま
  し目を潤ませながら鎮魂の祈りをささげる高齢者が子や孫らとともに線香や花を手向けた。悲惨な体験を後世に語り継ごう
  とする家族連れの様子もみられた。
   同公園では、午前11時50分から沖縄全戦没者追悼式(主催・県、県議会)が執り行われ、正午の時報に合わせて黙とう
  した。翁長雄志知事は平和宣言で、平和を希求する沖縄の心を発信。安倍晋三首相をはじめ、衆参両院議長、関係閣僚ら
  が出席した。
   沖縄は戦後73年がたっても全国の米軍専用施設の70・3%が集中している。昨年10月の東村高江の民間地への米軍
  大型輸送ヘリの不時着、炎上、同12月の宜野湾市普天間の小学校運動場への米軍ヘリの窓落下、今年1月に相次いだ米
  軍ヘリ不時着、今月も本島近海へのF15戦闘機墜落があった。県民が負担軽減の実感することがないままに、名護市辺野
  古では政府による新基地建設が進められている。
   沖縄戦では一般県民約9万4千人と、日米軍人・軍属などを合わせて20万人余が亡くなった。国籍を問わず、沖縄戦など
  の戦没者らの名を刻む「平和の礎」には、今年新たに58人(県内47人、県外11人)が加わり、刻銘者は計24万1525人と
  なった。


  慰霊の日 鎮魂と平和の思い、
      沖縄から発信 全戦没者追悼式

   戦後73年の「慰霊の日」となった23日、沖縄県内各地で20万人を超える沖縄戦の犠牲者を追悼する慰霊祭が営まれ、
  二度と同じ過ちを繰り返さないとの誓いと恒久平和を願う祈りに包まれた。沖縄戦最後の激戦地となった糸満市摩文仁の
  平和祈念公園では沖縄全戦没者追悼式(主催・県、県議会)が開かれ、県内外から遺族や関係者ら約5100人が参列。
  正午の時報に合わせて黙とうして戦没者の冥福を祈り、平和を願うメッセージを発信した。
   追悼式では、翁長雄志知事が平和宣言。続いて県遺族連合会の宮城篤正会長が普天間飛行場の早期移設を熱望する
  とともに、「戦争につながる新たな基地建設に断固反対する」と訴えた。また、老朽化する県内各地の慰霊塔を国の責任で
  維持・管理するよう求めた。
   来賓あいさつで安倍晋三首相は、沖縄の過重な基地負担の現状を「何としても変えていかなければならない」と強調。
  西普天間住宅地区跡地の引き渡しが3月に実現したことを挙げ、「跡地利用の取り組みが進んでいる。引き続き、沖縄の
  基地負担軽減に全力を尽くす」と述べた。大島理森衆院議長と伊達忠一参院議長も登壇。福井照沖縄担当相ら関係閣僚
  も参列した。
   港川中学校3年生の相良倫子さんは平和の詩「生きる」を朗読し、会場の万雷の拍手を浴びた。
  同公園内の「平和の礎」や糸満市米須に建つ「魂魄(こんぱく)の塔」には朝早くから遺族らが多く訪れ、梅雨明けした夏空の
  下、亡き家族らに思いをはせ、鎮魂の祈りをささげていた。

   アジアの緊張緩和に逆行」 翁長知事、
      戦没者追悼式で辺野古新基地見直しを主張

   沖縄県の翁長雄志知事は23日に開かれた沖縄全戦没者追悼式で、平和宣言を読み上げた。米国と北朝鮮が朝鮮
  半島の非核化に向けて取り組む状況を踏まえ「名護市辺野古の新基地建設は負担軽減だけでなく、アジアの緊張緩和
  に逆行していると言わざるを得ず、全く容認できない」と指摘。日米両政府に、普天間飛行場を辺野古に移設する現行
  計画の見直しを主張した。
   「辺野古が唯一」とする日米両政府の対応も疑問視し「辺野古に新基地を造らせない私の決意は県民とともにあり、
  みじんも揺らぐことはない」と言明した。
  戦後73年が経過しても、県民が米軍基地から派生する事件・事故や騒音をはじめとする環境問題に悩まされ続けてい
  ることも強調した。


   <社説>慰霊の日 平和への一歩刻む日に

   核兵器と平和構築を巡る慌ただしい動きの中で、私たちは戦後73年の「慰霊の日」を迎えた。平和への確実な一歩を
  刻む日としたい。
   トランプ米大統領との初会談で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は「朝鮮半島の完全非核化」を約束した。トランプ
  氏は非核化に向けた対話の継続中は米韓合同軍事演習を中止する意向を示し、米韓両国は8月に予定していた軍事演
  習の中止で合意した。
  この劇的な合意を日本は果たして予想し得ただろうか。朝鮮半島の非核化と軍事的緊張緩和に向けた動きの中で日本の
  役割を考えるべきだ。米国、中国、韓国との連携を緊密にする必要がある。さらに、60年以上休戦状態にある朝鮮戦争の
  終結を求めたい。
  朝鮮戦争が終結すれば、在沖米軍基地の性格は変化を迫られる。政府が喧伝(けんでん)してきた
  「北朝鮮の脅威」がなくなれば、在沖米軍基地の「抑止力」は根拠を失う。辺野古新基地を建設する必要も当然なくなる。
   毎年の慰霊の日に、私たちは沖縄戦の犠牲者を悼み、基地のない平和な沖縄の実現を希求してきた。県民の願いが
  今年ほど具体性を帯びたことはなかったであろう。
  私たちは沖縄全戦没者追悼式における安倍晋三首相の発言に注目している。米朝首脳会談における共同宣言、米韓合
  同軍事演習中止を踏まえ、沖縄の米軍基地負担の是正に向けた方策を提示すべきだ。
   残念ながら政府は県民の願いとは逆の方向に突き進んでいる。辺野古新基地に関して沖縄防衛局は8月17日に土砂を
  投入すると県に通知した。実行に移せば、大浦湾の生物多様性は取り返しがつかないほど破壊される。
  宮古、八重山では住民意思が二分する中で陸上自衛隊配備が進められている。軍事的緊張を高める可能性は十分にある。
  住民の住環境への影響も出てこよう。
   そして憲法である。憲法9条の改正を目指す安倍首相は今年3月の自民党大会で「憲法にしっかりと自衛隊を明記し、違
  憲論争に終止符を打とう」と宣言した。灰燼(かいじん)に帰した国土の中から日本国民が手にした財産の一つである平和
  憲法の条文が改められようとしている。
  朝鮮半島の緊張緩和が現実味を帯びている今、日本はどの方向へ向かうのか。慰霊の日に見定め、沖縄が進むべき道を
  改めて確認したい。
  名護市の民間地で銃弾のようなものが見つかった。米軍の演習場から飛んできた可能性がある。県民は今も米軍演習に
  生命を脅かされている。
   沖縄戦で鉄血勤皇隊や学徒隊などとして戦場に動員された元学徒が4月、旧制中学や師範学校における動員の実態解
  明と戦争体験の継承を求め「元全学徒の会」を組織した。
  自らが体験した悲劇を繰り返さないという意思に基づく行動でもある。私たちは元学徒の思いも胸に、平和の歩みを続けな
  ければならない。
 


    沖縄ヘイトに抗う 研究者ら連帯の必要性強調

    書籍「ヘイトクライムと植民地主義」(三一書房)の出版を記念したトークイベントが28日、沖縄県那覇市のジュンク堂
   書店那覇店で開かれた。松島泰勝龍谷大教授、島袋純琉球大教授らが沖縄ヘイトの問題や沖縄の自治、基地問題な
   どについて語った。

    松島教授は琉球独立を主張する著書を出版した際に「研究室や学長宛てに『大学から締め出すべきだ』などの電話が
   相次いだ。ヘイトスピーチだ」との経験を語った。「被差別部落や在日コリアン、外国人などはヘイトスピーチによって攻撃
   されている点で琉球と共通している。アイヌ民族もヘイトにさらされてきたが、負けずに闘っている」と語り、連帯して取り組
   む必要性を強調した。

    島袋教授は欧州連合(EU)の状況や、英国スコットランドの独立運動などを挙げて「人権を守るための連帯が、東アジア
   でも必要だ。EUのような連帯の仕組みを構築し、その中でスコットランドのように地方分権を進めてはどうか」と提案した。

 


   「オスプレイ、整備の質保たれず」 
       事故調査で米海兵隊、異例の指摘

             2018・3・1   沖縄タイムス

   【平安名純代・米国特約記者】米海兵隊は2018年度の基本運用方針を示す「海兵航空計画」で、航空機の事故
  に関する内部調査を実施した結果、海兵隊の「安全整備の基準が標準化されていない」と指摘。特にMV22オスプ
  レイについては「運用の要求に対し、補修・整備の質、熟練度のレベルが一定に保たれていない」と分析し、強い危
  機感を示していることが28日までに分かった。海兵隊自身が整備体制の不十分さを認めるのは異例だ。

 ◆CH53は過密運用で老朽化も

   普天間第二小学校に窓を落下させるなど沖縄でも事故が多発する大型輸送ヘリCH53Eについては、戦地の任務
  が続き、運用の過密さによる老朽化の問題を指摘している。
   本紙の取材に対し、事故増加の原因を調査していた海兵隊幹部は、196機の機体のうち、整備済みで飛行可能な
  ものはわずか47機(17年5月時点)だったことを明らかにしている。
  事故が増加した主な要因について「海兵航空計画」は01年の米同時多発テロ事件後、イラクやアフガニスタン戦争な
  ど有事が常態化したため整備体制が変化し、さらに人員や軍事費の削減も加わり、戦争で疲労した機体の整備に大
  幅な遅れが生じたと分析した。
   即応態勢に関する調査では、01年を境に整備不足で飛行可能な機体数が減少したと指摘。CH53Eについて「イラク
  やアフガン戦争など16年に及ぶ戦闘作戦は、老朽化し数も限られている航空機をさらに圧迫している」とし、機体の維
  持に「幾重もの努力を重ねている」と説明した。
   MV22オスプレイについては、修理部品の供給低下に加え、整備士不足が深刻化し、実際の運用の要求に対して、
  整備体制が大幅な遅れをもたらしていると指摘した。
  調査は、機種別ごとに、米17会計年度(16年10月~17年9月)までに実施した。
   今後の展開については、軍事費の大幅削減で整備費の不足が続いてきたが、18米会計年度(17年10月~18年9月)
  予算が大幅に増加したのを受け解消され、20年度には整備能力が全面的に回復すると予測。海兵隊が保有する航空
  機1065機に対し、20年9月には整備処理能力は全面的に回復するとの見通しも示している。

 


  <社説>久間元防衛相発言 新基地の正当性揺らいだ

   米軍普天間飛行場返還を巡り、名護市辺野古の新基地建設の正当性を揺るがす発言である。

   普天間飛行場の返還合意時に防衛庁長官を務めた久間章生元防衛相が「辺野古でも普天間でもそういう所に基地がいるのか。
  いらないのか」と必要性を疑問視した。琉球新報のインタビューに応えた。
   久間氏は軍事技術が向上し、ミサイル防衛態勢の強化や無人攻撃機といった防衛装備品の進歩などを挙げ「あんな広い飛行場
  もいらない」と飛行場建設に疑問を投げ掛けた。重い問い掛けだ。
  「辺野古が唯一」と繰り返し、別の選択肢を検討しない日本政府の硬直した姿勢が沖縄との対立を生み、解決を遅らせている。
  思考の転換が求められる。
   例えば、民間のシンクタンク「新外交イニシアティブ(ND)」は、米軍の運用を見直せば、新基地を建設する必要はないと提言し
  ている。
  これまで政府は、普天間飛行場を県外ではなく県内に移設する理由として地理的、軍事的理由を挙げていた。しかし、2012年に
  森本敏防衛相(当時)はまったく違う発言をしている。
  「例えば、日本の西半分のどこかに、三つの機能(地上部隊、航空、後方支援)を持っているMAGTF(マグタフ=海兵空陸任務部
  隊)が完全に機能するような状態であれば、沖縄でなくてもよい。軍事的に言えばそうなる」と述べている。軍事的理由から県外移
  設は可能という認識を示した。だが、森本氏は「政治的に考えると沖縄が最適地だ」と述べている。
   返還合意時の官房長官だった故梶山静六氏は、普天間飛行場の移設先が沖縄以外だと「必ず本土の反対勢力が組織的に住民
  投票運動を起こす」との書簡を残している。今国会で安倍晋三首相も「移設先となる本土の理解が得られない」と答弁した。
  これらの発言から、政治的な理由で沖縄に基地を押し付けていることは明白である。他府県の意見は聞くが、沖縄の民意は無視す
  るというなら差別でしかない。
   一方、久間氏は、普天間返還交渉で米側が「辺野古に造れば(普天間を)返す」と提案し、政府もこれに「乗った」と証言している。
  なぜ辺野古なのか。米側は1966年に辺野古周辺のキャンプ・シュワブ沖に飛行場と軍港、大浦湾北沿岸に弾薬庫建設を計画し
  ていた。辺野古の新基地はV字滑走路、強襲揚陸艦が接岸できる岸壁が整備され、辺野古弾薬庫の再開発を加えると、過去の計
  画と酷似している。普天間飛行場の移設に名を借りて、基地機能を再編・強化しているのである。
  政治的理由で辺野古に新基地を押し付け、基地の整理縮小で合意した日米特別行動委員会(SACO)最終報告に反する行為に、
  正当性があるはずがない。

 


   沖縄の核」真実伝えよ ゴルバチョフ氏、
     沖縄県民にメッセージ 反基地の闘い支持

                2018.1.31  琉球新報

    東西冷戦終結の立役者で、ノーベル平和賞を受賞したミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領(86)は、核兵器の脅威が
   高まっている現状への懸念から、琉球新報を通して県民にメッセージを送った。「核兵器は現在もなお、沖縄に保管され
   ているかもしれない」と危惧を示した上で「この問題は県民に真実を公開する必要がある」と指摘した。ゴルバチョフ氏は
   「沖縄での軍事基地拡大に対する県民の闘いを支持する」と強調し、「沖縄は軍事基地の島ではなく、沖縄の人々の島で
   あり続けなければならない」と、自己決定権の行使を求めた。

    ゴルバチョフ氏はNHKが昨年放送した番組「NHKスペシャル 沖縄と核」で「冷戦時代、沖縄に多数配備されていた核
   兵器に関する情報を知った」とし、現在も沖縄に核が配備されている可能性を危惧した。

    ゴルバチョフ氏は85年の米ソ首脳会談で「核戦争は一切起こしてはならない」などとする共同宣言をレーガン米大統領
   と発表するなど核軍縮に積極的に取り組んできたことを強調した。その上で「沖縄での軍事基地拡大に対する県民の闘い
   を支持する」と、名護市辺野古の新基地建設反対運動にエールを送った。
    沖縄を「世界に類を見ない豊かな自然と独特な文化がある」とし、沖縄の将来像について「世界の人々が行き交うターミ
   ナル」として「平和的な発展を目指すべきだ」と強調した。

   関係者によると、ゴルバチョフ氏は3度の沖縄訪問で「海岸の美しさに驚嘆した」と語り、「自己決定権」という言葉を使って
  「こんな恵まれた環境下にありながら、沖縄人がその特性に気付かず、自らが豊かな明日への十分な可能性を閉ざしている
  としたら、極めて残念なことだ。次世代の子どもたちのためにも、平和で豊かな発展は、沖縄人の手の内にあることを、もう一
  度考えてほしい」と述べ、自己決定権の行使を求めたという。

     ■メッセージ要旨■


ゴルバチョフ氏が県民に送ったメッセージ文書

   冷戦時代、沖縄に多数配備されていた核兵器に関する情報が、NHKの番組などで明らかになったと知った。と同時に、現在
  もなお、沖縄に保管されているかもしれないという危惧で私は心を痛めている。この問題は、県民に真実を公開する必要がある。

   私は核兵器の削減や最終目標としての核兵器の完全撤廃、国際問題に軍事力を使用しないという点を主張してきた。この観
  点から、沖縄での軍事基地拡大に対する県民の闘いを支持してきたし、今後も支持する。

   沖縄は、世界に類を見ない豊かな自然と独特な文化がある。軍事基地の島ではなく、沖縄の人々の島であり続けなければなら
  ない。

   沖縄は世界の人々、文化、貿易が行き交うターミナルとしての環境が整っている。将来の世代のためにも、この豊かな環境を
  活用し、平和的な発展を目指されることを切に願う。

 


<社説>米軍ヘリまた不時着 全機種飛行停止を求める

   今月だけで3回目の異常事態である。米軍普天間飛行場所属のAH1攻撃ヘリコプターが渡名喜村のヘリポートに
  不時着した。

   米軍の安全管理の信頼性は地に落ちている。現状ではいつ重大な事故が起きてもおかしくない。小野寺五典防衛
  相は在日米軍の全航空機の整備点検と今回不時着したヘリと同型機の飛行停止を求めた。これでは生ぬるい。
  在沖米軍の全航空機を直ちに飛行停止するよう強く求める。
   渡名喜村に不時着したヘリは、8日に読谷村に不時着したヘリと同型機だ。
  ハリス米太平洋軍司令官は読谷村での不時着後に小野寺防衛相と会談し、相次ぐ不時着に「一番近い安全な場所
  に降ろす措置に満足している」と述べた。県民の安全を軽視するようなこの発言をいまだに撤回していない。
   読谷村での不時着は比謝川行政事務組合の敷地内で、大型リゾートホテルから約250メートルの距離だった。
  今回不時着したヘリポートは、急患搬送用だ。急患が発生した場合、ヘリポートがふさがっていれば、村民の安全が
  脅かされる。近くに学校もある。しかも、このヘリは弾頭を積んでいた。
  米軍は今回も「予防着陸」という言葉を使っている。危険性を薄める印象操作ではないかと疑いたくなる。これ以上、
  飛行できない状態に陥ったから緊急に着陸したわけで、県民からすれば、いつ頭上に落ちてくるかもしれない危険性
  をはらんでいる。
   それにしても、24日の代表質問に対する安倍晋三首相の答弁は空虚に聞こえた。首相は「米軍の運用に当たって、
  地域住民の方々の安全確保は大前提であり、事件・事故はあってはならない」「沖縄の方々に寄り添う」などと答弁し
  た。しかし、「安全確保」という大前提はとっくに崩れている。
   辺野古新基地建設によって「安全性は格段に向上する。騒音も大幅に軽減される」とも答弁した。全くの詭弁(きべ
  ん)である。普天間を離陸したヘリは、狭い県内で騒音をまき散らしながら訓練し不時着している。新基地を建設して
  も事態は変わらない。首相は県民に寄り添うふりをして基地を押し付けているにすぎない。
   渡名喜村に不時着した同じ日に、協定違反も起きている。普天間所属の別の複数機が沖縄本島各地で、日米合意
  の航空機騒音規制措置(騒音防止協定)で制限される午後10時以降に夜間飛行しているのが確認された。渡名喜村
  に不時着したAH1ヘリの同型機を含め、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ、大型輸送ヘリCH53、UH
  1ヘリが夜間飛行した。中には無灯火の飛行もあった。外国の空でやりたい放題である。
  首相は年頭所感で「国民の命と平和は守り抜く」と述べた。首相の言う「国民」の中に沖縄県民は含まれているのだろ
  うか。

 

   社説[南城市長に瑞慶覧氏]市民との「協働」深めよ

                                       2018・1・23   沖縄タイムス
   開票作業が進んでも一向に優劣のつかない大接戦を制したのは、新人で元衆院議員の瑞慶覧長敏氏(59)だった。
  任期満了に伴う南城市長選は21日に投開票され、瑞慶覧氏が、4期目をめざす現職の古謝景春氏(62)を65票差
  で破り初当選した。
   昨年実施された市長選で3連敗を喫した翁長雄志知事や「オール沖縄」勢力にとっては、何物にも代えがたい「値千
  金」の勝利となった。
  「敗因が私には分からない」と候補者本人が語っているように、古謝陣営にとっては「まさか」の結果だった。
  県市長会会長で、保守系9市長でつくる「チーム沖縄」の会長。3期にわたって市長を務め、合併後の市政を軌道に乗
  せた。与党系15人に対し、野党系市議3人という与党優位の市議会構成。
  市庁舎建設が始まり関係業者の協力を取り付けやすい環境にあったことや、瑞慶覧氏の出馬表明が遅れたこともあっ
  て、負ける要素がない、との楽観論が支配的だった。
  なぜ、現職は敗れたのか。 古謝氏が強調したのは「実績」と「リーダーシップ」と「政権とのパイプ」だった。古謝氏の強
  みを前面に押し出した選挙戦だったといえる。
  だが、古謝陣営は、3期12年にわたる市政運営で市民の中に不満が蓄積されていたことを重要視せず、見過ごしていた。
  「市政刷新」「公平・公正な行政の実現」をスローガンに掲げ、「チェンジ」と呼びかけた瑞慶覧氏が、古謝市政への不満票
  をすくい取ったのである。

    ■    ■

   保育所民営化を巡って生じた市民との溝、とりわけ民営化反対の署名をした市民に対する市側の対応は、市民から見
  れば「圧力」としか受け取れず市政への不信感を広げた。
  「行政運営が強引」「ワンマン化している」という批判に加え、多選批判も根強かった。楽観ムードが漂う選対は、こうした
  批判に丁寧に対応することができなかった。
   安倍政権や自民党本部は南城市長選を名護市長選の前哨戦と位置づけ、党本部から岸田文雄政調会長、石破茂元
  幹事長ら大物を送り、テコ入れを図った。
  南城市で勝利することによってその勢いを名護市長選につなげ、稲嶺進市長の3選を阻止することで秋の県知事選の展
  望を開くという戦略は、出ばなをくじかれたことになる。
  南城市長選の敗北に危機感を募らせる政府自民党が、名護市長選の引き締めを図るのは確実である。

    ■    ■

   瑞慶覧氏は民主党が政権を獲得した2009年衆院選で当選し、同党が政権の座を追われた12年の衆院選で落選した。
  「市民の声を行政に反映させる」という公約をどう実現していくか。圧倒的な少数与党の議会にどう対応していくか。合併に
  よってできた市であることを踏まえ、人事面や地域振興の面で、どうバランスを取っていくか。
  反対票を投じた市民にも耳を傾け、公約の実現に向け、スピード感をもって取り組んでもらいたい。

 


   社説[高江の検問違法]「過剰警備」への警鐘だ

                    2018・1・18  沖縄タイムス

   米軍ヘリパッド建設に反対する市民を支援する弁護士が、警察官に車の通行を制止されたなどとして国家賠償を
  求めていた訴訟で、那覇地裁は県警の違法性を認め、県に30万円の支払いを命じた。
  工事期間中、現場周辺では節度や抑制を欠いた警備が目立ち、反対派住民からは「公権力の濫用」との批判が絶え
  なかった。司法の場で違法性が認定されたことを県警は重く受け止めてもらいたい。
  ヘリパッド建設が進んでいた2016年11月、東村高江の県道で実施された検問を巡る裁判である。
   弁護士の男性は、警察官に車両の通行を2時間余り制止された上、承諾なくビデオ撮影されたことに精神的苦痛を
  受けたとして慰謝料の支払いを求めていた。
  争点は車両制止とビデオ撮影が適法だったかどうか。
  裁判所はいずれも原告の自由を制約するもので、警察官職務執行法(警職法)や警察法に照らしても正当化できず、
  違法と認定した。
   警職法5条には「警察官は、犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは…制止することができる」とあるが、判
  決は弁護士の言動や服装から「犯罪行為に及ぶ具体的蓋然(がいぜん)性があったと認めることはできない」と結論付
  けた。
  さらに「抗議参加者であるとの一事をもって、犯罪行為に及ぶ具体的蓋然性があると判断することは合理性を欠く」とも
  指摘する。
  警職法は警察権力の拡大を防ぐために厳格な要件を課している。適法に抗議する市民を犯罪者予備軍扱いするような
  ことがあってはならない。

     ■    ■

   もう一つの争点である警察官によるビデオ撮影について判決は、許容できるのは「犯罪が発生する蓋然性」「証拠保全
  の必要性と緊急性」「方法に相当性」がある場合とする。だが今回はどの要件も満たしていないと判断した。
   警察官がデモを写真撮影したことの是非が問われた京都府学連事件で、最高裁は1969年、憲法13条を根拠に肖像
  権を認める初の判決を出した。デモ行進に参加している人たちであっても「みだりにその容貌・姿態を撮影されない自由」
  を認めたのである。
  那覇地裁の判決はそこまで踏み込んでいないが、警察官のビデオ撮影は承諾なく容貌を撮影されない自由を制約するも
  ので、憲法に抵触する可能性が強い。
  名護市辺野古の新基地建設の抗議現場では今も警察官が参加者にカメラを向け続けている。抗議行動を萎縮させる人権
  侵害の疑いが残る。

    ■    ■

   裁判を通して明らかになったのは、当時の警備の過剰さである。
  実際、高江周辺では法的根拠のない車両検問、市民テントの強制撤去、道路の封鎖などが繰り返された。
  高江のヘリパッド建設や辺野古の新基地建設は、安倍政権の重要課題と位置付けられており、強引な法解釈や解釈変更
  による工事の強行が目立つ。
  政権の強行姿勢が現場の過剰警備につながっている側面があるのではないか。 

 


   海外米軍基地閉鎖せよ 沖縄に連帯も

      米で反戦・平和団体が集会

          2018・1・14  しんぶん・赤旗


(写真)海外米軍基地の閉鎖を求める集会で沖縄に連帯する横断幕を掲げる参加者=12日、米メリーランド州ボルティモア(池田晋撮影)

   【ボルティモア(米東部メリーランド州)=池田晋】米国の反戦・平和団体が中心になって、
  海外に展開する米軍基地閉鎖を一致点に結成した「反海外米軍基地連合」が12日、米
  メリーランド州ボルティモアで集会を開きました。結成以来、初めての取り組みで、当地で
  14日まで米軍基地をめぐる環境・経済問題や各地域の情勢をテーマに会合が続きます。
  集会では、「沖縄に米軍基地はいらない」と書かれた横断幕も広がりました。

  連合の結束声明では、各団体・個人の相違点を認めつつ、「われわれは皆、海外の米軍
 基地が帝国主義的な世界支配と、戦争による環境破壊の第一の手段であることに賛同する」
 とし、海外米軍基地閉鎖を掲げました。退役軍人平和会やコードピンク、婦人国際平和自由
 連盟の米国支部などが設立団体に名を連ねています。

  参加者らは、「海外基地はいらない!」などとコール。地元ボルティモアで活動するポピュラー
 ・レジスタンスの代表ケビン・ジースさんは170カ国以上に米軍基地があることにふれ、活動を
 通し国際連帯を広げていきたいと語りました。

  オキナワ・ピース・アピールとして基地問題を訴えてきた沖縄出身で米国在住の女性(65)は
 「市民の運動から変わることがあると信じています。アメリカでも諦めず、沖縄の声を広げてい
 きたい」と話しました。

 
 


   社説[トランプ氏差別発言]見識と資質に強い疑問

                   2018・1・14  沖縄タイムス

  トランプ米大統領が「くそったれ国家」と発言したとされる問題で、抗議の声が世界で広がっている。

  米紙ワシントン・ポストなど米メディアによると、トランプ氏が超党派議員らと移民制度を協議した会合で、アフリカ諸国や
 カリブ海の島国ハイチから来る移民の多さに不満を募らせ、「くそったれ国家から、なぜ多くの人がここに来るのか」などと
 侮辱的な発言をした。
 「屋外便所」や「肥だめ」を意味する「shithole」(シットホール)という言葉でおとしめた。トランプ氏はツイッターで「きつい
 言葉だったが、この言葉ではなかった」と否定したが、出席した議員は「大統領はくそったれを含む憎悪に満ちた差別発言
 を繰り返した」「米国を白人社会に引き戻そうとしている」などと証言した。
 この発言が事実であれば、「人種差別主義者」というほかない。トランプ氏には「きつい言葉」の中身を明らかにしてもらい
 たい。
  名指しされたアフリカ諸国の国連加盟全54カ国の大使らは謝罪を求める共同声明を発表した。当然である。欧州では国
 連人権高等弁務官事務所の報道官が「人種差別をなくそうとする世界の普遍的な価値観に反する」と批判した。
  ハイチを巡っては2010年に発生した大地震後に約6万人が米国内に避難してきているが、トランプ氏は昨年12月、ハイ
 チ人は「皆エイズ」と発言したと報じられた。
 トランプ氏の大統領としての見識と資質を改めて疑う。

    ■    ■

  対照的なのは北欧ノルウェーへの対応である。首相と会談したばかりでトランプ氏は会合で「ノルウェーのような国からもっと
 人を招くべきだ」と語ったという。白人は歓迎するという意味である。
 思い出すのは昨年8月、米バージニア州で白人至上主義団体と人種差別反対派が衝突した事件である。
 トランプ氏は「両者に非がある」と人種差別を容認するような発言をした。白人至上主義団体を批判した後だっただけに「本音
 が出た」と受け止められた。
 移民・人種差別発言は大統領選のさなかから繰り返している。メキシコ移民について「麻薬や犯罪を持ち込んでくる。彼らはレ
 イプ犯だ」、カリフォルニア州の銃乱射テロを受け「イスラム教徒の米国入国を全面的、完全に禁止すべきだ」などと語っている。
 自身が人種間の憎悪と偏見をあおり、社会の分断と対立を増幅させてきたのである。

    ■    ■

  多くのアフリカ人が奴隷として米国に連れて来られた。
 トランプ氏の発言は、公民権運動指導者キング牧師ら先人たちが営々と築き上げてきた差別撤廃と平等の理念を逆回転させ
 かねない。
 米国は多様性とそれを認める寛容さで、社会全体の活力を養ってきたのだ。
  トランプ氏は就任から間もなく1年を迎える。メキシコの壁建設計画や、イスラム圏からの入国を禁止する大統領令を出し、地
 球温暖化対策の「パリ協定」から離脱した。米国を見る世界の目が大きく変わった1年だった。